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Chapter:01 誤解
Episode:10
「行くぞ」
「うん」
 俺自身も含めて、いろんなモンに腹立つのを押し隠して、部屋を移る。

「あのね、ここ……」
 移動するなり、ルーフェイアのヤツが訊いてきた。
「あーこれか。勘違いするヤツ多いからな」
「そう、なんだ」

 解法が複雑になってくっと、ルーフェイアは弱い。特に逆転の発想、みたいなヤツが苦手だ。
「あと、この計算……」
「おまえこのへん、根本的なとこ分かってねぇだろ。図にしてみろって」
「え? だってこれ、ただの計算……」

 首をかしげるこいつの目の前で、簡単に描いてやる。
「だからこいつを一辺に見立てて、こうやって面積で考えてみろよ。公式の意味分かっから」
「……あ!」

 まぁこのへん、こうやって教えねぇ教官も、しょうもねぇんだけど。ただ公式並べて覚えろ覚えろ言うだけなら、授業要らねぇし。
 ともかくそうやって、あれこれやって。一段落したとこで、かなりためらったけど、思い切って訊いてみた。

「おまえさ、平気か?」
「平気って……えっと、何が?」
 訊くだけムダだったかもしんない、そう一瞬思う。
 けど、このまま様子見ってのは、そろそろ限界ってヤツだろう。被害が出てねぇってだけで、もう直接手を出す段階に移ってやがるし。

「あー、ほら、あいつら女子の――」
 ルーフェイアがうつむいた。
「最初から……馴染めないと、思ってたから……」
 最後のほうは言葉にならない。

 学校へ行きたい。
 友達がほしい。
 こいつが望んでる、たったそれだけのことが壊れかけてんのに、なんもできねぇ自分に腹が立つ。

 ホント言うとあのバカ女子どもに、こいつがいままでどこで何してどんな思いだったか、ぶちまけてやりたかった。
 でも、ルーフェイアの場合はそれはぜったい、できねぇワケで。万が一そのへんから、シュマーの話にたどり着いたらヤバすぎる。

 かといって、ほかにどうしたらいいかも分かんねぇし。
 ルーフェイアとシーモアがガチでやりあえばそれで終わる気もすっけど、シーモアはともかく、ルーフェイアのヤツはぜったいンなことしねぇだろう。

「――ゴメンな」
「ううん、イマドは、違うから……」
 そう言うルーフェイアの瞳から、涙がこぼれる。
 なのに俺は、どうしようもなく非力だった。


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