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Chapter:03 転機
Episode:21
◇Nattiess
 授業の終わりまでもう少し。早く早くと思いながら、つまんない型の練習を続ける。
 たしかにこれが基本なのは分かるんだけど……もう少しなんか、違うことしたいもの。

「よし、じゃぁ次は……」
「せんせー!」
 とつぜん、ミルが突き刺すような声で手を挙げた。きっとまた何かとんでもないこと言って、授業かき回すのかも。
 でもそうすれば時間潰れるから、これはちょっと歓迎?

「ミルドレッド、きちんと授業を受けないと減点するぞ」
「えー、でもあと時間ちょっとだしー。たまにはルーフェイアとイマドの模擬試合とか、そーゆーの見たいですー」

 意外だけどこの言葉に、教官ったら考え込んだ。
「あの二人か……たしかにそれは、見ておいていいかもしれないな」
 なんか、すごいセリフ。
 イマドが強いのは、みんな知ってる。首席はダテじゃなくて、彼相手じゃ誰も攻撃当てられないの。
 でも教官の言い方だと、ルーフェイアとならちゃんと試合が成り立つみたい。

「よし、二人とも前へ」
「え、マジっすか……」
 しかも、イマドったらしり込み。いつだって誰が相手でも平然としてるのに、こんなの初めて。

「いいから黙って前へ来い。ルーフェイア、きみもだ」
「はい」
 彼女も立ち上がる。

 学年でもいちばん大柄なイマドと、いちばん小柄なルーフェイア。頭ひとつ以上身長が違うの。
 これで試合になるのかな……?
 さすがにちょっと心配になる。いくらなんでも、体格差がありすぎだもの。でも教官がまさか、そこまでメチャクチャしないと思うし。

「……手加減しろよな。さすがに怪我したくねーから」
「あ、うん」
 とんでもない会話に、なんか呆然としちゃったり。だって「手加減しろ」って、つまりルーフェイアのほうが、圧倒的に強いってことだもの。
 けど、どう見たって、そんなふうには見えないし。
 教官に促されて、二人が向かい合う。武器はどうするのかと思ってたら、練習用の杖が渡された。どっちも剣を使うからなんだろう。

「始め!」

 短くて鋭い声と同時に、ルーフェイアが動いた。同時に、イマドも。
 一瞬で間合いを詰めたルーフェイアの突きを、イマドがすんでのところでかわす。同時に動いてなかったら、きっと食らってたはず。

 どうにか逃げたイマドに対して、ルーフェイアがそのままの体制から即座に、手元側での返し突き。
 硬い音がして、杖がぶつかり合った。イマドが下段から、ルーフェイアの杖を跳ね上げて防いでる。
 でもルーフェイアは動じた感じもなくて、逆らわずに杖を操って、きれいに正眼に構えなおした。


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