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殺戮天使 蒼の章
作:弐乃菜子



蒼の章 17


              7

七月六日を示す時計の針は、残すところあと数センチ。
もうじき日付は七日に変わる。
天気は快晴。
このままいけば織姫と彦星は一年ぶりの出会いを気分良く迎えるだろう。
竹は愛刀を脇に抱え、ビルの屋上にいた。
一人、月明かりをスポットライトに、虚空を見上げ佇んでいる。
悩みはもうなかった。
昨日と今日、一日中考えて答えは得た。
耶麻寺早雲は殺された。
恐らく、魔法使いと怪物によって。
必要なくなった役者は舞台から降ろされたのだ。
そして、あの少女もやるべきこと、『天倉竹を殺す』という目的を終えれば、舞台から降ろされるだろう。
そんな事はさせない。
『神の複製品』たる天倉竹は、死に逝く天使を、見捨てる様な神ではない。
例え体は複製品であっても、心はオリジナルなのだ。
竹は視線を元に戻す。
視界いっぱいに広がる夜景。
背の高いビルの屋上からの夜景は、いつ消えるかわからない雲の上から、下界を見下ろしているように心許ない。
暗く、光の届かない夜の街は奈落を思わせる。
暦の上では、夏ももう目前に迫っているというのにどこか肌寒く、屋上の海の底のような静けさは、安息とは程遠い。
夜空を見上げる。
暗闇に天の川が煌く、凍える様な銀色の月が、暗黒の闇の隙間から、こちらを嗤って見下ろしていた。
三百平米ほどの広さを持つビルの屋上は、打ちっ放しのコンクリートが続く床と、エレベーターと階段が設置されている小部屋があるだけで、他に目に付くものはない。
寂しいビルの屋上。
ただ、今この時だけは異世界だった。
屋上に人の気配はない。
だが、灰色の床には確かに二人分の影が、床を侵食するように伸びていた。
冷たい月が、
『神の複製品』と、
『殺戮の天使』を照らし出す。
 時計の針が頂点を指した。

              *

『黒の命を受け
 私は殺す
 黒の名の下に
 私は殺す
 黒の翼を貰い受け
 私はあなたを
殺します』

少女は狂戦士の呪い歌を謡う。
白い羽根を右手に、
黒い小さな拳銃を左手に、
金砂の髪を夜空の闇に泳がせ、
青蒼の瞳を彼女の闇に輝かせ、
少女は、殺戮の天使となり舞い降りた。
漆黒だった闇が鮮烈に彩られる。
それに共鳴するように、
神の複製品は、神殺しの刀を鞘から抜いて構えた。
その瞳は白く輝く銀色。
観客は夜空に瞬く夫婦の星と、空に穿たれた穴の様な銀の月。
神話の時代の戦いが、現代の天界で始まろうとしていた。

          *

少女は蒼い瞳を輝かせながら薄く笑った。
内心、余裕のある竹はそこに少し違和感を覚えた。
竹にはこれから殺し合いをする、という感覚はない。
目の前にいる少女と自分、そこには圧倒的力の差、絶対的に乗り越えられない壁がある。
これは決して傲慢ではない。
神と天使。
遣うものと仕えるもの。
支配者と従者。
そういう風に作られた。
その差が明確にあるというだけだ。
ただ――それだけのこと。
唇に笑みを浮かべたまま、少女の疾走が始まった。
乾いたコンクリートの足場、高所ゆえの強風の中で、見惚れるほどの速さだった。
三十メートルの距離を詰めるのに、おそらく一秒とかかるまい。その速度は以前対決した時のおよそ三倍。人一人を殺すのには十分すぎる時間だ。
しかし、その驚異的な速度も竹には及ばない。
竹は愛刀を片手に少女の繰り出す斬撃を全て紙一重で避ける。そして、更に繰り出される斬撃を避けながら考える。
やはりどこかおかしい。
前の時忠告した通り、彼女は本気で自分を殺しにきている。
万全の状態で挑んできたのだから、段違いの能力を見せてもおかしくはない。だとしても、どこか少女の様子はおかしいのだ。
右斜め上から袈裟切りのように切りつけてきた攻撃を上体を反らすだけで避ける。
口元に笑みを浮かべたまま、少女は空振りに終わったナイフを反転させて下から突き上げ、竹は少女の右手に軽く蹴りを入れて軌道をずらし、後ろに飛んだ。
右手を蹴られて、体勢のずれた少女は幽鬼のようにゆらりと体勢を元に戻す。
なおも口元は歪んだまま。
少女は殺し合いを楽しんでいるようだった。
――ああ、そういうことか。
竹は少女の狂気に満ちた笑みを見て理解した。
少女が先ほど謡っていたものは、自分の想像していたものとは違う。
てっきり竹は能力解除の歌を教わっていたのだと思っていた。
しかし彼女が口にした歌は全く別物らしい。
恐らくあれは『ベルセルク・ソング』。
謡うものを、殺戮を楽しむ狂戦士へと変貌させる呪歌だ。
完全なる勘違いだった。
竹が理解したと同時に少女が何かを呟いたのが聞こえた。
「――羽根よ」
少女が右手に持っていた白いナイフを天空へと投げると、少女の頭上の空間に無数の羽根のようなものが現れた。
そしてその羽根の一枚一枚が、少女の背後に集まり純白の翼を形成する。
まさに天使の翼だった。
それを自分の眼で捉えた竹は、内心で舌打ちをする。
被害者達が切り刻まれて、死んでいた理由が漸くわかった。
あれは少女が行けと命じれば、即座に機関銃のように速射され、追尾弾のようにあらゆる角度から迫ってくるのだろう。
現に羽根の一枚一枚は装填された弾丸のように、今か今かと命令を待っている。
無数の羽根たちは一つでも食らえば、そこからたちまち生気を奪うものだ。
そうなると、次弾を避ける難易度は、ほぼ不可能なほどに跳ね上がる。
被害者たちはそうやって、瞬く間に切り刻まれたのだろう。
なるほど宝具としては一級品だった。
恐らく全弾食らえば、家の一軒くらい簡単に吹き飛ばす威力を持っている。
――とにかく、避けなければ天倉竹といえど危ない。
「切り刻め」
その羽根は少女の号令を合図に、白い流星となって放たれた。
右から。
左から。
上から。
下から。
 前から。
 後ろから。
 あらゆる角度から、弾丸を超える速度でその羽根は襲い掛かってきた。
竹はほとんどギリギリのところで、自分に向かってきていた弾幕をかわす。
かわしきれないものは、仕方なく使いたくなかった愛刀で切り落とす。
避けた数と切り落とした羽根の数は実に五十四。
それでも一向に羽根が減る気配はない。
状況は何も変わっていなかった。
否、状況は変わらずとも、両者の距離が縮まっていた。
竹はじりじりと、じわじわと少女に近づいている。
そして、正面の弾幕の薄くなった瞬間、少女に向かって思い切り跳躍した。
天使の羽根の特性。
触れたものが天使以外であれば、持つだけで生気を奪い取り。
そのナイフに切りつけられれば天使であっても生気を取られる。
この羽根の攻撃は少女にも有効であるという事。
つまり幾ら操れるとは言っても、自分にも危険が及ぶ可能性のある至近距離でなら、無闇に羽根を放つ事は出来ないはず。
竹が羽根を避けながら、切り落としながら考え出した、唯一の道。
しかしこれは、作られた道だった。
竹が跳躍したその先には、天使が死神の鎌を構えて薄く笑っていた。
それに気付いた竹は、すぐさま跳躍していた方向を変えようとしたが、既に竹の周囲は真っ白に取り囲まれていた。
出口は死神の切っ先だけ。
――やばいな。
竹は愛刀を握りなおし、自嘲にも似た諦めたような笑みを浮かべて、そのままの速度で少女に突っ込んだ。
二発の銃声。
何枚かの羽根が甲高い音を立ててコンクリートに激突する。
ほこりっぽい煙が舞いあがり、瞬時に屋上の強風に飛ばされる。
その中から、傷だらけで血まみれの竹と、輝きを失った蒼い瞳をした少女が現れた。

夢を観ているような感覚。
私がいつもあの切れ端に書かれている通りの歌を謡うと、どこか別の場所から自分を見ているような感覚にとらわれる。
実際動いているのは私だし人を殺しているのも私だ。
だが少なくとも自身の意志では動いていない。
いや、私は私の意志でこうなることを望んだのだからやはり意思はあるのだろうか。
しかし、意識があるというだけで体は私の思った通りに動いていない。
どころか、私の思った以上の動きを自動的にしている。
自分が演じている劇を、リアルタイムで別の私が見ている。
そんな感覚。
「切り刻め」
私がそう言うと、私の頭上に展開していた羽たちが流星のように彼に降り注いだ。
今まで殺してきた十四人中、半分がその瞬間に死んだ。
もう半分は羽根を避けた数が二桁に届くあたりで死んだ。
しかし、この少年がそれで死ぬとは思えなかった。
だから私はあえて道を作り、少年を誘い込んだ。
少年はまんまとその仕掛けに掛かった。
だが、目の前の少年は傷を負いはすれども死ななかった。
殺す気で放った弾丸は少年の肩に穴を開けただけ。
滅す気で操った羽根は少年の体に浅めの切り傷をつけただけ。
戦果といえば、今にも落ちそうな少年の左腕だけ。
唐突だが、私は初めての事に弱い。
初めて笑いかけられたときも。
初めて名前を聞かれたときも。
初めて好きな人たちができたときも。
そして、私は初めて標的を殺していないのにも関わらず、夢を観ているような感覚が消えていた。
わけがわからなかった。
なぜ私は生きているのか。
動揺して頭の中の考えが纏まらない。
やっぱり私は初めての事に弱いみたいだ。

「ふう」危なかった。と竹は心の中で呟く。
服がところどころ裂け、その下に無数の切り傷。右肩には二つの銃創。左腕は肘の辺りから辛うじてつながっている風に宙ぶらりんになっている。
切り傷の方はどうってことないが、右肩の穴は結構まずい。出血が激しく、どこか腱がやられたのか殆ど上に上がらない。
取れかかっている左腕は諦めた。ただこちらからも滝のように血が流れ出ているので、楽観は出来ない。
だがその犠牲を払ってでた行動は一応成功したようだ。
目の前の少女は自分に何が起こったのか戸惑っている原因。
竹は右肩と左腕を犠牲に呪歌によって、狂化状態だった少女の呪いを解除した。
竹の愛刀、神殺し『夜月』。
神話の時代に、神が神々を殺すために生成した、神性を奪い取る刀。
神以外を斬る事の出来ないナマクラ。
『夜月』の能力は二つある。
一つは、斬り付けたモノの神性の剥奪。
竹はその能力を極限まで落として使用し、少女に傷つけることなく、呪歌の効果だけを奪い取った。能力を落としたのは、そうしなければ殆ど神域に達している、神格持ちの彼女を傷つけてしまう為である。
『夜月』が少女を斬り付けた時に、竹は少女の漆黒が何色なのかわかった。
今この少女の持つ色は、絶望の黒だ。
その色はとても彼女に相応しく、そしてそれ以上に不似合いだった。
なぜならこの天使には、この星のように透き通った蒼色の方がよく似合うだろうから。

「……あなた、今何をしたの?」
「何をしたって……見えなかったのか?」
……激突の瞬間、私はデリンジャーを二発放った。
二発の弾丸は逃げる場所のない少年の脳天に、確実にぶち込まれたはずだった。
だがこの少年は無理やり体勢を捻り、右肩を犠牲にすることで、それを避けた。
しかし、自動的な私はそのくらいの事なら予想できていた。
私は弾丸を避けるために、不利な体勢になっていた少年の心臓部にナイフを突き立てた。
――はずだった。確かにナイフを持つ私の右手にずぶりと肉と骨の中を浸透していく感触はあったが、それは少年の心臓を突き刺したのではなく、心臓を庇った少年の左腕を突き破る感触だった。
そして、次の瞬間、もしくはそれと同時に私の右脇腹から左肩に抜けて、もの凄い衝撃が走った。
私は右脇腹から左肩にかけて、彼の持っていた刀に斬り付けられたのだ。
無駄のない、圧倒的な鋭さで一閃。
肉を裂き、骨を立ち切る澄んだ音。
私は殺された。
これで死ねると思った。
それは長年忌避していた恐怖であり、これ以上ない安息だった。
だが私は死んでいなかった。
それどころか体には傷一つなかった。
「あれ?」私は首を傾げる。
自動的な感覚がなくなり、私はいつもの私に戻っていた。
夢から覚めたような感覚。
その時、私は間違いに気付いた。

「あれ?」膝が、がくっと落ちそうになった。
これは、まずい……
どうやらどうってことないと思っていた、無数の切り傷と諦めた左腕の傷のほうがまずかったようだ。
天使の羽根は吸収の能力を有している。
その能力を甘く見すぎていた。
穴の開いた風船のように、みるみる体から力が抜けていき、目の前が少しづつ霞んでいく。
とりあえず竹は、もう使い物にならないであろう左腕を、自らの刀で肘から切断した。この刀は、人を傷つけることは出来ないが、神ならば斬る事が出来るのである。
悲鳴を上げたくなるくらい痛かったが、ここで悲鳴を上げては格好がつかない、と我慢した。
左腕を切断したことでそこからの彼女の宝具の効果は抑えられたのだが、それも焼け石に水だった。
竹は彼女の宝具の能力によって、徐々に力の抜けていく体を奮い立たせる。
まだ、ここで倒れるわけにはいかない。
幕はまだ下りていない。
目の前の天使を舞台から解放するまでは。

傷一つ負っていない少女と満身創痍の少年が再び対峙する。
「私が私の意思であなたを殺したいなら、受けて立つって言ってたんだっけ」少女はため息をついた。
「ああ、言ったな」
「ごめんなさい。間違っていたわ。私の意思であなたを殺すなら、あんな余計な事、『歴史』に書かれた歌を謡うなんてするべきじゃなかったね」少女は苦笑いにも似た微笑を浮かべる。
「別に良いよ。気付いたんだからな」少年は疲れた顔で皮肉にも似た微笑を浮かべる。
「それじゃあ私から言うのも難だけど仕切りなおし」少女が再び白い羽根を握りなおす。
「OK。こっちもそろそろやばい。さっさと終わりにしよう」少年が上がらない右腕で愛刀を持って、だらんと構える。
少女の瞳に再び蒼い光が灯りだす。
ただし今度は、自分の意思で。
『歴史』に載っていた歌なんか謡わずに。
 少女は思う。
これから数十秒後に自分は確実に殺されるだろう。
自分の意思で向かってくる相手に対して、この少年は容赦しない。
だからこそ、ここに来る前に決意したものが達成できる。
最後の死は私の死。
「それじゃ、いくね」少女は流星のように弾け跳び少年を目指す。
少年は少女のその様を、目を細めて嬉しそうに迎え撃つ。
『歴史』にはない、神と天使の死の舞踏(ダンス)が開始された。
激突からの斬撃。
斬撃からの回避。
回避からの打撃。
打撃からの受け。
受けからの銃撃。
銃撃からの払い。
払いからの激突。
月明かりだけが唯一の光のビルの屋上で、笑い合いながら殺し合うその様は、限りなく神々しかった。
観る者が、悲しくなるほどに。
それは演者である、少年も同じだった。
竹は少女から一旦距離をとった。
友人たちの台詞が思い浮かぶ。
『気分屋』
『なんか適当に』
『我が侭』
竹はそれらを思い出しながら、全ての感情を込めた、無感動な声で言った。
「随分好き勝手言われたけど、よくよく考えてみればその通りなんだよな。オレは気分屋で適当で我侭な愚かな王様気質なんだよ――悩む必要なんてなかった。オレはやりたいようにやれば良い」少年の漆黒の瞳が銀色に燃える。
『ぶっ壊す!』
「今回ばかりは、あの優柔不断に感謝しよう。一番手っ取り早い解決方法を、思い出させてくれたんだから」
それに呼応するように神殺しの刀が怪しく銀色に輝く。
『夜月』の二つ目の能力、奪った神性を、ただ純粋な力の固まりとして具現化させる。
「堕ちろ、夜月。こんな面白くない『舞台』はぶっ壊せ」少年が、全てを服従させる絶対的な声で世界に命令すると、
神殺しの刀『夜月』が竹の手から消失した。
それと同時に竹の頭上から少女に向かって、新円を描いた白銀の月が、堕ちてきた。
天使は逃げる間もなく、白銀色をした夜の月に押し潰された。

 ビルの屋上は水を打ったように静かだった。
 あれだけの攻防があったにも関わらず、ビルの屋上の損傷は少女の羽根で出来たいくつかの穴くらいで、それ以外は殆ど無傷である。
 それと対比するように、直撃を受けた少女は服も体もぼろぼろの状態で言った。
「殺さ……ないの?」
 少年が放った桁外れの攻撃を、自分の前に展開させた翼で受ける事で何とか死は免れた。
 しかし死を決意してきた自分が、なぜ死を免れるような行動に出たのだろうか。
「殺さない。別にオレはお前を殺したいわけじゃない。オレは受けてたっただけだ。それに死にたがっている人間を殺すわけないだろう。自殺の手伝いは御免だね」少年は満身創痍の体で答えた。
――それはいつかの少女の台詞。
少年は無自覚にそんな少女の過去をなぞるように言った。
「ああ、そうだ。まだ聞いてなかったっけ。お前の名前は?」
「……」
――声が、出なかった。
「まあ良い。それじゃあお前はさっさと普通の世界に戻って、学校にでも行け」竹は意識が飛びそうになるのを堪えながら、つまらなそうに言った。
「……」

どうしたんだろう。とても声が出しにくい、喉が潰れているような感じ。それに視界が滲んで頬が熱い。
――ああ、私は今泣いているのか。
それがわかった時、私はまだ死にたくなくなった。
だって……私はまだ涙が出るほどに人間だったから。
使われるだけの駒じゃなかったから。
九音さん。
一馬さん。
もう少しだけ生きても良いですか。
目を瞑ると、滅多に笑わなかった九音と、いつも作り物の笑顔だった一馬が、優しく本物の微笑みで頷いている姿が見えたような気がした。

「お願いがあるの」少女は震えた声で竹に言った。「私のポケットに小さな箱が入っているから、とってくれない? もう腕が動かないの」
竹は女性のポケットに手を入れる事に少し戸惑ったが、言われた通りに少女のポケットから小さな箱を取り出し、少女に渡した。
少女は、薄汚れたその箱を開けるように言う。
錯覚だろうか、竹にはその箱がどこか宝石箱のように輝いて見えた。
――今まで少女は、肌身離さず持っていたオルゴールを開けたことがない。
竹は意識が飛びそうなのを必死で誤魔化し、箱を開けてあげた。
開いた小さな箱から飛び出てきたものを見て、
少女は息を飲み、
少年は見惚れる。
緩やかなメロディとともに、飛び出してきたのは、
手を取り合って楽しそうに舞う、天使と悪魔の人形だった。


お読み頂きありがとうございます。蒼の章のラストです。とりあえずの解決です。竹の解決の仕方に納得いかない方もいますでしょうが、彼は既にレベル100の力を持っていても所詮は17歳の高校生。色々考えたところで、理論も理想も現実もぶっ飛ばして、その場その場の感情で動く人物です。なのでこれからの竹の成長と堕落を生暖かく見守って下さい。
本当はエピローグも今日UPしようと思いましたが、そっちの日付が7月10日だったので、その日に変えました。心変わり、完全に自己満です。すみません。











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