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母親の実家は異世界でした!! 作者:歩夢りんご

第04章 衝撃と出立

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第34話

前回で100,000字越えでした!
逃げたウルゴブリンを始末してしまったら、あとは雑魚の普通のゴブリンだけである。
俺の持つ手段では三百匹もの(さっき消したからもうちょっと少ないけれど)ゴブリンを一挙に討伐することができない。
……ちまちまと一匹ずつ倒していかないといけないらしい。


「少し時間がかかるか……」


まだ仲間の死体に群がっている奴らに顔をしかめながら、俺は再度、魔力強化を確かめて群れの中に切り込んだ。



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


戦うこと十五分。
完全に始末がついたので俺は穴を掘り、死体を埋めることにする。
街道のそばが血まみれなのは嫌だろうしね。
穴を掘るのは面倒だったので、魔力強化した足で地面を蹴り飛ばしてつくった。
ゴブリンの掃除より後始末に多くの魔力を使ってしまったのである。

……何やってんだか、俺。
魔力はイメージだというのに、火も水も出ないこの感じはなんだろうね。
魔力強化しか使えないって、何ていうか脳筋な感じがするというか……。

しかし、穴を掘ったら『ガネンの根』という薬草も見つけた。
麻痺の解毒にいいらしい(頭の知識による)。
そのままで食べられるらしいので、ガネンの根を川でささっと洗い、ミシェルさんの所へと持っていく。

L穴の中を覗いてみると、ミシェルさんが子供たちの頭を撫でていた。
麻痺毒の効果が切れているみたいだ。
ただ、子供たちはまだ動けない様子である。
ガネンの根、見つかってよかった……。


「すいませーん……、お掃除終わりましたよー」


俺は軽い調子で声をかけると、ミシェルさんはビクッと耳やしっぽを逆立たせてこちらを向く。
ーービックリさせたらしい、ごめんなさい。


「……あっ、さっきの方ですね?お助けいただき本当にありがとうございました。お怪我はありませんか?」

「ええ、なんの怪我もなくピンピンしてます。ミシェルさん……であっていますか?」

「……はい、ミシェル・ニネルナーですが……どこかでお会いしましたか?」


首をかしげる仕草はファルにそっくりである。
親子なんだなあと思いつつ、俺は説明した。

「いえ、ファルシアさんから聞きましたので……ファルもこちらへ向かっています。エルフのリリーもおそらく、こちらへ向かっている筈です」

「本当っ!奴隷じゃなくなったのね、よかったぁ……」

「ええ、ですからまずはこの……ガネンの根?を子供たちに渡しましょう。ミシェルさんは毒の効果が切れるのが早かったのですね」


植物名に?がつくのはご愛嬌ということで。
……だって、実感はないんだからな!


「ええ、大人の方が耐性が強いので……。このガネンの根、頂けるのかしら?」

「ええ、まだ子供の麻痺は取れていなさそうですし食べさせてあげてください」

「あ、ありがとう!」


ミシェルさんはガネンの根を自分の口に含むと、口の中でよくかんで子供達に流し込む。
少し眉が顰められたのはガネンの根が不味かったからか。

食べさせて少しすると、子供達もかなり体が動くようになってきたようである。
辺りにはもう魔物が居なくなっていることを確認して、俺たちは穴からはいだした。

ーー早く戻った方がいいだろうし。



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



子供達に合わせてゆっくり歩きながら、俺たちは山の小屋へと向かう。
子供達は安心できたのかまた寝入ってしまったので俺が二人、ミシェルさんが一人背負っているのである。
俺は揺らさないように歩きつつミシェルさんに尋ねた。


「……どうして麻痺毒にやられていたか、おききしても?」

「……ええ。私たちはドレア村の獣人の生き残りでね、まあ子供は全部助けられたのはいいものの、村一番の地主が言いやがったの。『もともと獣人がいたせいで襲ってきたんだ、お前が時間稼いで来い』って」

「……最低ですね」


間違いなく、俺に絡んできた男だろう。

……そんなことならもっと殴っておけばよかった。

ミシェルさんも冷たい目をして続ける。


「ほかの村人たちは最初は反対したんだけどね、地主が土地の権利を盾に脅したらみんな賛成に回ったのよ。まあ農民だからそれを取られたらどうしようもないしね」

「ゴミみたいな奴ですね。もっと殴っておけばよかったです」


思わず口に出た。
魔力探知ではどうやら小屋の外にいるらしい。
離れてはいないみたいだが一体どうするか。


「あら、殴ってくれたの?うふふ、それは嬉しいわ……まあ、それで私が行こうとしたら子供達がついていくって言い出してね。三百匹なんて倒せるわけが無いし、この子達も変身したらゴブリンからは逃げられるかと思っていたのよ」

「なるほど……それは分かります。ファルも変身したらすごく素早いですしね」

「ええ、そうなの。で、その魔物のそばへ地主が案内したんだけど、そしたらあのクソ野郎、道がけに動物の狩り用の麻痺毒入りのお菓子を子供に食わせやがったのっ!」

「んなっ!何考えてるんですか、そいつ!」

「そう!それであいつが子供を人質にとって残りのわたし達にもそのお菓子を食べるように言い出して、食べて麻痺して転がっていた、っていうところ」


……掃除しないといけない魔物がまだいたらしいな。


「……まあ、仕方ないのよ、彼は帝国からの移民の一人だから」

「帝国、ですか?」

「そう、知らない?ヴァイス帝国の人は総じて人族至上主義なのよ。まあ、種族別に固まりやすいっていうのは多いんだけど、帝国では特別なことがないかぎり国内の人族以外はみんな奴隷なの」

「うわぁ……」

「もともと人族の人口は獣人やエルフとは比べものにならないくらい多いから、そういう考えにもなりやすいのかもしれないわね」


そう言って寂しげに笑うミシェルさんの顔は、見たことのないような同じ種族の獣人たちを気遣ってのものだった。


「いっそ、全種族を真竜さまが断罪してくれたりしないかしら~ってね」


冗談のつもりで言っているのだろうが、俺にとっては笑い事ではない。

……先祖も母親も、一体何をやった!?

しかし、今の話では意外とミシェルさんには村人は友好な人が多いらしい。
なら、なぜファルは奴隷になったのだろう?



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



さて、山を登るところにさしかかり、ミシェルさんたちの姿も普通の人でも小屋から見える距離になった。
その瞬間、外に出ていた地主だという男が動き出す。


「あ、地主が動き出しました!思いっきり俺たちから遠ざかってますね」

「麻痺させたっていうのは流石に村の掟を破ってるからね、逃げたんでしょ。カバンの中にはかなりの金貨が入ってるみたいだしね」


あっさり吐き捨てたミシェルさんの言葉には、間違いなく待ち針が数千本刺さっていた。
当人にとったらぐっさぐさに心に突き刺さる痛みじゃね?


「追います?」

「いいわ、別に。無傷だったし、あいつと顔も合わせたくないわ」

「なら、約束の完了だけ伝えて終了ということで」


そう言って俺はまたその男を『感知』で追跡しなおす。
一段落ついたらお話し合いをするつもりなのだ。
ミシェルさんの依頼でなく、俺の勝手で。

そうして歩くこと二十分ほどで、小屋のすぐそばまでたどり着いた。
行きは数十秒で降りてきているわけだが、注意した甲斐あって背中の子供たちはまだまだおねんねである。

……俺、頑張った!!


小屋の戸をゆっくりと開けるミシェルさん。


「ただいま、ですね~」


ガバッと座り込んでいた人たちが顔を上げ、ミシェルさんの姿を目にすると顔を明るくさせた。


「ミシェルさんっ!無事だったんですねっ!!」
「ごめんなさいっ、止められなくて本当にっ!」


何人かはミシェルさんに飛びついていっている。


「みんな、ただいまーっ!」

「帰ってきた!大丈夫そうだな!」

「うん、あのお兄ちゃんが助けてくれたのっ!」

「あのお兄ちゃんな、ファルねえとリリーねえを連れてきてくれるらしいぜ」

「ほんとっ!さすがお兄ちゃんっ!」


子ども達はきらきらした目を俺に向けてくる。

……落ち着いたら二人を迎えにいこうか。

子ども達のきらきら視線にあたふたしていると、小屋の中での一番年を取っているらしきお婆さんが声をかけてきた。

「ドレア村の生き残りが助かったのは坊やのおかげじゃ、ありがとうな」


お婆さんはゆっくりと、しかし深く頭を下げる。
それに合わせてほかの大人も頭を下げ、それをみた子ども達も分からないながら真似をする。


……ああ、恥ずかしいぞこれはっ!

明日も投稿がんばります!

現在、こちらの作品を連載中です。

妹の代わりに俺は魔王になった。


http://ncode.syosetu.com/n4562cu/


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