「ルーフェイア、私デザート取りに行くから、食べるならいっしょに行きましょ」
「あ、はい」
エレニアに声をかけられ、少女も立ち上がる。
質問ではなく提案の形を取るあたり、彼女もいいかげん慣れてきたと、ロアは思った。おとなしいうえに日常生活全般でズレているルーフェイアには、こうして道を作ってやり、選ばせたほうがスムーズだ。
何より彼女ひとりでは、「選べない」という致命的な問題もあった。
二人が仲良く話しながら、離れていく。
「今日はなににする?」
「えっと……」
その後ろ姿を見送るロアの視界に、低学年らしい女子の集団が入り込んできた。
――昼食に似つかわしくない、異様な雰囲気。
一様にルーフェイアのほうに視線をやるさまは、どこか殺気立っている。
ロアは考え込んだ。
面倒見がよく美人のエレニアは、後輩に人気がある。いわゆる「お姉さま」として憧れられるタイプだ。
そのエレニアに、親しげにルーフェイアがくっついているから、妬まれたのか。
一団の中心は、赤い髪の子のようだ。他より少し背が高いうえ、堂々とした振る舞いで、遠目にも目立つ。
「先輩、エレニア先輩ついてんだから、いくらルーフェイアのヤツがボケてても、平気ですって」
「違うってば」
それもたしかに心配だが、今はそれよりもあの一団のほうが気になる。
「さっきから何見てんです?」
「うん、あの集団なんだけどさ」
指差した先を見て、男子三人が口々に答えた。
「あれ、ウチのクラスの連中ジャン?」
「Bクラスの女子も、いっしょじゃないかな」
「だな」
訊けばルーフェイアたちと同じAクラスの女子と、合同授業でいっしょになることが多いBクラスの女子、両方合わせた一団らしい。
「なんで、あの子たちいっしょに……」
「女子ども、数があんまいねぇから、合同クラスともよくつるんでますし」
「それは分かるってば」
気になるのはそんなことではなく、なぜ彼女らがみな、同じような敵意を見せるのかだ。
エレニアのファンというだけならいいのだが、ルーフェイアと同じクラスというのが引っかかる。
(まさか……)
イヤな予感がした。
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