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母親の実家は異世界でした!! 作者:歩夢りんご

第01章 突然の急展開

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第4話

校舎の中庭で、少し奥まった建物の陰に五人の男が座り込んでいる。


(少しはやる奴が一人いるな…。ボクシングか?)


早速男たちの力量を俺は測る。


『まず相手を見極めないと、勝てないよ?』


とは師匠の言葉である。長い間の修行でかなりの腕前まで育ったが、それでも上には上がいる。結局師匠の死ぬ前に師匠に勝つことはできなかったのだ。
油断なくあたりを見回す俺の耳に、渡辺の凛とした声が響いた。


「お手紙を頂いたのですが、その方はどなたでしょうか?」

「あー、俺だ俺。いやー、いい体してんじゃん、ヒャハハッ!」

「そーっすよ三方さん、やりがいがありそうっすね」

「だろ?俺の目の付け所は最高だ!で、女?ちょっと付き合えや、あん?」

「貴方とは一瞬一秒たりとも一緒に居たくありません。お手紙やこれからのお誘いは是非ご遠慮させていただきます!」


下品な言葉を並べ立てる男たちに眉をしかめ、渡辺は勢いよく言い放った。その言葉に、取り巻きの男共がいきり立つ。


「あん?このアマ、調子のっとんのか、あぁ?」

「お前三方さんが優しくしゃべるからってつけあがってんじゃねえぞコラ!」

「大人しく付いてくりゃ良いんだよ黙ってろ!」

「皆さんに付いていって何をされるか目に見えていますし、それについて行くほど私はバカじゃないです」

「お、何されるか分かるの?いやー、キモチイイよ?クククッ、これからじっくりなじませていくといいじゃん?」

「お断りですっ!」


どこが優しく喋っているのか分からないが、典型すぎてみっともない。
あまりのアホらしさに呆れ果て、俺はここで口を挟むことにした。


「おい、テンプレ共。帰るっつってんだから俺らは帰る。二度と彼女に関わってくるんじゃねえ」

「オイ何だテメエは?目障りだぞゴミめ!」


すぐに吠える取り巻きどもにイラつく。もうちょっと理性を持ってほしいものだ、獣かお前ら。


「俺は彼女の護衛だ。彼女はお前たちみたいな粗雑な人間にきちんと断りにいく人だ、お人好しすぎて何されるか分からんからな」


すると、三方というここのボスらしい奴が立ち上がって言った。


「お前がこの女の彼氏ってことか?」

「話聞いてるか?護衛っつってんだろ」

「そうかそうか、なら俺らがお前を沈めといたら良いわけだ。ケガしたくないならお前だけ帰っとけ、な?」

「やっぱ三方さん優しいっす!おら、さっさとしっぽ巻いて帰れ!」


渡辺が静かなことに気づいて横を見ると、彼氏?とかお人好しって何?とか隣で渡辺がぶつぶつ呟いているので、こういうのに反応していたらさすがにテンプレ共がキレそうと思いスルーする。
そして、俺は三方に向かって言い放った。

「二人で帰るぞ?家まで送るのが俺の仕事だし」

「ほう、五対一で一人を守りながら戦うと?舐められたもんだ」

「喧嘩はしたくないが、仕掛けてくるなら吝かではないな」

「このガキッ!!テメエらっ!コイツを袋叩きにしてやれっ!!」

「オゥッ!!」


俺が挑発した途端、全員が襲いかかってきた。

渡辺を壁際に立たせてその前に移動する。これで俺を倒さない限り不良共は渡辺に手出しが出来なくなる。

「オルァッ!!」

「…甘い」

一人目が殴りかかってきた瞬間、その男の拳を掴んで捻る。
それだけで見当違いの方向へ男は飛んでいくが、今度は三方がナイフを持って襲ってくる。


「…あぶねぇな」


全く危ないと思っていない口調で呟くと、ナイフを横から蹴って手から弾き飛ばし、そのまま鳩尾に一発入れるが、そこで俺は顔をしかめる。


「…浅い」

「「テメエッ!!」」

もう一発入れようとすると、入れ違いに二人まとめて左右から蹴りが飛んでくる。それはフェイントと即座に看破、追い打ちをあきらめて蹴らせておき、続けて飛んできたフックが届く前に拳で鳩尾を殴って気絶させ、返す蹴りで顎の下を掠めてもう一人を昏倒させる。
続いてボクシング野郎がパンチを仕掛けてきたが、まともに取り合うのも面倒くさいので蹴り飛ばす。それだけでボクシング野郎は数m吹き飛び、転がって動かなくなる。


「はい、終わり」


始まってから二分もかかっていない。終始圧倒的な戦闘だった。






「渡辺、大丈夫?」

「う、うん…。でも強いね、謙人くん」

あっさり始まりあっさり終わった喧嘩に目を白黒させながら渡辺が呟く。

「まあな。さて、用事も終わったし帰りますか」

「そうだね、本当にありがとう。…それで、この人たちどうするの?救急車呼ぶ?」

「一時間もしたら起きるから、放っておく」


やはりお人好しな発言をする渡辺に苦笑しながら、俺は答えた。
そこに、呻き声が聞こえて振り向くと、拳の入りが浅かった三方だった。動けないようだが意識が残っているらしい。


「そういうわけで、俺らは帰るし二度と手を出すなよ?さて、じゃあ帰りますか」

「クソガキィ…」


そう言葉を残すと、俺は帰るよう渡辺を促す。
そこで、ふと気づいた疑問を口にした。


「何でコイツらここら辺牛耳ってるんだ?こんなに弱いのに」

「いや、それは謙人くんが強すぎるだけだと思うけど…。それはね、トップの人の親が金持ちで、何でも買い与えるからって聞いたよ?」


本気で聞いたのだが、あきれた様子で渡辺は話す。


「スタンガンとか睡眠薬とか、色々買い集めてたらしいよ?全部通販で色々と買い占めていたとか」

「おいおい、その親はバカか」

「だよねー、でもそのせいでかなり困ってる人もいるんだよ?」

「そりゃ大変だなあ…」



のんびり話す俺たちは失念していた。


まだ、西高校内だということを。


気を抜いて話しながら歩いていたことを、俺は後悔しなければならなくなる。



「ッ!?」

異様な殺気に振り向いた俺は、いつの間にか三方が起きあがっているのを見た。


そして、何かをする間もなく…。




タァンッ!



乾いた音が校内に響く。




三方の手に拳銃(・・)があり、そこから薄く煙が漂っている。

そこから出た弾は…




「…えっ?」



渡辺の胸を貫いていた。

そのまま弾の勢いに押されて倒れていく渡辺の姿に我に返り、慌てて渡辺に駆け寄る。
渡辺は早々に意識を失っているようだった。心臓は外れているようだが、肺を貫通してしまっている。


「おい、嘘だろっ!」


手は適切な止血動作をしながらも、頭はパニックだった。



渡辺が撃たれた。
怪我をさせないと言ったのにその約束を破ってしまった。



とりとめのない思考が俺の頭の中をぐるぐる回り、何も耳に入らなくなる。
隣で西高の教師が何か叫んでいるが何も聞こえない。手を出してきたので知らないうちに投げ飛ばしていた。銃声を聞いて駆け寄ってきた教師に三方が取り押さえられるのが目に入ったが、それを理解することもない。
ただ、適切な応急処置をするだけになっていた。



俺のフリーズ状態は五分後救急車が到着するまで変わることはなかった。

明日も更新します。

02/13 誤字訂正

現在、こちらの作品を連載中です。

妹の代わりに俺は魔王になった。


http://ncode.syosetu.com/n4562cu/


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