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母親の実家は異世界でした!! 作者:歩夢りんご

第05章 新たな力

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第37話

投稿時間を変更してみました。

あと、いつの間にかユニーク10000超えてました!
読んでいただきありがとうございます。
のんびりと、でも普通の人の何倍もの速度で走って俺たちは山小屋まで戻ってきた。
そこでファルを見た村人たちの喜びっぷりや、リリーにくっつく子ども達の嬉しい表情を見ていると、間に合って良かったと本当に思う。

もう日が暮れてしまって、子ども達はすでに眠っている。
大人たちと俺、ファル、リリーは新しい村づくりについて相談していた。


「ドレットを育てたり、家畜を放牧したりしているわ。税金は『糸の実』を育てて納めるからその畑も必要ね」

「どうせ農地を作るのなら新しい作物を育ててみたらどうでい?ここには色々と実があるんだしよ」

「……それは良い考えじゃが、人数が少なすぎてそれは無理じゃな。都からこっちに人が移住してきてからじゃろう」


大人たちが活発に意見を交わし合う。
俺もファルも、こんな会議は初めてなので慣れておらず、意見がぐるぐる回る様子に圧倒されていた。
俺は師匠のところにいたときに自分で畑を作ったから、作業そのものは出来るけどこういう計画は無理がある。
一方のファルはいろいろと考えはあるようだが、どうやら発言の機会をつかめないようだ。

……リリーはうたた寝中だ、エルフとはいえ農作業は一切しないらしくこういうところは役立たずらしい。

少し気を引き締めて俺も発言してみる。


「農地を耕すのは、この小屋の床面積ぐらいなら一時間程度で出来ます。ですから、どれくらいの広さの村にするか、家はどの辺りに作るか、魔物対策はどうするか……といったところを先に決めませんか?」

「おう、そうだな!家作らねえと子ども達がかわいそうだ!」

「広さか……。所詮村じゃからの、三百人を越えると別のところに行って新たな村を作らねばならんからな。まずは百人規模、元の村の規模をめざせはよかろう」

「なら、農地は今の人数で出来る広さにして、その外側に魔物よけの壁を作ったら良いじゃない!」


ミシェルさんはどうやら小作人たちのなかではかなり発言力があったらしい。
というか、話してる内容が一番まとまってる。
かなり賢いんじゃないか?多分、お婆さんの次くらいに。


「あの……」

「ん?どしたのファル?」

「……えっと……」

おずおずとだが、ファルが手を挙げた。
ミシェルさんが発言を促すが、少し言いづらいのか思い切りが良くない。


「ほら、しゃきっとしなさい!会議に参加してるんだから言うときはばしっと言うの!」

「う、うん……。えっと、場所は川から少し離れたところだとは思いますが、私としては水路を作って畑の周りを通したらいいと思います。雨が少ない時期に川から水をくんで運ぶっていうしんどい毎日を子ども達も含め村人総出でやるのはしんどいかと……」


え。
農水路っていう概念がなかったことに俺は驚きである。
まあ、魔力というファンタジーパワーがあって、酒も茶も泉で湧く世の中だしそういうものなのか。

……なら、地力という概念もないんじゃないか?


「それは良い考えじゃ、だが洪水の時はどうする?」

「川とつながる位置に門を作って、雨の時には閉めておくのではどうでしょう?」

「それなら出来るかしら……。どう思う、他の人?」

「良いと思うわ、かなり作業が楽になるんじゃないかしら」
「良いと思うぜ?ただ、それ作るのにどれくらいかかるか、だな」
「よく考えついたの、ファル嬢ちゃん。流石じゃ」


みんな乗り気らしい。
俺も懸念事項をなくしておくべく、隣でうつらうつらしているリリーに聞く。


「なあ、リリー。村って移動することはあるのか?」

「……ん?村の移動は普通しないの」

「でも、収穫量は年々減ってしまうだろ?最終的に植えても何も育たない土地になってしまったりはしないのか?」

「んんー……。何もしなかったらそうなるの。だいたい六年、何もしなかったら作物が育たなくなるの。だから、三年経ったら半端じゃなく高いお金を払って、外国の神父に魔法を使ってもらうの」

「……その負担がなくなったら楽になるよな?」

「ええ、おそらくはそうなの」


肥料という概念は魔法でカバーするらしい。
しかもそれが使えるのは国外の人間ですか、そりゃ大変だ。


「えっと……神父にお金を払わなくて済むアイデアがあるのですが」

「……いや、ケントくん。それは無理じゃないかしら?何故作物が育たなくなるのか、それも分かってないのよ?」


そうなのか、まあ分かってたら対策も思いつくか。
ただ、俺が説明できるか心配だ……。


「作物が育たなくなるのは、地面に栄養が足りなくなるからです。育つということは、根から水とともにさまざまな栄養をともに吸収する、ということです。なら、そのまま育て続けたら土地の中にある栄養が枯渇する、という理屈です」

「土地の中に栄養ですって?理屈は通ってるけど……信用しづらいわよ?」


思いっきりミシェルさんに不信感を露わにされる。
まあ、ない概念をとやかく言っても仕方ないのだ、とりあえずは三圃制は通しておきたいな。


「信用は、成功してからで構わないんです。ただ、とても簡単な方法です。土地を三つに分けて、『畑・放牧地・休耕地』に分けるんです。そして、一年ごとに交代していきます」

「おうおう、確かに簡単な方法じゃねえか」


村づくりの会議は夜中つづいている中、リリーは早々に爆睡してる。
その図太さ、うらやましいね……。



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



こうして、ドレア村再建計画はスタートした。
俺は土木系の仕事で、ファルは竜の山(小屋のあった山はそういう名前らしい)で家用の木の伐採作業をしている。
リリーは魔物よけや血のにおいが外に広がらないようにするための魔法陣を作ってくれている。
リリーは光魔法しか使えなかった分魔法陣でカバーできないかがんばっていたらしく、現時点で世界最高の魔法陣の『陣士』らしい。

山ではカーン、カーンという音が鳴り響いている。
修行の一環として、ファルは今頃山中走り回っているはずだ。
一方リリーは魔法陣の下書きを小屋の中でやっている。
これには集中力がいるらしく、下書きを始めたリリーはまさにプロ感溢れていた。

俺はまず村の周りに堀と壁を作ることで魔物対策をする。
土を掘るのは意外と大変だったが、途中から魔力を使う練習をかねてやっていたらすぐに終わった。
自分の体を強化して、気合いで蹴りつけることで穴を掘り、穴の横に掘った土を盛っていく。
こめる魔力を調整し、同じ深さにするように心がけていたら意外と難しく、熱中してしまった。
その後は盛った土を固めていくのだが……


「ケンにい!何か俺たちにもやらせろよー!」
「あたしも!あたしも何かする!」


子ども達が数人寄ってきた。
獣人の子も人族の子も混じって仲良くしているみたいだ。
元気に騒ぎながら俺に構ってくれとくっついてくる。


「そうだな……。大人たちからスコップを借りてきて、この辺りの土をぺたぺた固めてくれるか?」

「分かった!じゃあスコップもらってくる!」


わらわらと走っていく子ども達を見送り、俺は隣の土山を固めようと魔力強化した手でポンと叩いた。
そのとたん……。


「んなっ!」


ドォンッ!と爆音をたてて土が吹き飛んだ。
一番弱めで叩いたのだが、このやり方だと固められないらしい。
呆然として固まった俺に対し、スコップを持ってきた子ども達は言った。


「ケンにい、アホなの?」


……子供は、時に残酷だ。



この話は前の章の方が良かったかも……。

次回更新は木曜日です。

現在、こちらの作品を連載中です。

妹の代わりに俺は魔王になった。


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