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母親の実家は異世界でした!! 作者:歩夢りんご

第03章 エルフの里

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第27話 幕間3

お墓参りに行った翌日のこと。

学校で私は友だちと昼ごはんを食べていた。四時間目は数学だったのだが、案の定私は2日連続当選、それもそこそこ難しい奴だった。厳しい先生で、たかが一週間の入院で生徒を当てるくじから私を外しておいたりはしてくれないのだ。


「未菜ってすごいよねー。あんだけ休んでるのに、あんな難しい問題あっさり解いちゃうんだもん」

「えへへ、ありがとう。でも、私は数学は得意だけど社会は苦手だよ?特に世界史は全然出来なかったから今地理を選択してるんだし」

「うん、まあ……。去年の成績は世界史だけ大穴だったもんね……。クラス中が『あの渡辺がっ!?』ってなったからね」


他愛もない話をしながら箸をすすめる。あ、ほんとに世界史は苦手です。あまりに一回目は点数がひどかったのでそれ以来世界史に努力を費やしたけど、入院のたびに記憶から抜けていったので最高でも平均。ダメだこりゃ、って見切りをつけてしまいました。二年になって地理を選択したら、点数も良くなっているからきっと世界史は私ダメだったんだよ、うん。


「あ、放課後空いてるよね?もう駅前のカラオケ取ってあるよ!」

「もちろん!今日の門限は8時だからね、かなりしっかり歌えるのだっ!」


いえーいっ、と手をあわせる私たち。入院が一週間で済んで、8日目からカラオケにだって行ける。そんな元気?な生活が送れていると思うと大変嬉しいのだ。午後からの授業は英語と地理だ、予習は済ませてあるから余裕があるし、授業ものんびり受けられるだろう。


昼休みのあとはそんな感じで50分授業を黙々とこなし地理の授業が終わる。


「きりーつ、れーい」


あまりやる気のない日直の号令にあわせ、立って礼をすれば今日の授業はおしまいだ。楽しみにしていたカラオケへいざ、とかばんを片付けていると、一くんが声をかけてきた。


「おーい、姫ーっ!放課後、空いてる?」

「ん?カラオケへ行くつもりだったんだけど」

「あぁ……うん、頼みづらいんだが中庭に行ってやってくれないか?」


一くんのこの顔には去年から何度か遭遇している。と、いうことは……。


「……また?」

「ああ。前回は入院前だっけか」

「うん、そう。まあ、きちんと返事してくるね」


せっかくのお楽しみの前に、少し心の重い話ができてしまったなあ。
誘ってくれた友だちに一言遅れると伝えに行ったら、苦笑して「待ってる」と言ってくれた。ほんと、ごめんね。



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



中庭にて。
私を待っていたのは見かけたことはあっても、喋ったことのない男の子だった。名前も知らないので、おそらく他のクラスなのだろう。


「渡辺さんっ、あの……俺と付き合ってくださいっ!」


私がそばまで行くと、いきなり少年は頭を下げてきた。おかげでどんな人かじっくりとも見られなかった。
いや、だから名前も知らないんだって。


「俺去年から何ていうか…一目惚れみたいな感じでっ」


顔見えない状態で馴れ初めを語られましても。


「お願いしますっ!」


一向に頭を上げない少年に、私はため息をつきながら返答する。


「はぁ……。ごめん、無理です」

「……」


即答すぎたせいか、少年は頭を下げたままフリーズしている。思いの外、冷たい声色になってしまったかもしれない。少し慌てて付け加える。


「いや、私、あなたの名前も知らないの。そんな人に突然言われても、ちょっと…ね?」

「……」


なんの返答も返ってこないっていうのは困るなあ。とりあえず私は続ける。


「ごめんね、お断りさせてください」


そう言って私も軽く頭を下げる。断ってばかりで申し訳ないというと申し訳ないのだけれど、やっぱり好きな人と付き合いたいし。
そのまま中庭を出ようと歩きだしたその時、少年がぽつりと言った。


「やっぱり……好きな人がいるっていうのは本当なんですか?」


その言葉が耳に入った瞬間。


私の心の中でなんとも表現し難い感情の暴風が吹き荒れた。
心の中に甘く切ない想いが広がるのに、その対象は淡い霧に包まれたかのようにはっきりしない。つい最近生まれたようなものではないこの感情に、私は戸惑った。


「えっ……」


気がついたら私の頬からは涙が零れていた。それに触れて私も呆然とする。


「ご、ごめんなさいっ!」


私はそのまま駆け出してしまった。後ろに訳の分からない様子で立ち尽くしている少年を残したまま。


校門の前で待っていてくれた友だちに、『どうしたの!?』と驚かれつつも、なんでもないよと誤魔化しながらカラオケへと向かう。勢い良く走ってきたから私の剣幕に驚いていたらしい。その頃には溢れ出した涙も止まっていた。

でも、一緒にカラオケに行っても私は相談することができなかった。仲良しではあるけれど、こんなことは聞けないから。


()()()()()()()()()()()()()()()()()、なんて。



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



某所にて。


「ああ、何でっ!!
感情の削除だけ彼女はうまくいかない!他の人たちは問題なく因果の消滅を完了しているのに……。
痕跡消去は百パーセント完了、記憶消去は九十五パーセント、感情消去も同値……。
渡辺未菜、彼女を中心に因果律に歪みが出始めてるっ!
やはり最後の治療のせいか?父上の言ったことに従うのではなかったか……。
このままでは他の人の因果律までも乱してしまう!」

「みーくん、忙しそうじゃのぅ?」

「ええ、忙しいですよ。父上は仕事しながらこちらへコールですか?」

「そうじゃ、面白そうになってきたからのぅ」

「なっ、父上っ!こうなることが分かってて謙人を唆しましたねっ!」

「そりゃ、分かっとったわい」

「どうするんです、このままじゃ彼女を異物と判断して世界が勝手に彼女をはじき出してしまいますよっ!?」

「慌てるでないみーくん。お主の痕跡消去、それは完璧じゃよ。それに抗う可能性を彼女が持っていたというのも事実じゃ。しかし、抗うと決めているのは彼女自身なのじゃよ」

「彼女はこの世界の人間ですよ!謙人とは違うのです、世界移動なんて出来るはずがないでしょう!」

「やってみなければ分かるまいて。というか、今渡るのにちょうどいいものがあるからのぅ」

「どういうことですか?」

「今あっちの世界では召喚術が試みられておる。それに便乗して送ってやればよかろう」

「召喚ですって?はぁ、向こうの世界は何を企んでいるのやら……」

「悪魔を呼ぶらしい。面白かろう、ハッハッハッ!」

「別の世界ですから、私には関係ありませんが……。それなら、送ってあげられるでしょうね。でも、送る前に私は彼女と話はしますからね。あなたの悪行を伝えておきましょう」

「なっ!義理の孫にそんなことを吹き込むでないっ!」

「自業自得ですよバカジジイ。では、召喚魔術があったら送りますから、そのつもりで」

「あ、そうそうみーくんよ。召喚術は多分今夜だし、頑張るのじゃよ?ではな〜」

「なんですと?!」



ブラック企業に勤めている光弘おじさんですね!

尚、マイパソがクラッシュしたので執筆速度が落ち、ストックが大変心許ない状況になってしまいました。
次章の更新まで少しお待ち下さい……。


04/13 タイトル修正
08/14 ルビの修正

現在、こちらの作品を連載中です。

妹の代わりに俺は魔王になった。


http://ncode.syosetu.com/n4562cu/


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