斬るのみっ!!(27/27)PDFで表示縦書き表示RDF


 戦乱は終わりを迎え、平穏が世を包みはじめた。  斬るのみっ!!ようやくの完結!
斬るのみっ!!
作:ごん太



終 地平線は遥か遠く…



 季節はめぐり、あの出来事も遠い過去になりはじめていた。

 天津華神社の石畳を、栗色の長い髪の巫女が竹ぼうきで掃いている。

 楓はあの後、剣を置き、再び天津華神社で巫女として働きはじめた。

 照り付ける陽の光を左手で隠し、空を見上げる。

「今日も良い天気で何よりだな」

 清楚な外見とは裏腹に、口調は相変わらずのぶっきらぼう。

 石畳を急ぎ走る足音に目を向けると、少女が駆け寄って来ていた。


 歳は、十五、六。
 身長は五尺ほど。
 栗色の長い髪を編み、格好は淡い黄色の着流し。
 左腰に使い古された木刀を差している。


 楓の前に立つと、少し呼吸を整え、話出そうと口を開いた。

「母様!……うぅっ」

 急いで走り、胃を揺らしたせいか、内容物が逆流しそうになり、両手で口を塞ぐ。
 少女は嘔吐感を堪えると、顔を上げた。

「そんなに急いでどうした?剣の稽古なら、明日にな。今日は忙しい」

「いえ!実は、剣術修行の旅に出ようと思います!」

 少女の言葉に、楓は深くため息をつく。
 一度言い出したら聞かない事はわかっていたため、止める事は考えなかった。

「いつ?」

「今日!」

「今日!?いや、いくらなんでも急過ぎだ!」

 少女はその言葉に、ニヤリとさせ、文を渡す。
 文を広げ読みはじめると、楓は再びため息をついた。

「真吾が許したのなら、仕方ないな。無理はするなよ?」

「はい!それでは!」

「ま、待て待て!路銀はあるのか?」

 少女は懐から、ジャラジャラと音を鳴らす布袋を取り出す。

「父様に頂きましたから」

「全く、紅葉には甘い」

 紅葉と呼ばれた少女の頭を優しく撫でると、こくりとうなづく。

「では、行って来ます!」

 紅葉を見送ると、楓の後ろから声が聞こえた。

「行ったようですね」

 楓は声の方に向き、ため息を一つ。
 そこにはニコニコ笑う、白装束姿の真吾が立っていた。

「誰に似たのか」

「そうですね」

 真吾は楓を見ながら、相変わらずニコニコしている。
 何か言いたげな笑顔に、楓は睨みつける。

「何か言いたそうだな」

「いえいえ」

 パタパタ手を振ると、真吾は仕事に戻った。
 楓は紅葉の向かった先をしばらく見た後、掃き掃除に戻った。

――――――

 紅葉は街道を行く宛ても無く、気ままに歩いていた。

 都の外を出る事があまりないため、目につくモノ全てが新鮮に映る。

 しばらく歩くと、道端に妙なモノを見つけた。
 道端の草むらに、大の字になって倒れている少女。
 不審に思いながらも、銀色の髪や着ている紅い着物にひかれ、近付いた。

 少女は目を閉じ、寝息を立てている。

「こんなところで?」

 紅葉の言葉に、少女はゆっくり目を開けた。

「……ん」

 体を起こすと、両手を高く上げ、背筋を伸ばす。
 首をグリグリと回すと、少女は紅葉を見た。

「ワシに用か?」

「ワシ……?」

 少女の妙な言葉使いに、紅葉はクスクス笑う。
 紅葉の態度に、頬を風船のようにぷくぅとふくらませる。

「顔を見るなり笑いおって、失礼なヤツだのう」

「だって言葉使い、変だよ?」

 紅葉の言葉に、少女はさらにふくれる。

「生まれつきなのだ、仕方なかろう!」

 少女は立ち上がると、着物についた葉っぱをパンパンと払う。

「ヌシの髪、綺麗な色をしておるの」

「ありがとう。でも、あなたの髪も銀色で綺麗だよ」

 少女は紅葉の回りをグルリと一周すると、腕を組み考え込んだ。
 少女の奇妙な行動に対し、楓は不思議そうな表情を浮かべる。

「どうかした?」

「ん?うーん、ヌシ、どこかで会ったか?」

「はじめて会った、と思うよ?」

 少女は考え込みながら、紅葉を見つめていた。

「ところで、こんなとこで何してたの?」

 紅葉の問い掛けに、少女は首を横に振る。

「わからん。気付いたらここで寝ていた」

 少女を見捨てるわけにもいかず、ある結論を出すと、楓はうんっと大きくうなづいた。

「じゃあ、家まで送るよ!行こっ!」

 少女の手を引かれ、街道を歩きはじめた。

「強引なヤツだのう。 いつだったか、ヌシのようなお人好に世話になった気もするが…」

 少女は思い出しそうで思い出せない、そんな気持ちの悪い感覚から解放されようと、必死に記憶を探る。 紅葉は、その姿を横目で見ながらクスリと笑う。

 正面に向き直ると、少し先の街道沿いに茶屋を見つけた。

「あ!茶屋があるよ。寄って行かない?」

 紅葉の言葉に、少女はうんうんと何度もうなづき、瞳をキラキラさせた。
 その様子を見て、楓はニッコリ微笑むと、ある事を思い出した。

「まだ名前言ってなかったよね。私は楓、よろしく!あなたは?」

「ワシは……





 2人の歩く道、地平線は遥か遠く…


   新たな旅は、

 はじまったばかり……



   斬るのみっ!!

    ―終幕―


 よーやく終わりデス。少しでも楽しんで頂けていたのならナニヨリです。   最後の文で続編をほのめかしていますが、予定はありません。                    少女は結局ギンなのかもしれませんが、読んでいるとわかりますが、彼女は全く記憶がありません。   結局、ギンだったのか? 生きていたのか?    なぜ、あそこにいたのか?謎が残ってしまいましたが、皆様の想像にお任せします。丸投げです。                それでは、最後まで読んで下さった方々、ありがとございました!













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