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母親の実家は異世界でした!! 作者:歩夢りんご

第05章 新たな力

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第43話

俺はその瞬間に動けなかったし、それはファルもリリーもだった。
俺たちを遙かに上回る殺気に気圧されたのである。
ゴトリ、という音がしたと思うと、後ろの4人が失神したのか地面に崩れ落ちた。
ゴーレムはゆっくりと手のひらを開くが、そこにあったのは布切れと血だけだ。
あの握力は肉の存在すら許さなかったのである。


「……左手の、少年を離せっ!」

「ニシェルくんは低俗じゃないです!」

「そうなの。ニシェルはいい子なの」


気圧された心を振り払って、俺は白いゴーレムに叫ぶ。
リリーとファルも睨みつけて言うが、もし俺たちにニシェルを抱えたまま襲われたら……。
手も足も出ずに潰されるだろう。
只でさえあのゴーレムの力は異常だ、絶好調の俺たち三人で戦って五分五分だろう。


(ほう、我の声が聞こえるか。それも我の殺気に耐え言い返せるとはな、3人もいるとは思ってもみなかったぞ)


笑みをこぼしたかのような気配が生まれる。
まあ、気配だけで顔はないから正確なところはわからないが。


(もとよりこの少年に危害を加えるつもりはない。というより、あの男ほど最悪なことをしない限り我に殺すつもりもない)


「ならっ!返してください、村でみんなが待っているんです」

(くふふ、ふははははっ!良かろう、しかし貴様ら三人は別だな)

「ど、どうしてなの!」

(貴様らは我に挑戦する権利がある。拒否は許さぬ)


……権利じゃなくね?というつっこみを入れられそうな雰囲気ではないだろう。
ただ、俺たちがあのゴーレムと戦っているとニシェルは帰れない。
何があっても、ニシェルを帰してやらないと。


「ニシェルは返してもらう。村まで届けるまで挑戦も却下だ。ただし、村に届けたら帰ってきておまえと戦おう。誓ってもいい」

(ほう。なら、最上級の誓約で貴様らは誓えるのだな?)

「はい、構わないです」

「大丈夫なの。勝てばいい話なの」

(ふむ。なら、誓約成立だ)


ゴーレムがそういったかと思うと、まばゆく光る白い玉が俺たちの胸を直撃した。
心臓と同化し、否応なくその存在感を俺に知らせ続ける。
同じ違和感を2人とも感じているのか、顔も険しい。

(連れていけ。二時間は待ってやる)

そう言うとゴーレムはゆっくりと左手を開く。
けが一つなく気絶したままのニシェルはリリーが背負い、男四人はファルと2人ずつ抱えた。

ゴーレムが扉の鍵を開けた瞬間に俺たちは脱兎のごとく駆け出した。
リリーと考えることは同じである。



二時間あれば、魔力回復薬を作れるっ!




魔力回復薬といっても、ポーションのようなものではない。
相手を眠らせ、その間の魔力回復を劇的に向上させるのだ。
そのため、一刻も早く戻って寝る時間をとらねばならない。

気を失っているニシェルを連れ帰ってきた俺たちを見て村人たちが歓声を上げるが、残念ながらそれどころではない。


「ニシェルをお願いします、お婆さんっ!」


帰っている間にもうニシェルの様子は診てある。
ただ気絶しているだけで外傷もなく、そのうち目を覚ますだろう。
気の急いている俺とリリーはダッシュで俺の家に駆け込む。
余裕のあるファルに村人たちへの説明を任せ、俺たちは回復薬作りに取りかかった。


「グルの実砕くの!」

「はいっ!上がりっ!」

「タース草をすりつぶすのっ!」

「できたっ!」


煮詰めて微妙な調整をしていくのはリリー、原材料を砕いたりすりつぶしたりする肉体仕事は俺が担当する。
肉体仕事が大変すぎて普通に作ったら半日かかるらしいが、そこは俺の素の身体能力でカバーする。
こうして、力業でたったの30分で作り上げた魔力回復薬はまだまだ熱いのだが……。


「飲んだら多分寝ちゃうの。起こされるまでの間回復していくから、ファルに起こしてもらうまで寝るの!ほら、飲んでなの!」


リリーは木で出来たビーカーを俺に押しつけてくる。
まだぼこぼこと泡が立っているが、魔力不足で負けるわけにはいかないのだ。
俺は一息で薬を飲み込もうと口を付けて一気に流し込む。


「くっ!」


まずさを我慢して全部を飲み込むと、一気に眠気が訪れる。
目をしょぼしょぼさせながらリリーの方を見ると、リリーも一気飲みをしたところだった。
そして、持っていたビーカーっぽいものを机においた時点で限界が訪れる。
ドシャッと音を立ててリリーが、そして続けて俺も床に倒れ込んだ。
靴を脱ぐ習慣を徹底しておいて良かった……と思いながら俺は意識を手放した。



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



「ケントさん、リリーっ!もうすぐですよ!」


揺さぶられる声に意識が戻ってくる。
しかし、そこに見えたのは……。


「知らない、天井だ……じゃなくて、なんで洞窟の中っ!?」

「っ!まさか、ファル、運んだの!?」


リリーの素っ頓狂な声にファルはにっこりと笑いながら言う。


「もちろんです!これで、魔力の回復の時間はかなりとれましたよね?」

「あ、ああ。ありがとう、ファル!魔力は……七分目位まで戻ってる」

「リリーは全快してるの。全く、ファルも無茶をするの」

「大丈夫でしたよ?そこまで重くありませんでしたし、強化の練習にもなりました」


にこにことしているファルだったが、間違いなく緊張感があふれている。
当たり前だ、自分の力で戦って生を勝ち取らなければならない時間がどんどん近づいてきているのだから。


「時間は後どれくらいだ?」

「後五分くらいですね……勝てるでしょうか?」

「ん……まあ、勝たないといけないんだし。戦いながら隙をうかがって戦っていこう」

「リリーは回復に専念するの。傷を負ったら教えて、なの」

「いや、リリーもあのビームを撃ってくれ。おそらくだが、俺たちの攻撃だけじゃ削りきれないと思う」

「狙いが定まらない可能性が高いの!危険すぎるの!」

「いや、リリーは出来るさ。俺も頑張るから」

「私もがんばりますよっ!」


残り時間のあいだに作戦会議をした。
俺とファルで直接攻撃をし、リリーが距離をとって砲撃する。
俺の新技についても話したが、おそらくゴーレムの核をつぶすのには『崩壊』はもってこいだろうということだった。

岩の扉までたどり着くと、ゆっくりと扉が開き始める。
今回は血を注いで開ける必要がなかったようだ。


(来たか。時間ちょうどだな)


そんな声が響くと胸にあった違和感がとれ、胸から出てきた白い光が散っていく。


(戦う前に話をしなければなるまい。貴様らは真竜を知っておるか?)


戦闘態勢を取った俺たちに、白いゴーレムは話をする、と言った。
そして続けて語った内容は思いも寄らぬものだったのだ。


(真竜という種が滅びてもう数百年になるのか……。今真竜がどのような扱いになっておるのかは知らぬが、真竜の役目はこの世界の守護であった。管理者から力を託され、流れる魔力を整えていく役割だ。そして異世界からの悪魔に対し、真竜は戦いの中で主を失い、この世界で生きる真竜はいなくなった。だが最後に真竜という種が決めたのが、この地の守護をするものに力を託そう、というものだ)


「なっ……。もう、死に絶えているのか、真竜は」


自らの血縁種が滅んでいるという事実に俺はかなり衝撃を受ける。
リリーもファルも、死に絶えていたということは知らなかったらしく驚いていた。


(そうだ。そして、我々は真竜の力を三つに分けて宝玉に封印した。一つはともに戦った人族の勇者に渡し、二つは最後まで生きていた真竜の中に封じた)


「……それが、あなたなんですか?」


ファルがふるえ声で聞く。
白ゴーレムは重々しく頷き、さらに話し続けた。


(うむ。そして今日、その封が解かれた。我は封印を解いた貴様らと戦い、そこに力を持つ資格があるや否やを見極めねばならぬ。生きたくば我を倒せ。さもなくば我が貴様らを殺そう)


次の投稿は……月曜日に頑張りますっ!

時間は……15時になると思います。

現在、こちらの作品を連載中です。

妹の代わりに俺は魔王になった。


http://ncode.syosetu.com/n4562cu/


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