挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
母親の実家は異世界でした!! 作者:歩夢りんご

第05章 新たな力

しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました

ブックマークしました。

設定

更新通知 0/400

設定を保存しました
エラーが発生しました

カテゴリ

ブックマークへ

以下のブックマークを解除します。
よろしければ[解除]を押してください。

ブックマークを解除しました。

40/53

第40話

前回、1日更新ミスりました。
申し訳ありません。
翌朝。
俺とファルは家の前で向かい合っていた。
リリーも昨夜穴をあけたベンチに座ってこちらを見ている。
日が出たばかりの早朝、どこかで小鳥の鳴く声も聞こえる。


「……っ!」

「やあっ!」


ほとんど同時に動き出した俺たちだったが、ファルのみ小さな気合いを声に出す。
俺は声を出さずに戦うのがスタイルなので……。


「ていっ!やあっ!」

「……っ!」


可愛らしいファルの声だけが響くことになる。
ファルの振る棒の全てを避け、いなし、隙をつこうと腕を伸ばす。
一方のファルも俺の伸ばす腕の悉くを打ち落とし、獣人の運動能力を十分に発揮して俺の周りを跳び回る。

ドガガガガッ!という腕と棒の打ち当たる音が高速で鳴り響き、俺とファルの姿も目まぐるしく入れ替わる。


「やあっ!」


どれだけ打ち合っただろうか。
ファルが大きく俺の方に棒を振り下ろしてきた。
追撃を仕掛けようとしていたところだったが断念し、後ろに軽く跳び下がる。

……昨日と同じ技かっ!

俺はファルが回転してくる瞬間を狙って拳を放つべく力を込めるが……。


「せぃやあっっ!!」


ファルはそのまま地面に棒を振り下ろした。


「…なっ!」


俺も驚愕に一瞬動きを止めたが、ファルは棒をそのまま地面に打ち付け、反動で一回転してこちらの方へ跳び蹴りを放ってきた。


「……っ!」


目の前でクロスしてその跳び蹴りを受け止めた直後。
もう反対側の足が俺のわき腹に直撃する。


「たあっ!」

「ぐっ!」


そして。
反撃で伸ばした貫手は間一髪でよけられ、ファルの棒が喉元にピタリと当てられていた。


「……負けだ、完璧に一本取られた」

「ありがとうございますっ!あの、お腹は大丈夫ですか?」

「ああ、クリーンヒットを貰ったから少しダメージが通ってるけどこれくらいは平気だ。それより、あんな無茶な挙動して大丈夫か?」


あんな挙動をしたら、俺なら魔力強化をしても体を痛めてしまいそうだ
ファルは流れるように体と地面、棒を魔力強化していたから大丈夫だとは思うのだが。
俺がやったら間違いなく地面を叩き割るので、その繊細な魔力調整をずっと練習していたのだろう。
そう言えば、ファルは最近の練習で足元にひびを作ることがなくなっていた。


「はい、これを身につけるまでに何度もリリーの回復魔法のお世話になりましたけど……」

「そうなの。全く無茶しすぎなの」


少しきまりが悪そうにファルが言うと、座っていたリリーがこちらにやってきて言った。


「この繊細な魔力強化の練習を始めてからの怪我は多すぎるの。この1ヶ月で筋断裂を20回近くやってるの。多いときには1日2回やっちゃってるの」

「……おいおい……」


あまりの無茶っぷりにあきれた声しか出ない。
ただ今日はファルの魔力強化が俺の腕を上回っていて、骨に響く打撃が何本かあった。

……二人とも間違いなく進歩している、俺もがんばらないと!

にこにこと笑っているものの、俺の心の中は焦りでいっぱいだった。

そこへ、リリーが俺たち二人に言い放つ。


「一時間半も打ち合ってたの。リリーはお腹ぺこぺこなの」

「「うん、ごめんなさい」」



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



午後からは俺はいつもの竜の山ではなく、村から少し離れた『魔の森』へ向かった。
シーレイアとの国境そばにある魔物が多数住み着いている森である。
ファルに一本取られたあと、本気で昨日練習していた技の練習に取り組んだら成功したのだ。


『崩壊』。


物質全体に俺の魔力を浸透させ、俺の与える衝撃をトリガーにして分子間力を極小化し、それと同時に衝撃によって分子レベルで物質を分解する。

リリーに通常魔法の素養はないと言われて以来、魔力の使い道に悩んでいた。
もともとは身体強化だけでいいだろうと思っていたのだが、ファルの成長率はものすごいものがあり、このままではファルに抜かれるかもしれないと思ったのだ。
叔母さんに頼まれているのに、強さへの貪欲さを持っていないことを反省し、魔力の使い道を考え始めたのである。
『崩壊』を思いついたきっかけはエルフの里でのカランさんの言葉だった。


『 …植物に魔力突っ込んで~、強化しちゃったなんて聞いたことないわあ~』


俺がキュトロ……人参を目の前に突き刺したときの反応である。
あの時、俺は魔力を人参の細胞一つ一つに染み入らせる感覚で強化していた。
細胞説、というものがきちんと知識としてあったおかげなのだろう。
どうやら強化は自分の体にかけられるようになってCランク、なじみの武器にかけられるようになったら十分一流らしい。
全てイメージがものを言う魔法では、普通にやろうと思ったらかなりの修練を必要とするだろう……っと、話がずれた。
俺は細胞一つ一つを強化する事ができた。
なら、一つ一つの分子にまでサイズを縮め干渉することはできないか?と考えたのである。
ようやく魔力を持たないものを『崩壊』させることが出来るようになったので、次は魔力を持つ魔物相手に戦うつもりなのである。
この三ヶ月で何回も魔物と戦ってきたが、魔力を浸透させようと思ったら相手のイメージを超えて俺の魔力を流し込まねばならないことは分かっている。
これさえ出来たなら、決め手に欠ける今の状況を変えることが出来るはずだ。



魔の森は昼間でも薄暗い。
鬱蒼と茂る木々が見通しを悪くし、魔物たちに利する地形を作り出す。

普通なら。

俺は感知があり、加えて目を強化すれば魔力の光を視認する事が出来る。
待ち伏せは完全に無効化するのだ。
まあ、魔力を遮断するアイテムみたいなものもどこかにあるかもしれないから油断はしないけれど。

さて、少し先の木の上に体長三メートル級の百足っぽい魔物がいる。
名前は……百足でいいや。
色々と調べてた魔物の種類は、言語を覚えているうちにどんどん日本語っぽくなってきたのだ。
間違いなくこの贈り物をくれたのは祖父さんの方だ、叔父さんじゃない。

さて、百足は俺が通り過ぎるのを狙っているようである。
おそらく頭の上に降ってきて、自重に加えて毒で相手をバタンキューさせる作戦なのだろう。
気付いていれば対策の取りようはあるし、練習でなければここでジャンプしてしとめるのだが。

俺はそのまま通り過ぎることを選択した。
カサッカサッと音を立てながら、百足に全く気付いていないかのように振舞う。

(降って来い、そのまま狙ってこいっ!!)

心の中で念じ、勘を研ぎ澄ませて落ちてきた瞬間に避けられるように魔力を体全体に行き渡らせる。
とてつもなく長く感じた数秒が過ぎ。

(来たっ!!)

ガサッという音と共に殺気が降ってきた。
ばっと後ろに跳び下がり落ちてきたものから距離をとって相手の様子をうかがう。
『感知』で場所は分かっていたし、強化でサイズも分かっていたが、きちんと目で見るとやはり気持ち悪い。
地球にいた百足と形は同じだが、サイズは三メートル、色はどす黒い緑色だ。
木の葉の間に潜むから似た色を体色に採用しているのだろう。

……半端なく気色悪いが。


「キシャアアアアッ!!」

「おいおい、昆虫のくせにどこからそんな鳴き声出してるんだよ」


通常の狩りの方法で倒そうとした獲物にあっさり避けられたあげく、なめた態度で挑発された百足はさらに激昂したのか、持つ足をわしゃわしゃと動かす。
あまり時間をかけていられるわけでもないし、早々に腕に軽く魔力を集める。

(おそらく、急所のみを分解すれば事足りるはずだ。こんな体の全部を分解しようと思ったらたぶん魔力が足りないな)

自分の魔力と、魔物の持つ魔力とを比べて考える。
魔物の急所は体の中の魔石だが、それを粉にしてしまうとホールに買い取ってもらえないからな。
取りあえず、頭の部位を『崩壊』することを目標にやっていこうか。



次回更新は月曜日17時です。

現在、こちらの作品を連載中です。

妹の代わりに俺は魔王になった。


http://ncode.syosetu.com/n4562cu/


よろしければ、こちらもどうぞご覧ください。

+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ