この作品は『ジャンルシャッフル企画』にて、私「現在星桜」が「推理」というジャンルに挑戦するという企画の元に書かれた小説です。また、この作品の中で、同じ企画に参加されている作家様方の名前が出てきますが、全てフィックションです。
プロローグ「山吹の花」
『花咲きて 実は成らずとも 長き日に 思ほゆるかも 山吹の花』
―――万葉集
――――
――街は、様々な光が瞬いていた。
赤に、黄色に、青に、紫に輝くネオン達。煌びやかに、空までも明るく燈していた。
この光に包まれていると、そこにいる人々の生命力があふれているのを感じる。
遠くの談笑。車のエンジン音。何処かの店から流れてくる旋律。賑やかで。華やかで。
初めて見る世界なのに、ここがずっと昔からこんな景色を映し出して、彼らを楽しませていたと――私に伝えてきた。
でも。
私に『淋しさ』という気持ちを連れてくるのは、何故?
私の左右をすれ違う、行き行く人々。
目的もなく、ただ歩いている私に好奇の視線を時折感じても――私という一人の人間が、道端に落ちている小石のように見られて。
私も他人なんだ。ここにいる人達にとっては――私も自分に関係の無い人間という物なんだ。
――私は、ここでなにをしているのだろう。
深夜でも、こんなに明るくて、人がたくさんいて、賑やかなのに。
私は――ひとり。
『こんなところにきてんじゃねぇよ』と、街が言ってる。
この街に、何を期待して、何を望んでいたか――もう忘れてしまった。
淋しくて心細くて。寒くも無いのに、体が震えてる。
私、やっぱり場違いだった。
――帰ろう。
私の場所は、ここにもないんだ。ここにいても何も変わることはないんだ――。
そう思ったとき。一人の男の人と目が合った。
今までの好奇の視線と違う瞳。
彼の瞳に映ってから、私は――。
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