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世界を滅ぼしてしまいました。

作者:轆轤なんちゃら
―世界を滅ぼしてしまった。

嘘でも誇張でも何でもない、ただの事実だ、
私に憑いている、忌まわしき、まるで私を世界を滅ぼす悪魔に仕立てあげるためにあるかのような魔法『原始ノ炎』によって、世界の生命は一人残らず死滅した。



少し、時を遡ろう。

私は、常に独りだった。
クラスでは、存在すら無視された。
家には誰もいない。両親は私に興味がなかった。

世界に私の居場所はどこにもなかった。
私は、生きる意味を失っていた。

―こんな私は、生きていても仕方ないのでは?

確かに私は、在りもしないモノに、こう願った。

『こんな世界に生きている私を殺してくれ』、と。

だけど、私は死ねなかった。怖かった。
勇気がなかった。

そんな時、私は、いわゆるクラス転移をした。
剣と魔法のファンタジーな異世界、そこにクラスのみんなと一緒に召喚された。少し意外だった。私もクラスの一員だったのかと。

戸惑う物、喜ぶ物、様々いた。
私は、無論喜んだ。ここなら自分の居場所が見つかるのではないかと、密かに期待した。

陳腐な小説によくあるように、みんなの前に美しい王女様が現れて、『魔王を倒してください』と言った。
魔王を倒せば元の世界に帰れると聞いて、みんなはほっとしていた。だけど私は魔王を倒させるわけにはいかないと思った。あんな牢獄に戻りたくない。例え、誰かを犠牲にしてでも。

王女様は『異世界人の皆さんには特別な力が宿っています。ステータスと念じてみてください』と続けた。
私も、少しは期待して自分のステータスを見た。
自分の名前に、レベル、HPとMP、それと、スキル。
私のステータスは実に貧弱だった。
だけど、私のスキルはいかにも強そうだった。
それが、『原始ノ炎』

私には悪気も明確な意図も、何もなかった。
少しだけ、ちょっとだけでも試みたくなった。
周りの物達もはしゃいでいた。
空気に流されたのかもしれない。
力を持ったことで少し嬉しくなっていたかもしれない。
それでも、事実として。

「原始ノ炎」

私は、小さく、しかしはっきりとそれを呟いてしまった。

瞬間、私の周りから業火が上がった。

それはすぐに私の視界を覆ってしまったから詳しいことは分からない。
だけど、それはまるでまるで、全てを飲み込むかのように暴れまわった。
私は炎を消そうとした。叫んだ。囀った。足掻いた。しかし、消えなかった。
消えたのは、全てが蹂躙された後だった。
そこにいたはずのクラスメイト達は、灰も残さず消えていた。豪華な装飾品は、殆どが無くなっているか、真っ黒になっていた。
城だった物を出てみたが、そこには草の一本も生えていなかった。当然、生きている人間はいなかった。
死しか存在しなかった

―これは、ひょっとしたらここ周辺だけかもしれない。

私の微かな願いは、やはり、脆く崩れ去った。

私は、走り出した。なんだか、以前よりも早く感じた。
そして、何もなかった。
山を超えてみた。誰もいなかった。
海だった所も越えてみた。一番高いと思われる山にも登ってみた。

何も、無かった。



さて、私の罪を呟いたところで、贖罪する神が居るわけでもないし、執行人が居るわけでもないし。
そもそも、何某が私にこんな力を授けなかったらこうはならなかった。

だからといって何をするわけでもない。
何をしたって水泡に帰すだけだ。

だから私は、うたたねを楽しんだ。
死の大地で、死の直前まで。

そして、最後の審判の際、私はこう嘯くのだ。

「世界を滅びしてしまいました」

風邪で頭がふらふらする

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