遠く遠く離れている。
すぐそばにいるあなたへ・・・・・・
望遠鏡のファインダーを覗くと、そこには無数の星の集合体が見える。
天の川。
まさしく天に流れる川だ。
「ほら、葵こっちきて望遠鏡覗いてみろよ」
ファインダーを覗く僕を尻目に、つまらなそうに足元の石ころを蹴飛ばしていた彼女に言葉をかける。
「別にいいよーだっ」
彼女は舌を出して拗ねて見せた後、罪も無い草を引っこ抜き、それを僕に向けて投げつけた。
「いつまで怒ってるんだよ。ほら、ホントに綺麗だから見てごらんよ」
「別に怒ってなんかいないもん。和彦のばーかっ」
頬っぺたを子供のように膨らませる様があまりにも可愛らしかったので、僕はついつい噴き出してしまう。
「なによ、なによ。何が面白いのよ。私はちっとも面白くなんか無いんだからねっ」
彼女は笑う僕の姿にお冠のご様子だ。
「まぁまぁ、だまされたと思ってこっちにきて覗いてごらんよ。ほんとにほんとにほんとぉ〜に綺麗なんだから」
僕のしつこさが彼女の意地に勝利したらしく、葵はこちらに歩み寄って渋々と望遠鏡のファインダーをのぞきこんだ。
「わぁ・・・・・・・」
彼女は感嘆の声を一つもらした後、黙り込んでしまう。
そして物言わぬまま、星々の世界へ心を羽ばたかせた。
「ほら、ほんとに綺麗だろ?」
「うるさいっ。静かにしててよ!」
僕の言葉は空に瞬く星々にはまるでかなわないようだ。
まぁそれでもいいや、葵の機嫌が直ったんだから。
「人気の無い山に登って天体観測をしようよ」
僕が葵にそう伝えた時、葵は露骨に嫌な顔をした。
「山の中なんて、蚊とか蛇とか居そうじゃない! そんなとこ行きたくなんて無いわよっ」
葵は虫が嫌いだ、蛇は更に嫌いだ。
その2種類がそろって現れでもしたら、確実にパニックに陥るだろう。
ギャーギャーと泣き喚く彼女の姿が安易に想像できる。
しかし、無理を押し通してでも僕は天体観測に行きたいのだ。
それは一つの目的があるからだ。
それはとても大事な目的があるからだ。
嫌がる彼女のご機嫌をとるため、夜になるまでは彼女の好きなものを食べに行ったり、洋服を見に行ったりした。
その時に僕の財布からは諭吉様が数人家出をしたりしたわけだが、まぁこれくらいの出費は仕方ないと割り切ってかかった。
目的地に着くと、僕は車のトランクから天体望遠鏡を取り出し担ぎ込んだ。
「あら、大変そうねぇ」
葵はそう言ってくれたが残念ながら手伝う気はさらさらないようだった。
そして今に至る。
「どうですかお姫様、満足しましたか?」
10分ほど時間をおいてから僕は彼女に尋ねた。
「うむ、姫は満足じゃ」
やっとファインダーから目を離し、僕のほうを見てくれた。
「すごいね! 星凄いね! とぉっても凄いよ!」
まるで小さい子みたいに凄いって言葉を連発しながら、葵は興奮のさめやらぬまま僕にどれだけ星空が綺麗だったかを伝えようとする。
その姿を見た僕は、小さい頃の彼女の姿を思い出す。
僕らは昔からこうしていた。
二人で居るのが当たり前のようだった。
幼馴染。
初めてあったのは幾つのときだろう。
多分物心つく前だったのかもしれない。
物心ついたときにはもうすでに友達だった。
家族以外で同じ時間を最も過ごした存在。
それが葵だ。
いつの日か僕らは相手が異性であるという事に気がつく。
相手を意識して、自分の感情とは違う言葉を吐いたりもした。
もちろんケンカなんて何時ものことだ。
けれど、離れ離れのパズルのピースもいつか元の形に戻るように、僕らは自然と形にはまっていった。
僕らは男と女として付き合う事にしたんだ。
気がつけば僕は26歳。
もちろん彼女も26歳。
開くことの無い年齢差。
立派とは言いがたいかもしれないけれど、社会人として生きている。
「ねぇ和彦。もっとお星様見ててもいい?」
葵は僕の返事なんて待つこともなく、ファインダー覗き込む。
僕はその隙にポケットからとあるものを取り出す。
よし、大丈夫、大丈夫。きっと大丈夫。
「ああ、流れ星だあー!すごいなあー! きれいだなあ!」
僕は空を指さして、芝居かかったわざとらしい口調で叫んだ。
「えっえっ。どこ? ねぇどこよ?」
彼女は必死にレンズを右に左にと向けて探そうとするが見つけることが出来ない。
「望遠鏡じゃ見えないよ。ほらこっちこっち!」
僕の声に導かれるように、彼女はファインダーから目を離す。
そして、僕が導くその視線の先には小さな星がある。
とても小さくけなげに輝く星。
僕の手の中にある小さなお星様。
「ねぇ、これって・・・・・・」
彼女は恐る恐るその星に手を伸ばす。
「うん。結婚しよう」
僕はその小さな小さな星を手に取ると彼女の指に・・・・・・。
「私の手にお星様が光ってるみたいだね・・・・・・・」
指の先に光るお星様、小さなダイヤの指輪をいとおしそうな目で彼女は見つめている。
「でも、ちょっとこれはカッコつけすぎるんじゃない?」
彼女は僕の顔を覗き込んで意地悪そうに笑った。
僕は顔を真っ赤にして、頭から湯気なんか出しながら、鼻息なんか荒くしたりもして、それでも彼女に言葉を伝える。
「ば、ばかだなぁ。こういうのはなんて言うか、あれだよ。こう、なんていうかだなぁ、イベント的にでもしなきゃ、出来ないって言うか、あのその、とにかく・・・・・・・」
僕は目を閉じて大きく深呼吸をする。
3秒後に僕は口を開く。
「幸せにするよ」
「うん」
葵は大きく頷いた。
僕も大きく頷いた。
僕らは今日この日よりあとは幸せなことしかないと思った。
他の事なんて一つも無いって思った。
それくらいに、馬鹿みたいに幸せな気持ちでいっぱいだった・・・・・・。
僕らは草原に腰を下ろして夜空を見上げた。
ここには時間の感覚が存在しないみたいだった。
携帯も腕時計も捨ててしまいたい気分だ。
「へへへっ、空のお星様も綺麗だけど、今の私にはこの指に光るちっちゃいお星様の方がもぉ〜っと綺麗だよ」
葵は左手を前に突き出して、薬指を眺めてはうっとりとした表情を浮かべる。
「出来たらもっと大きいお星様がいいんだけどねぇ」
「うるさいっ。これでも給料の三か月分なんだぞ」
「うそうそ。冗談ですよー。私ね、生まれてきて一番嬉しいのが今かもしれないよっ」
「俺は一番恥ずかしいのが今かもしれないぞ」
「えぇー。嬉しくないの?」
「教えない」
「そんな事言う人とは結婚してあげません!」
彼女はそう言うとツンとアゴを尖らしそっぽを向いた。
「ちょ、ちょっと待ってってば」
「しぃ〜らないっ」
意地悪く葵はそっぽを向いたまま振り返ってくれない。
「はい! ワタクシ和彦は生まれてきてこれほど嬉しかった日は他にありません! あるわけ無いです。ああ、今日は人生最高の日だー! すばらしいなぁ!」
僕は身振り手振りのオーバーアクションを交えながら、天に届くほどの大声で叫んだ。
「よろしい、よく出来ました」
葵はそう言うと、まるで子供でも扱うように僕の頭を優しく撫でてくれた。
これじゃ結婚してからもきっと尻に敷かれっ放しだなぁ・・・・・・。
でもまぁ、頭をなでられるとなんだかとっても穏やかな気持ちになる。
自然と笑顔になってしまう。
「ほんと、かなわないなぁ・・・・・・」
僕は葵に聴こえないくらいの小さい声でつぶやいてみた。
「ん、なあに?」
「ううん。なんでもない。それよりこの夜空、星が空から降ってきそうだよなぁ」
僕は話を摩り替えるように、夜空を見上げた。
「知ってる? この星の光って何年も前に光った光なんだぜ?」
「何年もまえ?」
「うん。光の速度ってあるだろ。あの星が光の速度で10年のところにあったとすれば、俺たちが見ているあの星の光は10年前の光なんだよ」
「へぇ、詳しいじゃん」
「伊達に天体望遠鏡を持ってませんから」
「ふふん。プロボーズのだしに使っただけのくせにぃ〜」
得意げに話す僕を馬鹿にするかのように、葵は突っかかって見せた。
「うっさい。ホントに星は好きなんだよ」
そう言い返してみるも、プロポーズのときの事を思い出してしまい真っ赤な顔の僕が居た。
「10年前の光りかぁ・・・・・・。10年後も20年後も、ずぅ〜っと私たちは隣に居るよね」
「ああ、今までだってずっと隣に居ただろ。これからも変わらないさ」
「なら私たちは光の速さで10年のところに居る人たちから見られても問題ないね」
「なんでだ?」
「だって、10年先20年先だって、今と同じように傍に寄り添っているから。20年分離れた距離から見られたっても同じだよ」
「そっか・・・・・・・。そうだよな!」
「そうだよっ。私たちは光の速さに勝っちゃってるんだよ!」
「うん。なんか意味はおかしいけど、そうだよな!」
「私たち凄いっ!」
僕らは笑った。
夜の闇にかき消されないくらい大きな声で笑った。
理屈なんかじゃない。
そう、理屈も科学も関係ない。
アインシュタインだろうが、ラプラスだろうが、ピタゴラスだろうが。
どんな世界の天才にも、僕らの気持ちは計算できやしない。
遠く、より遠くに膨張する宇宙なんかに負けないスピードで、僕らは引かれ合う。
そして、僕らは隣り合って笑うんだ。
僕らはいつまでもいつまでも星を見上げていた。
空に吸い込まれてしまうくらいに僕らは星に見入っていた。
そんなロマンチックな時間も『ぐぅ〜』という僕と彼女二人の腹の虫の襲来により、永遠に続くと思われた星々の祭りはあっけなく終わりを遂げたのだった。
帰りの車の中で、僕と葵はこれからの未来予想図について思いをはせる。
けれど、結局会話のメインは遠い未来のことよりも、30分後にたどり着くであろうラーメン屋の事に行き着いてしまうのだった。
「私、味噌ラーメンに決定!」
僕の車は夜の道を走る。
葵の胃袋が求める味噌ラーメンのために。
「あっ、あの店がいい!」
葵は助手席から上半身を乗り出して叫んだ。
「ちょっ、もうちょっと前もって言えよなぁ」
僕はとっさにブレーキを踏み、なんとか店を通り過ぎる事無く、駐車場に車を停車する。
あいもかわらず彼女の無計画振りには頭を痛めさせられるもんだ。
国道沿いにポツンとあるひなびたラーメン屋。
周りのほかの店がないせいか、夜道をホタルみたいに照らしている。
まぁ店構えはホタルなんて表現できるくらい綺麗ではないんだけれど。
「味噌ラーメン。味噌ラーメン。みっそっらーめんっ」
いつの間にか彼女の味噌ラーメンって言葉にはメロディラインまで付けられていた。
僕らはのれんをくぐる。
そこにはトラックの運ちゃんやらで賑わっていた。
簡単に言うと、若いカップルの入る感じではないって事だ。
あいにく座敷が埋まっていたので、僕らはカウンターに並んで腰を下ろした。
「おじさん、味噌ラーメンねっ。あ、モヤシ大盛りでっ!」
カウンターに座るや否や、葵はすぐさま注文を飛ばす。
もしかすると今の彼女の頭の中にはさっきのプロポーズの事なんかより味噌ラーメンのほうが大きく比重を占めているのかもしれない。
まぁそんなところも葵の可愛らしいところのひとつといえばそうなのだけれど。
「ねぇねぇ。なに頼むのよ? やっぱり一緒に味噌ラーメン?」
「あ、えぇ〜ッと・・・・・・。なんにしようかなぁ」
葵の横画をボケーッと見ていた性で、すっかり自分の注文の事など忘れてしまっていた。
慌ててメニューを手に取りどうしようかと悩んでみるのだが、さすがしなびたラーメン屋、メニューはシンプル極まりないものしかなかった。
「そうだなぁ。じゃ醤油ラーメンください」
注文を決めるのがめんどくさくなった僕は、当たり外れのなさそうな醤油ラーメンを注文する。
「えぇー。醤油ラーメンなのぉ」
葵は明らかに不服そうな目で僕を見つめる。
「なんで? 醤油ラーメンだとなんか不味いの?」
「ラーメンって言ったら味噌が基本でしょ! 醤油は邪道よ! 邪道!」
なにを根拠に持って醤油ラーメンを邪道と呼ぶのかは謎極まりないが、彼女の中ではそう決まっているらしい。
「醤油だって美味いって」
「わかったわ! じゃあ勝負ね! どっちが美味いか勝負よ!」
何故だかわからないが勝負が始まったらしい。
実際に勝負にかかわるのは僕らではなく、ラーメンを作る店の親父なのだけれど、これはさておいて置こう。
ちなみに彼女のでっかい声は店の親父の耳にも確実に入っているだろう。
店の親父はさっきからこちらをチラチラ見ながら苦笑いをしている。
親父の額から流れる汗は、鍋の蒸気のせいなのか、それともプレッシャーのせいなのか。
ともかく、ほどなくしてほぼ同時に味噌ラーメンと醤油ラーメンが僕らの元にやってきた。
「勝負だからねっ!」
その声に合わせるように、葵はパチンと箸を割る。
「お、おう」
いつの間にか葵の空気にすっかり乗せられてしまっている僕が居た。
二人同時にどんぶりを持ち上げスープをすする。
「こっ、これは・・・・・・」
正直この醤油ラーメンは美味くない!
「ふふん。その表情から察するに美味しくないようね!」
勝ち誇った顔でこちらを見下ろす葵。
そして、おもむろに僕の丼のスープをすする。
「ふふふ。やっぱりラーメンは味噌で決まりなのよっ!」
葵は高らかに勝利宣言を掲げた。
その時、店の親父がすまなさそうな顔でこちらをチラチラ見ている事に気がつく。
そこで僕は理解した。
店の親父は葵をいい気分にさせるために、僕の醤油ラーメンをわざといつもよりまず目に作ったに違いない。
なかなか気が利く親父さんだと思いはしたが、このあまり美味しくないラーメンを食べるこっちに身にも少しなってくれよと思うのだった。
「あ、この餃子おまけだから」
そんな僕の気を察したのか親父は餃子をサービスしてくれた。
そしてニコッと僕の顔を見て笑った。
僕らはラーメンと餃子を平らげると店を後にした。
「またきてねー」
店の親父が会計の時に声をかけてくれた。
「はぁい。今度は二人で味噌ラーメン頼むからね〜」
きっと今度来る時は、葵が強制的に味噌ラーメン二つねと頼むに違いないだろう。
月日は流れた。
本当にとんでもないスピードで流れた。
結婚のための準備って奴はこんなに面倒くさくて忙しいものなのか!
会社の仕事をこなし、その後に結婚式のための決め事を葵と一緒に決める。
「ぜぇったいに、純白のウェディングドレスだけはゆずらないからね!」
「はいはい、わかりました」
ちなみに僕も葵のウェディングドレス姿はとても見てみたい。
「あとね、でっかいケーキも!」
「わかったよ。他には?」
「他は・・・・・・・。まかせたよっ!」
実際こんな感じなのだ。
つまり細かい事は全部僕がやる破目となったわけだ。
そりゃ時間も速くたつってもんだ。
そして結婚式当日。
葵のウェディングドレス姿はとても綺麗だった。
「な、なによ。あんまりこっちジロジロ見ないでよ」
柄にもなく葵は照れて見せた。
「わかった。じゃあ見ないよ」
「ちょっと、なによなによー。意地悪っ!」
いつもの膨れっ面はウェディングドレスを着ていてもかわらない。
なんだろ。
こんなに簡単に幸せになっていいのかなぁと思った。
それとも幸せなんてものはすぐ手の届くところにあるものなのかもしれない。
ただそれをつかむのにちょっとコツがいるだけなのかもしれない。
僕の幸せは今すぐそこにある。
そう、純白のウェディングドレスに身をまとい、テレながら頬を膨らます彼女こそが、僕の幸せそのものなのだから。
「さぁ行こうか」
「うん」
僕は葵の手をとり歩き始める。
きっとどこまでもどこまでも、僕らは一緒に歩いていくんだと、そう思っていた。
「新婚旅行は絶対に海外! ハワイ! ワイハー! それで決定!」
ハワイのパンフレットを右手に持ち、左手には水着を掲げる彼女。
「はいはいわかりましたよ、お姫様」
こうしてボクラの新婚旅行はハワイに決定した。
一体どれだけ服を詰め込んだんだよってぐらい大きなトランクケースを僕は持たされている。
もちろん、このケースの中身は全部彼女の服だ。
「頑張ってね。旦那様っ」
彼女の声援が僕の背中に降りかかる。
「あいよ。奥様」
僕らは夫婦だ。
まぁ夫婦になっても、小さい頃の関係と何ら換わってないといえば変わってないのだけれども。
「当機はただいま乱気流に突入しております。少し揺れますがご心配なさらないで下さい」
これが少しなのか?
僕の言葉に答えるように機内がさらに大きく揺れる。
「ねぇ、大丈夫だよね?」
彼女は僕の腕にしがみつきながら、心配そうな目で僕を見る。
「大丈夫。きっと大丈夫だよ」
僕は彼女の手をしっかりと握ると、根拠の無い励ましの言葉を送る。
いま機内はパニック状態に陥ろうとしていた・・・・・・。
まかさ楽しいはずの新婚旅行でこんな事に巻き込まれるなんて・・・・・・。
いや、きっと大丈夫だ。こんなことなんて後になって思いで話の一つになるだけのものなんだ。
僕は自分自身にそう言い聞かせ、心を落ち着かせた。
そうさ、僕は葵の夫なんだ、妻を守るのは夫の務めなんだ。
「大丈夫、きっと大丈夫。ハワイに着いたら美味しいもの食べような」
僕は葵の肩を優しく抱き寄せた。
「うん、うん。じゃ味噌ラーメンね!」
「ハワイで味噌ラーメンかよ」
僕らは顔を見合わせて笑いあった。
こんな状態で笑っているのはきっと僕らだけだろう。
そのときガクンといままで以上に大きく機体が揺れた。
「えっ・・・・・・・」
そして僕の記憶は途切れた。
光が見える。
どこからか光が見える。
そうだ、僕の葵はどこにいるんだ。
探さないと。
急いで探さないと。
ああ、光が見える。
僕が目を覚ましたところは病院の中だった。
「あの事故の中で奇跡的に生還したのはあなただけなんです・・・・・・」
看護婦が僕にそう告げた。
意味がわからなかった。
その言葉が僕の脳に届くのにはヨチヨチ歩きの三歳児よりも遅かった。
「僕・・・・・・・だけ・・・・・・・?」
看護婦が小さく頷いた。
その言葉がなにを意味するのか、それを知りたくなどはなかった。
暫くして、病室に僕と彼女の家族がかけつけた。
泣きながら何かを言っているようだった。
けれど僕には何も聴こえなかった。
何の言葉も僕の耳には入らなかった。
眠ろう。
きっとこれは夢だ。
悪い夢なんだ。
僕は目を瞑り眠りに落ちた。
目が覚めると、葵の家族が僕に話しかけてきた。
それは聞きたくなんて無い話だった。
葵の遺体は見つからなかっただの。
生存している可能性は皆無だの。
僕にはこれからも頑張って生きてほしいだの。
頑張って生きる?
どうやって?
僕の幸せは葵だったんだ。
その彼女はもういない。
なら、僕にはもう幸せなんて無いんだ。
なのに何を頑張れって言うんだ。
僕は全ての言葉に力なく頷いた。
カクン、カクンと首だけが動いていた。
数週間たち僕は退院する事になる。
仕事にも復帰できると医者に言われた。
「そうですか」
僕はそう答えておいた。
職場に行くと、同僚達はあからさまに気を使って話しかけてくれた。
「ありがとう」
僕はそう答えておいた。
いつしか仕事にも行かず、部屋にこもる日々が続いた。
彼女は死んでなんかいない。
そんなはずが無いんだ。
いつだって僕の横にいるはずなんだ。
いままで十年以上そうだったんだ。
だから、これから先もそうであることが当然なんだ。
当然だと・・・・・・思っていたんだ。
だからさぁ。
いますぐに僕の傍に来てくれよ。
そしていつものように、可愛い膨れっ面を見せてくれよ。
食事もろくにとらないで部屋に篭るようになって、どれくらいの時間がたっただろうか。
よく覚えていない。
窓の外が暗いからきっと夜なのだろう。
こんな生活をどれくらい続けているのか。
きっと一ヶ月くらいだろうか。
最近ではいつも横になってばかりいる。
葵の夢を見る。
夢の中の彼女は元気に走り回る。
いっそ、ずっと夢を見ていようかと思った。
もう、現実なんていらないと思った。
葵のいない現実なんて、必要ないと思った。
死んでしまおうと思ったこともある。
その度に、葵の怒る顔が目に浮かんで思い直すのだった。
僕はひざを抱えて布団をかぶり、窓の外に見える葵の部屋を見ていた。
まるで漫画のように、僕の部屋の窓の先が葵の部屋だ。
「まるで漫画みたいだねっ」
そういって葵は良く笑ったものだ。
そして漫画を真似して屋根伝いに僕の部屋に侵入してきたりもしたもんだ。
トントン
そう、トントンって窓をノックしたりして。
トントン
そうそう、こんな感じに・・・・・・
トントントントン
違う、これは僕の記憶じゃなくて現実の音だ。
誰かが僕の部屋の窓を叩いている。
しかもこんな夜遅くに。
僕は意を決して窓を開いた。
そこには、彼女が居た。
「ただいま」
葵は無表情で僕にそう言った。
僕の目の前に立つ彼女。
その姿はまさしく葵。あのとき、あの飛行機の中に居たままの姿服装の葵だった。
その光景は現実なのか、それとも夢なのか。僕にはわからない。
どちらでもいい、いま目の前の葵はいるのだから、それでいい。それだけでいいんだ。
「おかえり、おかえりなさい・・・・・・」
僕は力いっぱい葵を、僕の妻を抱きしめた。
ああ、この感触、腕の中に広がる暖かさ、葵は今ここにいる、僕の腕の中にいる。
「良かった、ホントに良かった。生きててくれて・・・・・・・良かった・・・・・・良かった」
泣いた。
なりふりかまわずに僕は泣いた。
「苦しい、出来ればそろそろ離して貰えないだろうか?」
「えっ?」
葵はまるで別人のような面持ちで僕の腕から逃れようとした。
「どうした? なんかへんじゃないか、事故のせいなのか?」
「私はあなたの言う彼女ではあるが、ある意味彼女ではない」
僕の腕を振り払いながら葵はつぶやいた。
「おいおい。なに意味わかんないこと言ってるんだよ。事故で頭でもうったのかよ」
そう言って笑いながら葵の頭を撫でようとした僕の手を、葵はあっさり跳ね除けた。
「なんだよ、どうしたっていうんだよ・・・・・・。葵は頭撫でられるの好きだっただろ?」
「葵と言う名の精神は今私の中で眠っている、つまり私の身体は彼女ではあるが、精神は彼女のものではない」
「い、言ってる意味がわかんないんだけど・・・・・・」
葵の意味不明の言動に僕の頭は混乱しっぱなしだ。
「わかりやすく説明する。私とは今彼女の身体を使って会話をしている精神体。この世界の言葉で表すならば宇宙人と言う事になる」
葵は無表情のまま淡々と訳のわからない事を言いだす。
確かに葵は時々意味のわからない馬鹿な事を言う奴ではあった。
まぁ確かに天然ボケなところもあっただろう。
でも、さすがにここまで突拍子の無い事を言い出した事は無い。
「ハハハッ。そうするとなんだ、おまえは葵の身体に乗り移っている宇宙人だぁ! とでもいうのか?」
「その通り。理解してくれて嬉しい」
僕は冗談を返したはずだったのに、葵はあっさりとその言葉を受け止めてみせた。
「おいおい、葵あんまりふざけてると怒るぞ」
「ふざけてなどいない。貴方に今の状況を理解してもらえるように努力しているところ」
「じゃあなんだ。宇宙人だって言う証拠でも見せてみろよ」
「わかった」
そう言うと葵は長い髪を大きく振りなびかせた。
その広がった髪の中から一際太い髪の塊が姿を現す。
なんだ? なんなんだよ、これ。
「これは星波角。精神体のままであれば必要ないのだが、肉体と融合してしまった今はこれを使わなければ能力を行使することが出来ない」
僕の目の前でそれは別の生き物のようにクネクネと怪しく動いた。その触角の様な物の先端は鋭利に尖っていた。
その触角(星波角)は僕の目の前でペコリとお辞儀するかのように動いて見せた。
僕は思わず腰を抜かしゆっくりと床にしりもちをついた。
「こちらの星の人間にはこのようなものはついて無いのであろう? これで理解してくれたかな?」
「えっ、ちょっと、ちょっと待ってよ。まさか、本当に・・・・・・・。本当に宇宙人だって言うのかよ!」
「先ほどからそう言っていると思うのだけれど?」
「ならあれかよ。葵の身体を、お前が! お前が乗っ取っているのかよ!」
「ある意味そういう事になるとも言える」
「てめぇ、葵を、葵の身体を返しやがれっ!」
僕は勢いよく葵の身体に向かい飛び掛り、そのまま両腕を捕まえると馬乗り状態に持ち込む。
「乱暴はやめたほうがいい、これは彼女の身体なのだから」
「うるさいうるさい! さっさと葵の身体を返せ!」
「身体を返す事は出来る。しかし今彼女の身体から私が出れば彼女は死ぬ。それでもいいのか?」
「なん・・・・・・・だと?」
言葉を聞いて両腕を押さえつけていた僕の腕から力が抜ける。
その隙を突いて宇宙人は僕の身体を押しのけた。
「どうやら私の説明が不足していたようだな。そうだ、あの飛行機事故から話そう。あの時、君と彼女は通常ならば死に至る所だった。それを私が助けたのだよ」
「助けた?」
そういえば、あの時にみた不思議な光。あれがそうだとでも言うのか。
「君の身体は修復可能だったのだが、彼女の身体の修復には時間がかかってね。それで今まで彼女の身体を預かっていたという訳だ」
「じゃ、俺の身体を治したのもおまえだって言うのかよ?」
「その通りだ。完全に治すと怪しまれると思い、致命傷だけ治しある程度の傷は残したままにしておいたのだけれど」
それが奇跡の生還の理由? 宇宙人に助けられたから? そんな、そんな馬鹿なことが。
「で、でもあれだ。葵の怪我は治ったんだろ? なら、ならもいいんじゃないか? 葵の身体から出てもさ?」
宇宙人は少し考えるように間をおいた。
「身体は治った。しかし、記憶は、精神は復元されていない」
「おい、それってどういう事なんだよ!」
「つまり、彼女が彼女であるのに必要な、記憶、そして精神が破損したままなのだよ」
「だから、わかりやすく言えよ! どういう事なんだよ!」
「このまま彼女の身体を返しても、彼女の精神は死んだままだ。つまり植物人間と変わらないという事になる」
その言葉に僕の膝が震えた、腕も。全身の力が抜けていくのを感じた。
「つまり、葵は・・・・・・・」
「大丈夫。精神は完全に失われてはいない。ただ、まだ復元が出来ていないだけだ」
「えっ?」
「彼女の精神は修復可能だと言っているのだ」
「なら、葵は元どうりに治るのか?」
「ああ、パズルのピースを組み合わせるような作業ゆえに時間はかかるが、治す事は可能だ」
「やった。やった・・・・・・・。よかった・・・・・・・」
「それにこの場所にたどり着けたのも、彼女の記憶の断片のおかげだ」
「葵の?」
「そうだ。彼女の心の断片は強く願っていた。『帰らなきゃ。和彦の元に返らなきゃ』そればかり願っていた」
「葵・・・・・・・」
「しかし、この窓から入るという方法はこの世界の方式としては少しおかしいとは思ったのだが、彼女の記憶がそう言っていたのでな。これで正しいのか?」
宇宙人は窓を開けたり閉めたりしながら首をひねっている。
葵が助かると聞いて安堵したのか、そんな宇宙人の姿を見て僕はついつい笑ってしまう。
「どうした。一体なにがおかしいのだ? 今の台詞は面白いところなのか?」
「なんでもない。なんでもないよ。プププッ」
「なら何故笑うのだ。全くこの星の人間の考えは理解できん」
子供のように頬を膨らませて宇宙人は不服そうにつぶやいた。
それはまさに葵のいつもの仕草そのものだった。
「そうだ。彼女の心が強く願っていることがもうひとつあった」
真面目な顔で宇宙人は僕の瞳を覗き込んで、はじめて感情のこもった声でこう言った
「味噌ラーメンが食べたい!」
僕の笑いはさっきよりも数倍パワーアップし、止まる事は無かった。
「うーむ。この星の人間はさっぱりわからない」
宇宙人はさっきよりも多きく頬っぺたを膨らませて見せるのだった。
笑いが静まると、僕と宇宙人は会話を続けた。
宇宙人の言うことはこうだ。
葵の精神を治している間は身体の中に宇宙人がはいっていなければならない。
そうしないと葵の身体自体が生きてはいけないらしい。
確かに心が無い器だけでは生きることは出来ないだろう。
それにかかる日数は地球の時間的観念でいくと約一年。
一年・・・・・・
一年さえたてば葵は元の葵に戻るのだ。
「あと、ひとつ条件がある。私に協力をしてほしい」
「協力?」
「そう、協力」
「何をすればいいんだ?」
「それは追々話していく」
とても意味深な発言だったけれど、葵が治るのならばどんな条件であろうと拒むはずが無かった。
「わかったよ」
僕は大きく頷いた。
「ありがとう」
宇宙人は小さく頭を下げた。
しかし問題は山積みだ。
この事を回りにどう説明すればいいのか。
正直に真実を話したところで信用してもらえるとは思えないし、もし信用してもらったとしても、宇宙人だなんて変な科学者とかに実験台にされるかもしれない。
葵の身体を実験に使うなんてとんでもない。
そんな事は夫として断固阻止だ。
「そう言えば、葵の両親にはもう会ってきたのか?」
「・・・・・・まだ。彼女は何よりも先に貴方に会いたがっていたから」
「そっか」
嬉しかった。僕だって誰よりも何よりも葵に会いたかった。
けれど嬉しい反面、葵の両親に対してどう説明すればいいのか、それが大問題だった。
とにかく怪我のせいで記憶が曖昧だとか、どうとか適当にそれらしい理由を付けるしかないかな。
はたしてそれで納得してもらえるものやら。
そんな頭を痛めている僕の横でボソリと宇宙人は言った
「味噌ラーメンは・・・・・・・」
「わかったよ、作ってくるよ」
「ラーメンは味噌。醤油は邪道」
そうキッパリと言う宇宙人が滑稽で仕方なかった。
「そうだよな。ラーメンは味噌に限るよな!」
「うん」
始めて宇宙人は笑って見せた。
これは宇宙人の中にいる葵が笑ってくれているのだろうか。
僕はこっそりと一階のキッチンに向かい、両親にばれないようにインスタントの味噌ラーメンを作った。
今日はインスタントだけれど、これで何とか勘弁してもらおう。
そして今度はちゃんと二人でラーメンを食べに行こう。
そうだ、そうしよう。
部屋に戻った僕が味噌ラーメンを差し出すと、宇宙人は嬉しそうにその丼を受け取った。
僕らは向かい合ってフーフーとスープをさましながら味噌ラーメンを食べた。
僕のなくした時間は今戻ったんだ。
カーテンの隙間から朝日が差し込む。
どうやら僕はいつの間にか眠っていたようだ。
なんだか長い夢を見ていたような気がする。
そういえば、葵が宇宙人になってやってきた夢を見たような気がする。
ははは、我ながら馬鹿みたいな夢を見たもんだ。
僕は笑った。そして泣いた。
そう、僕の隣にはいるべきはずの、ずっと居て欲しいはずの葵が・・・・・・あれ、葵がいるじゃないか!
僕の横でスヤスヤと寝息を建てて眠っているのは紛れもなく葵そのものだった。
って事は、夢じゃない! あの非現実的な出来事は現実だったんだ。
まてまて、葵が戻ってきたのは現実で、宇宙人云々が夢なのかもしれないぞ。
そう思った途端、僕の身体にあの変な触角みたいなのが絡み付いてきた。
なるほど、宇宙人も夢ではないらしい。
触角はクネクネと脈絡もなくあちらこちらへと動き回っている。
あれなんだろうか、これも寝相が悪いというのだろうか?
暫くその奇妙な姿を眺めながら頭の中を整理していた。
が、整理などつくはずが無かった。
そりゃそうだ。葵が戻ってきた事を説明するだけでも大変だって言うのに、さらに宇宙人ときたもんだ。
「おはよう」
いつの間にか宇宙人は目覚めていた。
そして僕の肩をあのへんな触角でポンと叩いてこう言うのだった。
「大丈夫」
何が大丈夫なのかはさっぱりだったが、とりあえず納得しておく事にした。
その結果。
本当に大丈夫だった。
葵の両親には、事故の後遺症で記憶が曖昧であり、それのリハビリも兼ねて暫くの間二人で田舎で暮らして静養したいと伝えた。
なんと葵の両親はこの言葉をひとつの疑いもせずに信じてくれたのだった。
なんなんだろうか、正直突込みどころなんて山ほどあるだろうに、これは宇宙人の宇宙的パワーのおかげなのだろうか?
ともかく驚くべき事に話はトントン拍子に丸く収まってしまったのだ。
あ、勿論あの変な触角はきちんと髪の中に隠しておいてもらったのは言うまでも無い。
さらに僕は会社を辞めた。
実際一ヶ月以上休職していた訳だし、こちらも何ひとつ疑われることなどなく、退職することが出来た。
まぁそりゃそうだろう、宇宙人のことがばれない為に会社を辞めて知り合いのいない田舎に引っ越します! なんて事を誰が想像するものか。もし想像する奴がいたとしたら、それは頭のおかしい奴に違いない。
退職するに当たり餞別などをいただいたのが申し訳なくてしょうがなかった。
僕と宇宙人は電車に乗り新たな新居へと向かう。
宇宙人ならUFOなんじゃないかって?
どうやらこいつらはそういうものを持たないらしい。
それについてなんだか色々小難しく説明をしてくれたのだが、右から左へと受け流していたので良くわかっていない。
「さてと、宇宙人。これからどうすればいいんだ?」
電車の窓を開けると気持ちの良い風が頬に当たる。
もう都心からはかなり離れてしまっており、窓の外に広がる色鮮やかな田園風景が美しい。
「あ、この宇宙人って呼び方はまずいよな。周りの人に変に思われるから。なんて呼べばいいんだろ」
「葵。そう呼べばいいと思う」
窓の外の景色をじっと眺めながら宇宙人は言った。
「だめだ! 葵って名前は葵だけのものだ。お前をそう呼ぶわけにはいかない」
「わかった。なら好きに呼べばいい」
名前なんてものにはまるで興味が無いのか、それ以上に地球の田舎の景色が好きなのか。それがどちらなのかはわからないが、会話をそっちのけで宇宙人は窓の外を見ていた。
「そうだなぁ・・・・・・」
まさか子供も出来ていないのに、名付け親にならなければならないとは思わなかった。
「蒼」
窓の外を見つめたまま、宇宙人がつぶやいた。
「えっ?」
「蒼と呼べばいい。地球の空はとても青い。私はこの空の色が好きだ。だから蒼と呼べばいいと思う」
いつの間にか宇宙人は窓から上半身を乗り出しては空を眺めていた。
「蒼か・・・・・・。それなら葵と似てるから、周りの人もへんに思わないだろうし。そうだな、そうするか。それじゃ、これから一年間よろしくな『蒼』」
「うん。よろしく」
そっけなく返事をする宇宙人、もとい蒼だったが。
『蒼。私の名前は蒼。青い空の蒼』
小声で何度も自分の名前を繰り返し呼んでは、嬉しそうにしていた。
後でわかったのだが、この宇宙人には名前と言う概念が存在しないらしい。
そのせいなのだろうか、名前で呼ばれると言う行為がとても嬉しいらしかったのだ。
「私の名前はなんだ」
唐突に蒼が僕に尋ねる。
「蒼だろ?」
「うむ。もう一回」
「蒼」
「あと一回」
「蒼」
「うむ、うむ」
満足げな笑みを浮かべては、一人で自分の名前を連呼して腕を組みながらなにやら納得している。
とにかく、これから一年間、蒼と僕との不思議な新婚生活が始まる。
一体どうなるのか。
それは誰にもわからない。
とにかく葵が元の葵に戻るまで、僕は何が何でも頑張りぬくつもりだ。
しかし気になることがある。
蒼が僕に言った協力して欲しい事とは一体なんなのだろうか?
まさかそれが、地球全土を巻き込む大事件になるであろうとは・・・・・・・
この時は想像だにしえなかったのだった。
おしまい☆
ほんとは続く?
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