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Chapter:03 転機
Episode:19
 何のことか分からなくて、考え込むあたしの横で、イマドが怒鳴りつけた。
「てめぇ、タダでさえややこしくなってんのに、これ以上引っかき回したら容赦しねぇぞ!」
 すごい剣幕だ。
「きゃー、イマド怒った怒った〜」
 それでもミルはお構いなしで、楽しそうに笑ってる。

「イマド、わっかりやすすぎー。ルーフェにぞっこん?
 ま、イタズラっても、ただの実験だからー。どうせいまより、悪くなんてならないし」
「そりゃたしかに、そうだけどさ……」
 イマドたちが顔を見合わせた。

「つか、何する気だ」
「き・り・く・ず・し」
「切り崩し?」
 何のことか分からない。そもそも、切り崩すようなものなんてまわりに見当たらない。

「――ルーフェ、もしかして、話見えてない?」
「ごめん……」
 物分りの悪さが申しわけなくて謝ると、ミルがイマドたちのほうへ顔を向けた。

「三人もいて、だーれも状況説明してないんだ?」
「いや、だってこいつ、気づいてねぇし」
「ホントのこと分かったら、よけいかわいそうだよ」
 口々に言いわけするのを聞いて、ミルが言い放つ。

「ばっかじゃないの!」

 さっきまでの楽しそうな雰囲気とは一転、厳しい声と視線だ。
「何がどうなってるか分かんなかったら、ルーフェだってやりようないじゃない。
 分かんないのもアレだけど、教えないってもっとヒドいでしょ。共犯みたいなもんだよ!」

 ほとばしるような怒りかただった。
 そしてこんどは、優しい表情であたしのほうへ向き直る。

「ルーフェ、いい? あのね、ルーフェはいじめられてるの。分かる?」
「いじめ……?」
 言われてることがピンと来なかった。
「ふだんいろいろ言われたり、やられたりしてるでしょ? それ、全部そうだよ」
「え、でも、あれは……」

 あれはあたしが違いすぎて、馴染めないせいだ。
 肝心なことはひとつも知らなくて、できることと言えば……。

「あ、泣かした」
「あれ、泣いちゃった」

 下を向いたあたしを、ミルがしゃがみこんで見上げた。
「ルーフェ、だからね、ルーフェは悪くないの。それ分かる?」
「え?」
 驚いて彼女を見返す。
 くるくるっととした水色の瞳が、笑った。


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