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第五十一幕 晴れた日 善人
善い人は、タンクが加工した岩の家に引越ししていた。

今回のことは、彼女なりに思うところがあったらしい。

「やあ、タンクさん。今回はさすがの私もいい勉強になったよ。」

「よかったね。私なんて、空から落っこちて、ちょっと壊れちゃったよ。」

タンクはニコニコしながらいってるが、体が半壊している。

「タンクさんもまだまだこの善人には及ばないようだね。
でも大丈夫だよ。いつかきっと私のようになれるから。」

善い人は偉そうに、タンクの肩をぽんぽんと叩くと、家の外にでるべく扉に
手をかけた。

ドアを開けてみると、前方に、切り株に腰をかけているアキラの姿があった。

善い人を見かけるとやあと声をかけよってきた。

善い人は油断なく、構えて言い放った。

「悪人が考えることは、この善い人にはお見通しだということが、何故分からない?」

「なにを言ってるんだ。俺はお前に善い情報を持ってきたというのに、
そんな態度では、考え直さないといけなくなるぞ。」

「おのれ!この善人を小馬鹿にする態度!もうがまんならん!」

ドカッ!

慌てふためき、驚いて逃げようとするアキラの背中を、善い人のけりがめり込み、
アキラはかなたへ飛んでいった。

「悪は去った!こんなことしてる場合じゃない。
私は善い事をしないといけないんだ。」

善い人がかけていくと、善い人の後を追って並行して来る物体がある。

それはテンマの円盤で、円盤というのは、サイキック兵器であり、
人一人分くらいがのれる、円盤のような物体だ。だから円盤と呼んでいる。

「善い人がいなかったおかげで、悪人達がのさばっているぞお。
楽しいなあー。」

そういって、テンマは遠くを指差して、善い人を追い越していった。

善い人は直感した。

「どうやら私を出し抜こうとしているようだけど、そうはいかないよ。」

善い人は、指を鳴らしてハエを呼び、飛び乗って、テンマに追いついた。

「あそこだ!あそこに悪はいるぞお!」

「まだ悪人がいたのか。
善人ここにありということを思い知らせてやらないといけないな!」

善い人はハエから飛び降り、現場へと到着した。

その現場には、害児と悪人達がいた・・・。



害児は、悪人達に家を作らせた後、暇なので、
悪人達を訓練することにしたのだった。

悪人達は、たるを持って上下に振る運動をしており、
その周りを害児は歩きながら、満足そうな顔つきで、眺めつつ、紅茶を楽しんだ。

ちなみにもう車椅子はダメになってしまったので、木製の義足をつけている。

「ああもうだめだ・・。俺はもうこれ以上振れねえ。」

樽を放り投げぺたんと座り込んでしまった悪人がいた。

それを害児は凝視した後、後ろにいた悪人に話しかける。

「おい!」

それを察した悪人は「おう!」と答えると、座り込んだ悪人を無理やり立たせ、
樽を持たせる。

「さあやれ!やるんだ!」

「ひい~!もう無理だあー。」

その様子を見て、他の悪人達は、あまりの所業、地獄絵図に、おびえ逃げ出した。

「う、う、うわー!」

パニックになり、次々を悪人は逃げていくが、気がつくとなぜかまた樽を持って
振っている。

「もうやめてくれー!」

怨嗟の声、悪人達の悲痛な叫びを聞きながら、害児は一人悦に入っていた。

ドサッ!

「そこまでだよ!」

そこへ善い人が登場するが、害児は内心動揺しつつもみなの手前、
あえて騒がず冷静に対処した。

「む?善い人か。ちょうどいい。修行の成果を見せてやれ!」

悪人がそらきたとばかりに善い人に襲い掛かるが、それら全てが吹き飛ばされる。

これは大変だと初めて害児は気づき、自分ひとりのみが逃げに入った。

しかし、それを見逃すほど善い人は大甘ではない。

すぐさま害児においつき、その頭をしたたか殴った。

「うわー!やめてくれー!」

害児は、頭を抱えつつ、逃げ回っていく。その様子を残った悪人達が大笑いしていた。

「ひゃっははは!ざまーみろ!」

害児の味方はいないのか。そんな時一人の勇者が現れた。

「おいおい。善い人さんよ。ちょっと調子に乗りすぎなんじゃねえのかい?」

穀潰しであった。穀潰しも悪人達に混ざり、つい先ほどまで、
へいこらと樽を振っていたのだった。

「よくいいました!穀潰しさん!それいけ!善い人を追い出すのです!」

害児はとたん元気になるが、黙れといわんばかりに善い人に頭を叩かれる。

と同時に、穀潰しは善い人に向かって衝撃波を放つが、
善い人はそれを避けた。

害児は、それを機にほうほうの体で逃げていった。

「穀潰し。悪に加担するということは、君も悪人というわけだね。」

「悪だと?相変わらずの馬鹿さ加減に反吐が出るぜ!ええっ?善い人さんよお
!悪ってのはな。てめえ自身を指すんだぜ!」

そこへ、テレポートですっとアキラがやってきた。

「俺にも我慢の限度がある。こちらが下手にでていれば、調子に乗りやがる。
穀潰し。こいつは一度思い知らせんとどこまで冗長するか分かったものではない。」

「ああそうだな。潰れろ!ランダムスフィア!」

善い人は、もちろんその攻撃を読んでいた。最早慣れっこの攻撃であったので、
スフィアの軌道を読み、その攻撃を全てかわして、穀潰しに接近する!

「潰れろ!サイコシャワー!」

穀潰しの対迎撃衝撃波で、ショットガンのようなものだ。

それは確かに善い人に当たったと思ったが、善い人は直前で方向転換し、
アキラのほうへと突っ込んでいった。

アキラはなにをしていたかというと、いきなり穀潰しが攻撃をぶっ放すとはまったく
考えてなかったらしく、ランダムスフィアの攻撃を受けて、体を震わせながら、
自分の体を回復させていた。

もちろんテレポートで、穀潰し達とは距離をとっていたが、いきなり善い人が
やってきたので、パニックになり、テレポートも使わず、
後ろを向けて逃げ出そうとした。

善い人がそんなうかつさを見逃すはずもないので、後ろから蹴られ、アキラは
彼方へと飛んでいった。

「ア、アキラ!善い人てめえ!」

取って返す刀で、善い人は穀潰しめがけて、剣を抜き、突っ込んでいく。

「斬る!抜きかえし!」

「ぐっ!」

穀潰しは、片手を犠牲にしてそれを防御し、残った手で、後ろに逃げつつ、
サイコスフィアを放つ。善い人はそれを難なく避けて、さらに追いかけてくる。

(ちきしょう!もうだめだ!)

穀潰しは破れかぶれになって、突き刺さる拳を放つ。善い人は突き刺さる蹴り
を放ち、それが相殺され、間が空いた。

(前より強くなってやがる・・。それに比べて俺は・・。)

善い人の成長に比べ、自分の成長の遅さを嘆いたが、
そんなことしてても始まらない。

とりあえず、今戦っても不利だと穀潰しは思った。

第一こういう広い場所は善い人に有利なばかりで、自分にはなんら有利にならない。

「潰れろ!サイコグランド!」

地面から、筒状の衝撃波が放たれる。さしもの善い人もこの膨大な範囲の攻撃には
攻めれず、後退の一方となった。

周りでニヤニヤ観戦していた悪人達は、
驚きの声を上げつつそれに巻き込まれていった。

「お、おー・・・。」

「うわー!」

悪人達がドンドン空から振ってくる。

善い人が、攻撃の態勢をとったときには、すでに穀潰しの姿はなかった。

善い人は、落ちていた穀潰しの腕を拾って、穀潰しが逃げたほうに向かって、
投げると、家に帰っていった。

「今日も善い事をした。善い事をするというのはなんて素晴らしいんだ!」

空にはお日様が明々と輝いていた。
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