第四幕 大震災の真相
一通りの救助活動を終えた後、善い人たちはよろずやに集合した。
地下にいってみると、ほとんどの町の人がすでにいなくなっている。
どうやら名医も帰ったようだ。
「ここはまだましなほうです。震源地はひどいありさまらしいですよ。」
害児が説明を始めた。
「もう人が住める状態ではないようです。後これはうわさなんですが、
この地震は人為的なものでまたこの地震を起こそうとしてる人たちがいる
らしいのです。」
「それは大変だ。早くやっつけないと大変だ。すぐいこう。」
善い人は善いことができる絶好のチャンス到来と喜び勇んだ。
すぐさま悪人とぶっ飛ばすため、善い人が駆け出そうとすると、穀潰しは
両手を広げ善い人の前に回り込む。
仕方ないので、一度足を止める善い人。
「おい。ちょっとまて。」
「急いでるんだけどなにかな?」
「俺達はごめんだぜ。お前の道楽に付き合うのもここまでだ。今後は勝
手にやらせてもらおう。」
善い人は、それを聞き心底どうでもいい気持ちになった。
「そうか。じゃあまた後で。」
善い人は通せんぼしている穀潰しの横を通り抜け、地上へと向かう。
「おい・・。もうちょっと止めてくれよ。」
穀潰しがまだなにかいってたが、無視してさっさといくことにした。
善い人が外にでてみると害児が待っていた。
「私も一緒に行きます。私も善い人さんの手伝いをしたいので。」
「いいよ。」
善い人はあっさりと承諾する。
その承諾の裏には足手まといになったら置いていこうという目論見
があった。
こうして善い人たちは震源地へと目指した。
ただ害児は車椅子なので善い人は害児に合わせてゆっくりと移
動しなければならない。
これは困ったことだ、早くても害児さんが足手まといと善い人が考え込
んでいると、
「善い人さん。こんなペースだと手遅れになりますよ。もっとスピード
を上げないと。」
害児は、善い人が自分に遠慮しているということに気づき、助言する。
「でも害児さんが付いてこれないと思うよ。」
害児はそれを聞き内心思うところがあったが、顔には出さず対応した。
「いやこの車椅子はスピードが出るので大丈夫ですよ。」
「なら遠慮なく。」
善い人は、ハエを呼びその背に乗る。
「ハエ。震源地まで最速でお願い。」
「びえびえ。」
ハエはすごいスピードで進んでいく。
善い人が後ろを見ると害児もちゃんとついてきてるようだった。
害児は善い人が見ていることに気づきふっと笑う。
善い人はそれを見て、顔を緩める。
そうこうしているうちに震源地についてみると確かに怪しげな集団がい
るようだ。
善い人たちが中に入ろうとすると、怪しげな集団の一人が善い人たち
のほうに走り寄り話しかけてきた。
「何者だ。すでにこの地帯はアキラ様の支配土地である。早々に立ち
去るがよい。」
「そのアキラって人が地震起こしたの?」
「その通りだ。アキラ様こそはこの世界の神である。この腐った世界を
変えてくれる御方だ。」
そういいつつ男はどこか焦点の合わない目をしている。
「この土地に住んでる人はみんな無事?」
「奴隷どものことか・・。生き残ったやつらは奴隷として使ってやっ
ているよ。なんならお前達もその仲間に入れてやろうか?」
「うるさい。」
偉そうな態度が善い人の勘に障った
それに悪人と判明した以上、これ以上話す必要はない。
悪人が身構えた刹那善い人の右アッパーが炸裂。悪人は天に飛んでいた。
その後。念のため善い人は害児に確認をとった。
「奴隷とかいってるけど。こいつら悪いやつだね。」
「その通りです。町の人たちを解放しなければなりません。」
害児は朗らかに答えた。その時、ふと二人は後ろに気配を感じ、善い
人と害児は後ろを振り向く。
「できるかな?」
宙に浮いている怪しげな男。風格がありおそらくこの人物がアキラとい
う人物に違いないと一同は思った。
害児は銃をアキラに向けつつ問いかける。
「サイキッカーですか。もしかしてあなたがアキラさん?」
アキラは目を細め、口元をゆがめた。
「よく分かったな。お前は何者だ?」
「見ての通りのしがない障害者です。」
「答えるつもりはないということか。しかしどこかで見た顔だな。はて・・。」
アキラは二人を見つつ、サイキッカーではないと把握できた。
この障害者と白服が何者であれサイキッカーでなければどうというこ
ともない。
そう考え、アキラは少し安心した。
「地震を起こしたというのは本当ですか?」
「起こしたのは俺じゃないが。本当だよ。」
善い人が口を挟んだ。
「奴隷とかいうのになってる人たちを解放してよ。」
「それがここにきた理由か。お前達に何の関係がある?」
アキラは今どきこんな馬鹿もいたかと呆れた。
「悪い事はいけないことだ。あなたも善いことをしないといけない。」
「どうやらそっちの白い服のやつは頭が死んでるらしいな・・。」
善い人の意味不明な言葉を聞き、ああなんだ狂人かとアキラは思った。
善い人はひそひそと害児に聞いた。
「頭が死んでるとかいってるけどどういうことだろ?」
「つまりあなたを馬鹿にしたいということですよ。」
害児はそれをむしろアキラに聞かせるように言い放つ。
アキラは挑発されるが、一般人風情が何を言うという顔をしていた。
「なにー。この私を馬鹿にするなんて。思い知らせてやるー!」
思い知らせてやるー!という姿はすでに残像。善い人はアキラが認識
する間もなく攻撃のモーションに入っていた。
高速移動の後剣を放つ。
「斬る!三連斬!!」
常人ではまず回避不可能な、超速攻撃、それはサイキッカーでも例外では
ない。
さらにアキラは、害児に多少気を取られており、善い人の動きを
超能力で思考を読み取るということすらしてなかった。
「ぐはっ。」
アキラは一瞬でぼろぼろになった。
サイキッカーは肉体強化もしているので斬撃をくらって即死はない。だが
エネルギーはかなり消耗する。
「な・・化け物めが。サイキッカーなのか・・?」
超人を見ればサイキッカーと思うのはサイキッカーの悲しい性なのだろう。
アキラは距離をとるが善い人はどこからか槍を取り出しさらにとどめの
おいうちをかける。
「貫け!トルネードチャージ!!」
回転、一点集中。善い人は体をぐるぐる回す。
「うぐあ。」
アキラは念で防御するがあまりの威力に全く相殺できず瀕死になる。
「待ってくれ・・。頼む。町の人は解放するから。」
アキラはお手上げ、命あってのものだねだ。アキラとしてもここには
仕事で来てるだけ。
命をかけるつもりなど毛頭なかった。
「待つ必要なんてないよ。悪人を倒すのが善い人だからね。それに
しても穀潰しと同じ技を使うようだけど穀潰しよりてんで弱いね。」
「穀潰し?ナンバー6のことか?あいつより俺が劣るだって笑わせ
てくれる。ナンバー6ならもうすでに俺の奴隷だ。
そうか・・。お前ナンバー6の知り合いだな。いいのか。俺を攻撃す
るとナンバー6が死ぬことになる。」
アキラは善い人が善人で馬鹿なことを計算し、口で勝負を挑むこ
とに決めた。
「うるさい。」
しかし善い人には理屈は通じない。
善い人はぺちゃくちゃしゃべるアキラのあごを蹴り上げる。
「いっておくけど数字の知り合いなんていないよ。わけの分からな
いことをいう。」
「あの・・。善い人さん。ちょっといいですか。」
害児は善い人の肩をチョンチョンとたたく。
「ん?」
「どうやら穀潰しさんは私達より前にここに来ててもう中でつかまってる
ようですよ。」
「そうか。捕まるのが趣味なのかな。」
害児はそうではないだろうと思ったがあえて何も言わず、善い人は
とにかく町の人を解放しなければと思った。
善い人はハエを呼び、ハエの背中にアキラを乗せて町の中に入ってみる。
「ああ・・。アキラ様が・・。」
中に入ると悪人達がアキラの無残な姿を見ておびえている。
この悪人達、アキラがやられる様を最初から見ていたはずだったが、
誰も助けに入らなかった。
とはいえ助ける時間などなきに等しかったが。
「皆さんの信望してたアキラさんはこの通りです。奴隷になってる人たちを解放
して皆さんはまた元通りの生活に戻ってください。」
害児さんがそういうと悪人達は夢から覚めたような表情になり
口々に言い始めた。
「最初から胡散臭かったんだよ。俺達もアキラにはうんざりして
たところだった。」
「そうだ。そうだ。俺達は無理やりアキラに命令をさせられていた
んだ。俺達が悪いことなんて一つもない。」
「あなた達は英雄です!これから町の人全てで祝いましょうぞ!」
何かがやがや言ってたのでとりあえず善い人はおとなしくなってもら
おうと判断した。
「S・アッパー。」
元悪人達を気合をともに殴り上げる。元悪人達は天へと吹き飛んだ。
害児はその間、めざとく怪しい場所に目星をつけ善い人に報告をした。
「善い人さん。ここから地下にいけるようです。きっとここに奴隷
になってる人たちが閉じ込められてるんですよ。」
「それは大変だ。早く善いことをしないと。」
二人が地下に降りて行ってみるととへいこら働いている穀潰しを発
見した。
「ああ穀潰し。楽しそうだね。」
意気消沈してた穀潰しは善い人の顔を見るととたん威張った。
「よお。遅かったじゃねえか。あまりのろまなんで待ちくたびれたぜ。」
穀潰しの強がりを二人は聞き流し、害児は疑問に感じてたことを穀潰し
に尋ねた。
「ところでどうしたのです?あなたほどの実力者がまんまと敵に捕まる
なんて。」
「何言ってるんだ。これはわざと捕まって敵の内部に侵入する華麗な作戦
だったんじゃないのか?」
害児は見苦しい言い訳に呆れ、無言でその場を去りほかに捕まってる人達
を助けに行った。
その場に残った善い人は、穀潰しに告げる。
「さあ・・。どうなんだろうね。ただもう悪人のボスはやっつけたよ。」
「え?アキラをか。本当に?」
穀潰しは自分が苦戦したアキラをそうも簡単に倒せるものかと
怪しんだ。
「ほら。」
善い人はハエに乗っけていたアキラを穀潰しの目の前に放り投
げる。
「こいつの得意技は集団催眠なんだが・・。根性馬鹿の善い人には
きかなかったか。」
「穀潰しの知り合いなの?」
「ああ・・。そんなところだ。しかし、こいつには不意打ちで散々な目に
合わされた。このままじゃきがすまねえぞ。」
「改めて決着をつけてやる。サイコヒール。」
アキラのきずが見る見る治る。
善い人はそれを見て驚いた。
「そんな便利なことできるんなら穀潰しが医者になってくれれば
いいのに。」
「悪いが乱発はできない。念力をごっそり使うんでな。」
「そらそろそろ起きるぞ。」
「む・・。貴様はナンバー6。」
アキラは善い人のほうを見るととたんおびえだした。
「ひえええ・・。勘弁してください。白服様。」
「おいおい。情けねえなあ。アキラ。こんなやつこうだぜ。」
穀潰しは調子に乗って善い人の頭を殴る。
「痛い。」
本当に痛そうに善い人は頭を抱えた。
「いいじゃねえか。ちょっとくらいいい思いをさせろ。それも善いこ
とだろ。」
「おい。アキラ。さっきは不意打ちで催眠かけたくらいで勝った気
になってんじゃねえぞ。
もう一度勝負だ。」
「ふん・・。ナンバーからでてもいないおまえが俺に勝つことなんて
不可能だよ。」
アキラは善い人のほうをちらちらと見ながら答えた。
「思い上がりもそこまでにするんだな。催眠さえ気をつけてれば
お前なんかに俺が負けるわけねえんだ。」
穀潰しは激昂しどうやら茶番な展開になってきたようだ。
善い人はいい加減やり取りが面倒になってきたので、害児の手伝いを
しくことにした。
「じゃあ私達は捕まってる人たちを解放してくるから、穀潰しは外で
遊んでてね。」
「おう。さっさといけ。」
アキラは善い人が射程距離から離れほっとし、穀潰しとにらみ合う。
「テレポート。」
二人は外に出た。辺りは、壊れた建物などの残骸だらけ、二人は足場
悪いためオーラを身にまとい、宙に浮いた。
「ただ力ばかり強力なだけでろくに鍛錬せず技も磨かないお前がエリー
トの俺に勝てるのか?」
まずはアキラが穀潰しに挑発を仕掛ける。
「催眠みたいな卑怯な技しかろくに使えないやろうがよくいうぜ。」
アキラからしてみれば、催眠は卑怯ではない。この最強無比の攻撃がある
からこそアキラはネーム入りを果たせたのだ。
その技を馬鹿にされアキラは心中穏やかではなった。勿論顔には出さ
ないが。
「どうやら口で言っても無駄らしいな。」
アキラは瞬時に穀潰しの後ろにテレポートする。
穀潰しは攻撃を避けるためテレポートするがアキラに読まれてしまっ
ている。
穀潰しはアキラに手首をとられ投げられてしまった。
穀潰しは、地面に激突する寸前、地面を念力でえぐりダメージを軽減
させる。
「あーあ。穀潰しは接近されるとてんでダメだな。」
善い人たちは町の人たちを解放した後。町の人たちと一緒に戦いの様子を
見ていた。
本当は建物などの建て直さないといけないのだが、町の人はあまりの
町のひどさに現実逃避していた。
そろいもそろって雁首を並べ、サイキッカー同士の戦いを見物した。
害児は、高台の上に立ち二人の戦いを解説する。
「サイキッカーとしての技量はアキラのほうが全然上のようですね。
体術も上ですし穀潰しさんが勝ってるところはサイキックのパワーだ
けですが、ためる隙がないとそれも無駄ですね。
穀潰しさんがためたらアキラさんのほうも催眠してしまうでしょうし
、これは分が悪いですよ。」
町の人はなるほどなと感心した。
そんなことをしていると穀潰しがまた投げられていた。
善い人も高台の上に登り害児と雑談をする。
「これはもう勝てないんじゃないかな。でも不思議だ。私の攻撃
は避けれたのになんでだろ。」
善い人の質問に大きくうなづき、害児は町の人からマイクを受け取ると
また説明を始めた。
「善い人さんの攻撃を先読みできたからでしょう。
アキラさんとの場合は思考の読み合いで勝てないんでしょう。
しかもアキラさんのテレポートの範囲は広大なのに穀潰しさんは見た
ところ1.2mくらいしか動けないようです。」
実際は穀潰しはテレポートをつかえていないが、さすがに洞察力鋭い害
児でもそこまであほなことは見抜けなかった。
町の人は害児の的確な説明に感心し、二人の勝負にみとれた。
勝負は泥沼(穀潰しが小技の打撃をうけるだけ)の持久戦になった。
町の人は飽きてしまって家に帰ってしまっている。家と行ってもほとんど
瓦礫だったが。
そして日も傾きかけていた。
「長いねえ。」
善い人は砂場で子供達と山を作って遊んでいた。こんなときでも子供は
無邪気だ。
害児はそばで読書をしている。
「日が暮れそうですよ。」
「帰ろうか。」
「ええ。とりあえずもう町は大丈夫みたいです。これで地震がおさ
まるといいんですけどね。
穀潰しさんの戦いは、連日になりそうですからもうここにいても
無駄でしょう。」
「帰ろう。」
善い人と害児は茶番を見せつけられてうんざりし、まだ戦っている
穀潰し達を後にして家に帰った。
その頃ハイテンションな穀潰したちの戦いはまだ続いていた。
「この俺は不死身だ!」
穀潰しは一方的に攻撃を受けるが見る見るうちに傷を再生させてしまう。
「さすが我が好敵手。やるな。」
「お前もな。」
こうして夜がふけ戦いはさらに続く・・。この戦いは三日三晩続いた伝説の戦い
になった・・。と穀潰しは後に語った。
情報ファイル
・サイキッカーについて。
超能力者の組織。
この世界の悪役勢力の一つ。
ネーム入りとナンバーズ。
普通のサイキッカーはナンバーで呼ばれている。穀潰しは元6で、これは
6番目に組織にはいったわけではなく、昔の6番目がいなくなったので
6という理由。
ネーム入りは、サイキッカーの中で強い人が与えられる名前。
与えられた以降はナンバーではなく名前で呼ばれる。
名前の由来は、昔組織に貢献した元祖サイキッカーの名前で、そのため
定数のみのネーム持ちとなる。
・サイキッカーの能力
元々の素質とそれを扱う技術、さらにそれを補う道具などで決まる。
さらに大きく分けて二つに分類される。
念力の練りこみと脳波の安定
念力の練りこみは素質に大きく依存するが技術の精度でも差はかなり
でる。
脳波の安定は長い訓練による技術の習得が不可欠となる。
穀潰しは練りこみのスピード遅いが、許容量が無限に近いので、
パワーは大きい。
念力の練りこみ
・エネルギー系、エネルギーに念力を練りこみ放出させる。
穀潰しの得意技。
・肉体強化系、肉体に念力を練りこみ強化する。
穀潰しのみ死んでも復活するほどの効果を発揮する。
・操作系、物体に念力を練りこみ操作する。つまりサイコキネシス。
動かすだけではなく、爆発させたりすることもできる。
テレポートもこれに当たるが、テレポートは扱いが難しく、脳波の安定
も必要となる。
脳波の安定
・読み込み系、サイコメトリーによる瞬間読み込みと、予知による
読み込みがある。
大抵のサイキッカーはメトリーによる読み込みを得意とする。
予知は大抵時間がかかるので実戦には向いていないが、ネーム持ちで
予知を得意とするものがいるとも聞く。
・感覚超越系、透視、遠視など。視覚などの感覚を脳波に転換する能力。
例えば、遠視などは、視覚で見ている物の認識と地球の裏側を見てい
る認識を同時に行うというもの。
例をあげれば自分が複数人いて感覚を共有しているような感じ。
アキラの催眠もこれに当たる。アキラは練りこみよりも緻密な技術による
技を好む。
アキラの使う集団催眠は、アキラの得意技で、瞬時に広範囲に
当たって相手の思考をコントロールできる。
サイキッカー以外の相手に対してはほぼ無敵。
普通催眠は、道具を使って行うものでさらに複数人を操るのは至難の業
だが、アキラは長い訓練でそれを可能にした。
ただし、脳波の安定系は、同じサイキッカーでは技術のせめぎあいで
効力を発揮するので、自分より上手の相手には瞬間催眠できず時間が
かかる。
+注意+
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