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母親の実家は異世界でした!! 作者:歩夢りんご

第04章 衝撃と出立

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第36話 幕間

おなじみ未菜の視点です。
カラオケに行った帰りのこと。

駅から家に向かうまでの薄暗い道を早足で歩く。
最近駅のそばにパチンコができて、うるさいものの夜が明るくなった。
今までは街灯が少なすぎてふつうに歩きにくかったことを考えると、少しありがたい。
しかも目の前に交番があるから、滅多なことでは事件に巻き込まれないしね。

今日もにぎわっているパチンコと居酒屋を通り過ぎ、少し行ったところが私の家だ。
退院してはいるものの、いつも後で体調を崩すのでお母さんが家にいてくれている。
なかなか友だちと遊べなかったこともあって、お母さんが今日の遊びを許してくれた。
お父さんはダメって即答するんだけど……。


「ただいまー。遅かったかな?」


リビングに顔を出すと、お母さんはのんびりストレッチ中だった。
ちょうど風呂上がりだったらしく、開脚して体を前に倒している。
……柔らかすぎでしょ、胸が床についてるし。


「ううん、間に合ってるわよ。先にお風呂に入ってきなさい、浴室が今なら温かいわ」

「うん、ありがとう。荷物おいたら入ってくるね」


私はそう言って自分の部屋に向かう。
二階の部屋で鞄の中身を出しつつ、カラオケの前の違和感に首をひねる。

(思い出せないけど、誰かがいなくなってる気がするんだよね……。晩ご飯食べ終わったら、アルバムをひっくり返してみようかな)


「……痛っ!」


そんなことを考えていたら、突然ズキッと頭が痛んだ。
そのまま考え続けたら痛みがどんどん増していく気がして、私はいったん考えるのをやめた。
これくらいの痛みなら耐えられるけど、お母さんに痛がってるそぶりを見せるわけにはいかない。
お母さん勘が鋭いし、速攻入院させられちゃうだろうからね。



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



さて、風呂とご飯をすませてまた自分の部屋に戻ってきたんだけど……。
今の時間は九時半、予習はもう済ませてあるから二時間ほどはアルバム探しが出来るわけです。

何かを忘れてる、誰かを忘れてると思ったときに私の心に吹き荒れる感情と、思い出そうとすればするほど痛む頭。

間違いなく()()()()()()と思う。

どんどん痛くなる頭を抑えつつ、私はアルバムをめくる。
幼稚園、小学校……とめくっていくが、心に響くような写真は見当たらない。
中学校の時の写真はほとんどない。
病室でお見舞いに来てくれた友達と笑ってる写真が何枚かあるくらいだ。
そして、高校入学の入学式時点でアルバムのページは終わっていた。
私の頭痛も、もう半端じゃないレベルになっており、目の前がかすむほどだった。


「……ふふっ、これ以上はマズいかもしれない……」


そう言ってアルバムを片づけようと持ち上げたとき、数枚の写真が隙間から落ちた。


「……ああ、ページがなくなってるから一旦挟んどいたんだっけ……」


その写真は高校一年の時のものだった。合唱コンクールの写真や、校外学習の写真だ。
学校が売ってくれる写真や、友達と交換した写真があった。
パラパラとめくっていくと、最後の一枚が学園祭の写真だった。

去年のクラス全員で撮った写真だ。
私はあまり学校に行けてなかったので、クラス写真というものをあまり買おうとしない。
それでも、この学園祭の時期の体調は良かったので一生懸命参加した記憶がある。
私は出し物の飾りづくりだったけど……と、去年のことを思い出そうとした瞬間。


「…っ!がぁぅっ!」


今までに一番の痛みが襲い、私は床に倒れ込んだ。
徐々に視界が赤く染まり始め、体がほとんど動かせなくなる。
そんな中、ゆっくりとだが声が頭の中に広がってくる。


『飾りづくりなあ……。すまん、いろいろとクラストップな渡辺と二人とか、足引っ張る気しかしないんだよな。俺、こういう可愛らしい細工とかやったことないぞ?』

『あ、こうするのか。意外とおもろいんだな』

『また告られたのか?本当モテるな、渡辺は』

『あ、また負けたーっ!世界史しくってるのに、何で総合で勝ってくるんだよ?』

『二年も一緒か、よろしくな、渡辺』

『 ああ、分かるよ…。そりゃこれを頼めるのは俺くらいなんだろうけど…』

『 怪我が一瞬で治る化け物じみた人間ですよ、俺』

『 渡辺、大丈夫?』


少し低めで、聞いていてなぜか安心したこの声。
好きだったけど、恩人の神野さんに挨拶に行ってからにする、と決めていたんだ。
けじめをつけてから、そう決めていたはずだったのに。

もう私の目はほとんど見えていない。
頭痛も酷すぎて逆に痛みを感じなくなってきた。
それでも、この名前を思い出せた分、私は満足だ。


「……謙人……くん……」


その瞬間、私の意識は暗転した。



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



ふと、目が覚めたら全く違うところに寝っ転がっていた。
頭痛もすっかり消えて視界も良好、体の節々も痛まない。
死んじゃったりしたのかな?なんて思いつつ身を起こすと、部屋の隅の机でパソコンをたたいている人がいた。


「……因果律エラー5パーセント、発生地インド、危険度C、生まれたばかりの男の子か。来たのはどうやら虫系か?記憶消去作業と基本スペックの回復、周りの因果律の緩和もいる……」

「……あのー、すみません……」

「空間のゆがみ率3パーセント、つながり予定は後30分後。接続元は三番目、シーラの認証の上での接続確認。魔術の完成まで20分予定、接続ポートは15番で……」

「すみませんっ、ここはどこですかっ!」

「っ!ああ、起きられたかい?どこか体に異常はないかな?」


二回目で少し大きな声を出したら、驚いて男の人は振り返ってくれた。
仕事中で驚かせてしまったかもしれない、ごめんなさい。


「ええ、体調は大丈夫なんですけど……。ここはどこですか?そして、あなたは誰なんでしょう?どこかでお会いしましたか?」

「うーん、まず一つだけ確認させて。君は渡辺未菜ちゃん、16歳、女性。東高校二年生で合ってるかな?」

「え、はい。その通りです」


軽い私のプロフィールを完全に把握しているようである男の人は、ここで突然頭を下げた。


「ごめん、未菜ちゃん。君の記憶をいじくっていたのは僕だ。僕の名前は辰野光弘。謙人の叔父で、保護者だった」


衝撃の告白だった。
今なら容易に謙人くんのことを思い出せるし、持っていた気持ちもそのまま浮かんでくる。
それでも、突然このように記憶が消えたこと、そして頭痛におそわれ続けたことは困ったことだった。


「……どうしてなのか、お聞きしても良いですか?」

「もちろん。僕が君を呼んだのは、それが目的なんだから」


そう言って辰野さんが話した内容は、余りに現実離れした内容だった。

謙人くんのお母さんは異世界の竜だったこと。
そのため謙人くんもその能力を強く受け継ぎ、この世界には適応しきれなくなってきたこと。
そのため、17歳になったことを機に異世界へと動き、その因果の調整のせいでこの世界から『謙人くん』が消えたこと。
それでも思い出そうとし続けた私が因果律を乱し、強制力に晒されていたこと。


「……そういうわけで、この世界の管理をしている僕から2つ、提案がある。

一つ目が、記憶を僕の手で完全に消してこの世界にとどまること。残念だけど、謙人の記憶は君から完全に消さないといけない。
二つ目が、君も謙人と同じ世界に移ることだ。普通ならこちらの人間を送ろうとすると死んじゃうんだけど、今は向こうから召還術のルートが開いてる。死なずに送れるけど、今度はこちらの世界で『君』が消える。

普通の人にこんなことを強いるのは申し訳ないんだ、でもどちらか決めてくれないか?」

「そんな……」





更新やりきりました!
次から次章スタートです。

けどストック尽きかけてます……。
次回更新は月曜日です。

現在、こちらの作品を連載中です。

妹の代わりに俺は魔王になった。


http://ncode.syosetu.com/n4562cu/


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