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学園戦国時代
作:水無月五日



第二話 『始まりなんです』


「はぁ……」
 本日何度目になるかわからないため息をつく。
 身体中に巻かれた包帯が、その下の傷の痛みが俺に現実を突きつける。
 壁に掛かっている時計は現在十時十五分を指している。おまけのように時計版に取り付けられたデジタル文字は03月09日木と可愛げの無い表示を浮かべている。
 本来なら学校へ行って、健全に他クラスと抗争をしなければいけないのだが、此処数日間、このように自宅でふさぎ込んでいる。
 そう、俺の所属するクラス、一年七組は進級を目の前にして、同学年の一年三組によってその支配教室を失い、滅亡してしまった。
 クラスのために振るってきた俺の愛刀『天雅てんが』が虚しく部屋の壁に立てかけてある姿を見るだけでも、俺のこの身体を様々な感情が駆け巡る。
「うぉーーー! 俺の馬鹿、馬鹿ッ!」
 頭を抱え、その場を何度も転がる。
「由雅、人の成長に必要なもの、それは何かわかるか?」
 スーツ姿の親父が俺の前に姿を現す。
 その場で転がるのをやめて、胡坐をかいて親父の問いかけに耳を傾ける。
「困難・挫折……そして愛だ」
 優しく、親父は俺の背に触れる。
 心を鎮め、俺は親父の言葉の意味をよく考えてみる。
「全然わかんねぇぇ! 成績が1〜3のオールスター大行進の俺に解る様に言ってくれッ!」
 意味が解らない! 基本親父の台詞の八割がたは意味が解らんが!
 情緒不安定ともいえる俺はまたそのまま何度も転がり始める。
 べり、べりとどこかで粘着質のものが剥がれる音が聞こえる。それは俺が転がる度に音を立てる。
「由雅ー、もう少し右、そうそう、部屋の端も転がるように!」
 親父は部屋の隅を指差し、俺は親父の指されたほうへ転がる。
 なんか俺が転がる度に部屋の中が綺麗になっている気がするんですけど!?
 ふと自分の背中を撫でてみると、少しべたべたして、べたべたしない所には粒状の何かがあるように思える。
「わぁー、カーペット用のローラー紙が背中についてるぞぅ」
「由雅が転がって、部屋も綺麗になる、一石二鳥だね!」
 んな訳あるかい!
 背中に取り付けられたローラー紙を剥がし、ゴミ箱へと投げ入れる。
 何が悲しゅーて、人間クリーンローラーにならなきゃいかんのだ。
「唐突だが由雅…俺再婚するわ」
 ホント唐突だな!?
 四月馬鹿の日まであと何日あると思ってるんだ?!
 俺の母親は俺を生んですぐに亡くなったらしく、俺は母親の顔は写真でしか知らない。
 親父は今年三十七になる。お袋が亡くなって十七年近くになる。その間再婚しなかったのは俺に対する配慮だったのかもしれない。まぁ、それはいいとして。
 奥さん……つまり俺の義母になる人は親父より五つ若い未亡人らしい。いや、それもそうか。これで浮気での簒奪ともなれば、俺は一生親父とは口を聞かない。
 まだ彼女らしい彼女を作ったこと無い俺に対し、親父は二人目をゲットするって事。おかしいだろ、色々。世の中間違ってやがる。
「そろそろ由雅も親離れをする必要があると思うんだ! お前はこんなところで腐っているおとこじゃないはずだ!」
 緩みっぱなしの顔を引き締め、親父は俺の両肩を掴む。
 見たことの無い親父の漢らしい表情に俺は思わず唾を飲み込む。
「親父……」
「お前の今の状況は父さんもわかっている……だが、なくなってしまったものはしょうがないじゃないか! 古い出来事に捕らわれて、前に進めなくなってしまっては駄目なんだ!」
 そうだな、親父も前に進んだんだ、俺も前に進まなきゃいけないな。まだ俺には後二年残っている。その二年で、なくなってしまったクラスを復興すれば良いんじゃないか!
「と、いうわけで、由雅、お前は隣の街の学園に編入することになったから♪」
 えぇッ!? ちょっと待て、今しがた俺が新たな目標を見つけたっていうのに!?
「ちょ、おや……」
「隣町の学園は元女子高で男女比率は若干だが男が少ないぞ。今世の中の情勢が定まらぬ時に編入生、明らかに勇者じゃないか! それに全寮制の学園だから一人立ちもできて、一石二鳥だ。ついでに邪魔な息子が居なくなり、父さんも新婚生活をエンジョイできる!」
 今、さらっとすごいこと言わなかったか!?
「編入手続きはもう済んである。明日からお前は隣町の学園、飛翔学園ひしょうがくえんに通うことになっているから」
 て、展開がはやい、はやいよパパン?! 
 明らかに読者を置いて行っている流れじゃないか! 第一、プロローグ後の一話はこの世界のありようとか、経緯とかを語る会じゃないのか!?
「まぁ、めんどいし、そのうち解説キャラが丁重に教えてくれるだろう」
 何その超他力本願な答えは!? 顕如? 顕如!?そんな事はどうでも良いから! 


 −予告−
男:さてさて、本格始動し始めた学園戦国時代!最初っからなんか飛ばしている気がするんだが。
女:まぁ、しょうがないんじゃない、それが現実だもの。
男:では、気になる次話は一体どうなる!?
女:いや、気になるも何も、まだ先が気になるってほど!?
男:お約束かなーって。
女:次話『アレレ困った、此処は何処!?』お楽しみにー!

いや、すいません、やってみたくって……。
一度テレビのような予告ってのをやってみようと思いまして、いやはや……。
これからも続けていきます。











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