第三十九幕 行動開始
「そうなると具体的には、善い人さんにどう対処するかであるが・・。」
ガスはそう口火を切った。
穀潰しやアッチラに、物事を考える頭があるとは思えない。
「俺なら、20秒は抑えられるが、最終的に勝つことは無理だろうな。
穀潰しはどうだ?」
「ひゃっは!俺は手前らみたいな雑魚とは違うぜ!」
ガスはまたどうせいつもの茶番だろうと思った。
アッチラは割合真剣に戦力を検討している。
「なら、善い人は穀潰しに任せるとして、
他の雑魚は俺とガスで制圧すればいいだろう。」
「そうであるな。その後我輩と義賊君が穀潰しに合流して、共闘すればいい
。」
ガスはその前に逃げるつもりだ。善い人と戦うメリットが彼にあるわけ
はない。アッチラにしてもすぐやられるだろうから、結局穀潰しVS善い人
といういつもの構図になるだろう。
穀潰しは少し考えた後言った。
「潮時かも知れねえな。」
「?」
二人はその言葉を聞いて首をかしげる。
「ああ・・。善い人と戦うってことだ。
やつともそろそろ決着をつけないといけねえと思ってな。
いい機会だろう。あいつも不死身に近いみたいだが・・。」
ガスは穀潰しが善い人に勝てるわけないとは思ったが、念のためにフォロー
しておいた。
「穀潰し。本気でいってるのか?何のメリットもないように思えるが。」
「商人風情にはないだろうぜ!これは俺の意地の問題だ!」
ガスはああそうですかい、勝手にやっておくんなせえと思い、ぷいっと
横を向いた。
アッチラは黙っていられなかった。こんな阿呆でも彼は善人組織の
四天王の一人なのだ。
「善い人は、俺達善人組織にとって、重要な人材だ。
むざむざ殺させるわけにはいかないぞ。」
「ひゃっははは。じゃあお前は善い人の味方をすればいいじゃねえか。」
アッチラは大振りな身振りを交えつつガスに話しかけた。
「やつはクレイジーだ!」
ガスはわずらわしそうにいった。
「どうせうまくいかないだろう。好きにやらせておけばいいのだ。」
「そうだろうぜ。善い人を倒すなんて大それた野望は、この英雄アッチラ
にこそふさわしい。」
そういってアッチラは穀潰しに向かって挑戦的な視線を放った。
「お前が?ひゃっはっはっは。笑わせてくれるぜ!」
アッチラがにやりとして、仕込み刃を仕込んだ蹴りを放つのと、ガスが
何事か察して退避するのと同時に穀潰しも動いた。
「潰れちまえ!ランダムスフィア!」
破裂する性質を持った球状のいくつもの衝撃波が穀潰しから放たれる。
アッチラはその攻撃を全てかわし、穀潰しに再び対峙したときには、
すでに穀潰しの姿はなかった。
見張りの兵士達もどこかいってしまったようだ。
「あの馬鹿やろう!俺達の計画は見張りの兵士達に丸聞こえだったぜ!」
アッチラは、わめきちらす。
「義賊君。悪いがここから先は君の馬鹿のりにはつきあえないのだよ。
足手まといになるようなら我輩はひとりで行くが?」
その言葉を聞きアッチラは顔を真っ赤にして激昂した。
「このうすのろ!さっさと歩け!」
アッチラはガスから奪った棍棒で、ガスの後ろからがつんをくらわし、
転ぶガスを尻目に、英雄アッチラ様のお通りだーと奇声を上げて、
地上への階段を上っていった。
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