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Chapter:02 苦悩
Episode:16
◇Natiess
 あのお嬢さん、思ってたほどヤワじゃなかったみたい。まだ授業とか、ふつうに来てる。
「もっと早く、ネ上げると思ったんだけど」
「イマドがいるからじゃない?」
 休み時間に、みんなでいつものおしゃべり。

「あの子って案外、あれで隙がないしね」
「あー、それたしかにそうかも」
 ルーフェイアって子、意外だけどすっごい用心深い。前に誰かが持ち物隠そうとしたけど、防御結界張ってあって手が出なかったって言ってた。
 そばを通るときに、転ばせようとかする子もけっこういるんだけど、一人も成功してないし。

「なんだろね、あの子。いわゆるお嬢様とは、ちょっと違うっぽいよね」
「そりゃまぁ、曲がりなりにもシエラの本校で、Aクラスになるくらいだし……」
 あの子、思ってたよりずっと頭良かった。理系はちょっと苦手っぽいけど、それだって十分トップクラス。得意な科目とか、まるで辞書か教科書だし。
「とゆかさ、あの実技、お嬢様にしちゃおかしくない?」
「うん……」

 みんなが顔を見合わせる。
 ルーフェイアって頭もたしかにいいんだけど、それ以上に実技がすごいの、だんだん分かってきた。
 それも剣技とかだけじゃなくて、待ち伏せとかかく乱とか、そういう実戦系まで強くて。けどこんなの、習えるもんじゃない。

「どっか、ほかのMeSにいたとか」
「あ、それはアリかも」
「でもそれでも、やっぱりおかしいよ」

 他のMeSからの転校は、ときどきある話。理由はいろいろで、もっと箔を付けたいなんてこともあるし、ふつうのMeSじゃレベルが低すぎて話にならないから、なんてこともあるし。
 ただそうだとしても、こういう実技も含めていちばんカリキュラムの進度が早いのが、このシエラ本校だったり。
 そこでついていくどころか、余裕でこなしちゃうとか、ちょっとあり得ない。

「なんだろね……」
 みんなで頭ひねってみるけど、答えなんてわかんなかった。
「でも、あの持ち物とか、お嬢様だよね」
「だよねぇ」
「どっちしたって、図々しすぎだし」

 けっきょくここへ話は戻ったり。
 そこへとつぜん、きゃらきゃらした声が割って入った。

「ねー、ホントにまだみんな、こんなコト続けんの?」
 視線がいっせいに集まる。
「こういうの、本校に入れないおバカさんが、やるんだと思ってた〜」

 オレンジがかったふわふわの髪に、薄い水色の瞳。ルーフェイアほどじゃないけど、でもかなり小柄。けど見かけに反して、言うことやること何でも強烈。
 ミルだった。

「あんた、何が言いたいんだい」
「べっつにー」
 図太いのか鈍いのか、シーモアの鋭い視線にもぜんぜん平気。
「たださ、頭の良し悪しと、やる内容って関係ないんだなーって。ちょっと感心しちゃった」
「――!」

 周り中が殺気立つなか、それでもミルったらけろっとしてるし。
「でもさぁ、こーゆーのって、シーモアらしくないよねー。めっずらしー。
 あ、もしかしてアレ? イマドがルーフェイアと、仲良しなっちゃったから?」


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