第三話・福引に一等って入ってないんじゃないでしょうか?
はい、第三話目です。
今回で能力を…と行きたいところですがね。
下書きなしではさすがに辛いですね。
それはともかく第三話始まり始まり…
はい、伊那楓です。
前回では死ぬか生き返るかという、そうそうする事が無い決断をしました。
…彼女には精一杯人生を生き抜いてほしいですね。
「さて、お嬢ちゃんはどうする?」
「どうすると言われても…どうしましょうか」
やっぱり死んでいるんですから、このまま生まれ変わるとか?
「お嬢ちゃんさえよければなんじゃが…異世界に生まれ変わる、という事も不可能ではないが。」
「異世界…ですか?」
「お嬢ちゃんならば異世界に行っても生き抜いていけると思っての。まあ、その異世界は魔法が有ったり、魔物がいたりと物騒じゃからな。必要な力は与えるつもりじゃ…くじ引きで!」
「ありがとうございます。」
「…くじ引きの部分に突っ込んでほしかったわい」
「まあ、このまま普通の世界に生まれ変わってもいいんですけどね。魔法とかが有るのならそっちの方が楽しそうですし。ところで記憶って持ち越せますかね?」
「…まあいいわい、生まれ変わるといってもお嬢ちゃんの今のその姿をそのまま向こうに送るという形になるんじゃが。よければ容姿やその他諸々も変えれるが?」
「いえ、それはいいです。親から貰ったものですから、変えたくありません。必要なのは言語や知識ですね。」
「まあいいじゃろ。それじゃあ、肝心の能力じゃが…」
神様?が指をさすと地面から机がせりあがってきた
机の上には大きいサイコロが乗っている。
お昼にやっている大きいライオンが出ている番組で使っているものに似ている。
「サイコロ…ですか?」
「うむ、まずそれで与える能力のジャンルを決める。」
ジャンルですか…
サイコロを見てみると、マンガ、小説、映画、アニメ、ゲーム、オリジナルと書いてある。
「これを振るんですか?」
「そうじゃ、問答無用、女は度胸、さあ、さあ!」
神様?の暑苦しい態度に負けてさっさとサイコロを投げた。
「ふむ、出た目はゲームか。」
ゲームか…
「ゲームと言ってもほとんどやらないので分かりません」
「その点は大丈夫じゃ。異世界に行った時点でそのゲームに関する知識を与えるからの。」
そう言ってサイコロを消してカードを取り出した。
「さて次は、ゲームタイトルを決めるぞ。まあ、これとこれとこれなんかいいじゃろ。」
そう言って五枚のカードを机に並べた。
「さあ、この中から選ぶんじゃ。ああ、安心するんじゃ、どれを取っても当たり外れはない。使い方次第じゃ。」
「…まあいいです。貰えるものは貰っときますよ。」
そう言い直感で一番左のカードを取った。
それには丁寧なゴシック体で二文字、アルファベットの最初と三番目でこう書かれていた。
「AC?」
「ほう、それを取ったか。まあまあじゃな。」
それだけ言うとカードは消えてしまった。
「ところでACってなんですか?」
「まあそれは異世界に行ったら分かるわい。次にこれじゃ。」
そう言ったと思ったらよく街で見かける福引機、正式名称・新井式回転抽選器が現れた。
「中には…まあ色々入っとるから引けばわかる。」
そう言われてガラガラ回した。
余談になるが私はこの手の福引でポケットティッシュ以外を貰ったためしが無い。
嫌な事を思い出していると乾いた音が聞こえてきた。
「さて、どれどれ。」
神様?が出た玉を見ると
「なるほどの、この作品か…」
それを横から覗き込んでみると、小さく4系と書かれていた。
「さて、決定じゃ。ジャンルはゲーム、タイトルはAC、ナンバリングは4系じゃな。」
「まあ、よく分からないのでなんでもいいですけど。」
「与える能力も決まったことじゃし、次は生まれ変わる世界の説明じゃな。」
「ああ、お願いします。」
「お嬢ちゃんが生まれ変わる世界は【ケミスト】と呼ばれておる。科学や機械よりも【魔法】の方が発達している。お嬢ちゃんがいた世界とはまるで正反対じゃな。【ケミスト】の中でも国が5つに分かれておる。東に【オーガニー】西に【アナリティカ】南に【アプライド】北に【フィジカ】そして中央に【アンヴィーラ】が存在しておる。まあそれぞれの国の特色とかは向こうに行ってから自分で確かめてほしい。次に【魔法】の事じゃが…ハッキリ言ってお嬢ちゃんに【魔法】は使えんからの説明するだけ無駄じゃ。」
「え?どうしてですか?」
「詳しく説明すると難しくなるんじゃが…簡単に説明すると【魔法】を使うには【魔力】という物が必要なんじゃよ。その【魔力】は【魂】から湧き出るものなんじゃがの、お嬢ちゃんの【魂】は【地球】の物じゃからな、【魔力】が湧き出るようになるには【ケミスト】の【魂】に近づけないといけないんじゃよ。しかし、そうしてしまうとお嬢ちゃんの外見まで変わってしまうからの【魔法】は使えん。」
「ああ、それなら【魔法】は使えなくてもいいです。」
「しかし、安心してよいぞ。お嬢ちゃんの世界には【魔力】とよく似た【霊力】があったからの、それを使えるようにしておく。お嬢ちゃんには【霊力】を使う素質があったからの、それの総量も増やしておく。」
「まさに至れり尽くせりですね。」
「まあ、罪滅ぼしの為でもあるんじゃが。さっき決まったゲームの特性上多いに越したことはないからの、生き延びるためじゃ。【魔法】に関しても自分で対策を考えてくれ。」
「分かりました。」
「まあ、これで大体の説明は終わりかの?これから【ケミスト】に送ることにするが…何か要望とかあるかの?」
「まあ、向こうの世界でも言葉が通じて文字さえ読めれば困ることは特には…そういえばそのゲームの説明はどうしたんでしょうか?」
「それなら向こうに着いた時に頭に入っておくようにするから大丈夫じゃ。」
「それじゃ…そういえば【地球】の私はどうなってます?」
「ああ、まだ誰にも見つからずに道の真ん中で倒れておるよ。」
「見つかったら両親が悲しむでしょうね。」
「そりゃそうじゃよ。子どもが死んで悲しくない親なんていないじゃろう。」
「それじゃ、最後に一つだけ…【地球】にいた私の痕跡を消しておいてください。」
「まあ、出来なくもないが…」
「神様?も言ったでしょう。子どもが死んで悲しくない親なんていないって。私は両親の悲しむ顔が視たくないだけですよ。」
「…わかった、お嬢ちゃんが生まれてから死ぬまでの痕跡全てを消しておこう。」
「ありがとうございます。これで心残りが無くなりました。」
「それじゃ、送るぞ。最終確認じゃが生まれ変わる異世界は【ケミカル】元の世界【地球】とは違って【魔法】が発達した世界じゃ。お嬢ちゃんはそこにゲームの能力を持って生まれ変わることになる。じゃな。」
「そうですね。不安なことも多いですが精一杯生きたいと思いますよ。」
「その意気じゃ。まあ、体は元のままじゃから死ぬときは死ぬがその時にまた会えるじゃろ。」
「ええ、その時にまた会いましょう。」
そう言葉を交わした後、だんだんと神様?の姿が薄れていく。
「ありがとうございました。それではまた死んだ後に…」
「ああ、またなじゃ、お嬢ちゃん」
「そういえば私のことお嬢ちゃんって呼んでますけど、私これでも成人式終えてますよ?」
「何!?見かけは小学生じゃぞ!?」
「気付いてなかったんですか?」
「やけに落ち着いてると思ったら…なるほど、人間の神秘じゃな。」
「…まあいいです。それじゃ、ありがとうございました。神様。」
それを最後に何も感じなくなった。
長かったですね。
ようやく異世界に生まれ変わりですよ。
さて、学業優先になってしまうので更新不定期になったりしてしまいますが、見捨てずにいてくれれば幸いです。
感想、意見、その他諸々。お待ちしております。