挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
母親の実家は異世界でした!! 作者:歩夢りんご

第04章 衝撃と出立

しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました

ブックマークしました。

設定

更新通知 0/400

設定を保存しました
エラーが発生しました

カテゴリ

ブックマークへ

以下のブックマークを解除します。
よろしければ[解除]を押してください。

ブックマークを解除しました。

28/53

第28話

お待たせしましたっ!
股間を押さえのたうち回るという大変目の毒な光景をお見せすること数分。
その間にファルも登ってきていたらしく、俺が復活した頃にはリリーと抱き合っていた。うん、微笑ましいね。


「こちらにどうぞなの!」

「外でお話も辛いし~、中に入ってちょうだ~い」


カランさんとリリーの声に従い、俺とファルも世界樹のうろの中に入る。
中には俺たちが昨夜泊まった木の家の広さくらいの、大きな居間が広がっていた。
俺たちはそこのテーブルに座り、カランさんの出してくれたお茶を飲んでいた。紅茶っぽい味がするのだが、これもエルフの里で湧いているのだという。茶葉くらいお湯に通すこと考えつこうよ…。


「あなたが、リリーを助けてくれた人なの?」


リリーが俺に尋ねた。俺はそれに頷く。


「ああ、辰野謙人だ。謙人と呼んでくれたらいい。
助けたというか、本来なら魔法が発動する前に助けられればよかったんだが……。間に合わなくて、本当に申し訳ない」


頭を下げると、リリーは慌てて手を振った。


「いやいやいやいや、助けてくれただけで十分すぎるくらいありがとうなの。ファルも無事みたいだし、ケントに本当に感謝してるの」

「んー……なら、もうお礼合戦はやめて俺と友達になってくれ。俺こっちに来て全然日がないから、友人が欲しいな」

「是非、なの!異世界人で真竜って、面白い友達になれそうなのっ!」


お礼合戦を止めるつもりで友人が欲しいなどと言ってしまったが、リリーはうきうきとそれに応じてくれた。
向こうの世界でこんなこと言ったら間違いなく引かれるね、ドン引きだね。


「二次元では『友達になって?』が多かったが、三次元ではそれを言ったところで友だちは出来んっ!!」


そう叫んだのは一だったか?あいつはオタクと言われる部類だったからな、見た目は別に悪くないのに。
まあ、俺は『言わなきゃ始まらんっ!』派だ。どうでもいいけど。


「とりあえず……何だ、ネームプレート見せるわ。他の二人にはもう見せてるから」

「なら、リリーのネームプレートも見せるのっ!良い機会だから、三人でネームプレート交換会なのっ!」


何故かネームプレートを見せるのに乗り気なリリーに、ファルが慌てて止めに入る。


「リリー、ネームプレートは人にみだりに見せるものではないのでは?私がリリーのを見るなんて、族長様の娘という肩書もあるでしょう、いろいろと不都合が生まれませんか?」

「だから、ママは除外してるの。普通は同じパーティーになったら、仲間のネームプレートは軽く暗記してるの。きっとケントとファルはパーティーを組むんだろうし、そこにリリーも入れさせてもらう魂胆なのっ!」

「いつも通りちゃっかりしていますね、リリーは」


得意げに言い放ったリリーに対し、ファルは苦笑して返した。リリーは胸を張っているが、俺とファルがおなじパーティーになるって?俺、言ってなかったはずなんだが……。


「ネームプレート、なの!」


リリーは右手を突き出して言い放つ。せっかく見せてくれるのだから、信頼の証として俺も受け取るべきなんだろうな……って、ん?


「リリーに、俺のネームプレート見せてないよな?」

「ママに教えてもらったの!」


おいカランさん、プライバシー保護法っていうのを教えて差し上げましょうか?
ちなみに、俺のジト目に気づいていないかのようにカランさんは微笑んでいる。


「……なら、失礼して……。オープンっ!」


リリーの手からネームプレートを受け取り開けてみると、ひっそりとファルものぞき込んだ。





◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


リリアーヌ ミルエノン(16)

パーティ
無所属

出生地
エルフの里

種族
エルフ

父親
レアール・ミルエノン

母親
カラン・ミルエノン

住所
エルフの里 世界樹

職業
無職
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



……みんな無職だな。
さらっと目を通すと、ファルも見終えていたらしくそのままリリーに返す。


「ありがとう、見た……って、ほかになんか言うことあるんだろうか?」

「別にいいの、何か重要なことが書いてあるわけでもないの」


そうリリーはあっさり言うと自分のネームプレートを消す。とここで、俺はリリーたちが連れてこられた時からしか知らないことにふと気づく。


「リリー、どうしてあんな盗賊団連中に捕まっていたんだ?あいつら、リリーをもともと狙っていた、みたいな感じの話しぶりだったけど」

「それは私も聞きたいわ~、リリーちゃんなら捕まるわけないと思ってたのだけど~」


カランさんも続けて言う。ファルも口には出していないが、首を縦に振っていた。どうやらファルはかなりの手練れらしい。


「……頭に血が上ってたの……。一生の不覚だったの……」


絞り出すようにそう言うリリー。俺には、そこに悔しさの色を感じ取る。リリーはそのまま、ゆっくりと話し始めた。


リリーはもともと、光属性の魔術が得意だった。というか、それしか使えなかったらしい。そこでエルフの里の外に出て、治療術の技をあげることによってこれから生きていけるようにしようとしたのだという。


「エルフの里ではみんな怪我しないの。魔物も一瞬で駆除されちゃうから光魔法も使う暇がないの」

「……優秀なのも少し、大変ですね……」


ファルがぽつりと呟き、リリーがそれにうなずく。


「だからエルフの里からはそこそこ離れたところで、お安く治癒師として活動するようにしたの」


そこで訪れたのがファルの村であり、ファルと出会ったのだ。ファルとは意気投合し、仲良くなってしばらくして、ファルが銀猫として突如毛色が変わったのである。最初は自分が原因かと思って慌てたが、カランさんからの返事でなんの関係もないと分かったらしい。どんどん冷たくなる村の人の態度に心を痛めながらも、仕事として少し遠くの村に半月ほどの日程で出張に行って、帰ってきたらリリーがいなかったという。


「帰った瞬間に分かったの。周りの人に聞くと奴隷にしたって言ってたから怒髪天を突いたの」


事情を知ると即、村長の家の扉を蹴破りファルの売り先を吐かせようとしたリリーだったが、そこで家の屋上に潜んでいた盗賊に麻痺毒の付いたナイフで刺されたのだった。


「村長と盗賊はグルだったらしいの。でも、リリーが麻痺で倒れてるうちに盗賊団がやってきて村中を略奪してまわっていたの。そのせいで、ドレア村は壊滅なの……」

「……そうだったんですか……」


呆然とした様子でファルがつぶやく。俺も言葉にならなかった。しかし、ここでふと気づく。


「なあ、ファルのお母さんってネームプレートには苗字のついたまま、死亡とも書いてなかったよな?だったら、ファルのお母さんはどこかで生きてるんじゃないか?」

「っ!」

「そうなの!奴隷にもなってないなら探しに行くべきなの!私たちのパーティーの最初の目的地はドレア村周辺なの!」


俺たちがパーティーを組むとはまだ決まってなかったけどな。
まあ全員乗り気なら全然大丈夫だろうし、お母さんは早く見つけてあげられるに越したことはないだろう。

と、ここでずっと黙っていたカランさんが口を開いた。


「リリーちゃんが外に出るのには反対よ~。死にかけたばかりなのだから~、少し謹慎処分かしら~?」




次回は20日更新の予定です。

現在、こちらの作品を連載中です。

妹の代わりに俺は魔王になった。


http://ncode.syosetu.com/n4562cu/


よろしければ、こちらもどうぞご覧ください。

+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ