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母親の実家は異世界でした!! 作者:歩夢りんご

第03章 エルフの里

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第25話

俺とファルはカランさんの後についてエルフの里の中を歩いていた。木の家というより、家の木が立ち並ぶ幻想的な風景に、その窓からこっそりとのぞいているエルフたちの姿がまじる。どうやら髪の色は様々らしく、緑に青、ピンクまであったがそれぞれに共通するのは、透明度の高い髪の色であるということだった。そもそも髪は日光を遮るはずなのになぜ透明度が高いのか……。やはりファンタジーは地球とは違うらしい。たぶんそのあたりを気にしてはいけないのだ。
足元にはしっかりとした土があり、石などで舗装をされているわけでもないのに歩きやすい。一度舗装してしまうと木にとっては生きにくい、水が表面で流れてしまう状態が出来上がってしまうからな。きっとそんな関係で舗装をしてないのだろう。
エルフたちは遠目でのぞいているらしいが、どんな人たちなのか魔力強化した目で見渡してみる。向こうも何らかの形でこっちを見ているのだろうし。


「エルフとは言っても、やっぱりカランさんは別格なんだな。他のエルフたちは魔力量そんなに多くないし」

「え、ケントさんはそんなことまで分かるんですか?私見ても魔力どころか、エルフさんたちの場所もわからないですけど……」


ぼそりと呟いた俺の一言に、横を歩いていたファルが驚いたように言った。ファルはキョロキョロ辺りを見回しているが、まずエルフたちを見つけることから苦戦しているらしい。


「魔力を目に通したら普通に見えるぞ?」

「魔力を、目に……?」


俺はあの草原で練習してて出来たと言えるのはこの魔力強化だけだしな……。なんていうか、俺あの学校で普通に賢かったのに何で能力は脳筋っぽいんだろうね。俺、高校三年生の分まで勉強終わらせてたよ?ほんとだよ?まあ、渡辺には勝てなかったけどさ。
そんなことを思ってたら、カランさんが振り向いて、呆れたような表情でファルに言う。


「ファルシアちゃん~、悪いことは言わないから試さない方がいいわよ~?」

「えっ?どうしてですか?」

「こめる魔力の量が難しいからよ~。治癒師のいないところでやったら~、死ぬわよ~」

「お、俺ひとりで適当にやったぞ?」


死ぬ可能性あったのかよ。でも、そんなに難しいことだろうか?実際、俺は目の強化の時は魔力を網膜にこめることで魔力が見えるようにしてるし、身体の強化は至って簡単、細胞一つ一つに魔力を染み渡らせるイメージで強化している。そんなに難しいことではないと思うのだが。


「少年は極端な例外だわ~。普通~、腕を強化しようとして~、数十回自分の腕爆散させて~、やっと身につくとも言われているもの~」

「そ、そうですか……」


それを聞いたファルは顔がひきつっているが、似たような顔をしている自覚が俺にもあった。っていうか、それを俺はファルに教えるんだろ?教えられる気がどんどんなくなってきたぞ……。


「魔力の操作って所詮イメージだからね~。少年は~自分の体や他の物質について~しっかりとしたイメージがあるってことね~」

「イメージ、ですか…。すごいんですね、ケントさん!私も追い付けるように頑張りますっ!」

「ああ、頑張ろうか…」


イメージ、か…。それなら、かなり教えやすくなるぞ?なんてったってアリストテレスから始まる物理の知識が俺の中にはあるのだから……って言っても、高校までで習う科学知識ということだけです。
でも、この世界でも基本的な物理法則は同じだ。なら、魔力という概念だけをどのように当てはめるか考えればいいだけなのだろう…。難しそうだな。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



「族長様、リリーの容態はどうなんでしょうか?」


ファルがカランさんに聞いたのは、カランさんがあと十分ほどで到着すると言ったときだった。やはりずっと心配だったらしい。俺の飯で楽しんではくれたものの、心配なものは心配なのだろう。


「そうねえ~、身体には問題はなかったわ~。問題だったのは精神の部分よ~」

「精神、ですか?」


何でもないようなトーンで言ったカランさんに、ファルが聞き返す。前を歩いていたカランさんは、振り向くことなく話を続けた。


「エルフはね~、世界樹から生まれたのよ~。だから~、世界樹の中には~全員の精神それぞれの雛形があるのよ~。で~、リリーちゃんは精神が中で~ばらばらのピースになっちゃってて~」

「……」


なんでもないように言ってはいるが、これはきっと大変なことだったのではないだろうか。自分の精神がばらばらに引き裂かれる、ということを想像するだけで背筋が寒くなる。リリーはその状態で一日半は耐えたのだ。


「実際危ないところだったわ~。一つ一つのピースのうち~、一つでも死んでしまってたらそこで再起不能だったもの~。そこでは少年に感謝してるのよ~」

「俺はそんなこと知らなかったですよ?だから適切な処置なんて一つも…」

「いいえ~、魔力を注いでくれたみたいじゃない~。その魔力が精神のピース一つ一つを繋いで~、守ってくれてたのよ~」


カランさんの話は驚くべき内容だった。何も知らなかったし、俺が与えたわけでもないけれど、助けたいと思いながら戦い、魔力を引っこ抜かれたあの瞬間が命をつないでいたとは…。あの悪魔もどきもひょんな事で役に立ったみたいだなあ。
と、カランさんが突然振り向いてニヤニヤしながら言った。


「普通他人の魔力ってね~、何かするまでもなく拒絶するのよね~。それは真竜といっても同じなの~。だから~、疑っているわけ~」

「……と、言いますと?」

「どういう事ですか?」


俺もファルもさっぱり分からない。首を傾げる俺達に、カランさんはとんでもないことをぶっ放した。


「どっちかが~相手に自らの身を捧げる覚悟がない限りね~」

「「はい?」」


リリーの中に俺の魔力があったのなら、リリーが俺に全てを捧げる気だったということになるが……。って何だって?!


「リリーとケントさんの間にそんな関係起こるはずがないと思います!だって、まともな状態で会話したこともないって言ってましたよ?」


全くだ。あんなキモい髪型で蛇まみれだったんだぞ?そんな奴から身を捧げられても怖いだけだよ。まあ、口には出さないけど。そんなことを口にしたらうちの娘にっ!ってカランさんがキレそう。なので、代わりの質問をする。


「どうしてカランさんはそんなことを知ってるんです?俺が知らないだけの、こっちの世界の一般常識ですか?」

「私もそんなこと知りませんでした…」


ファルは知らなかったみたいだが、俺はきっとカランさんだけが知ってる特殊な知識だと踏んでいたのだが…。
カランさんは突然立ち止まった。俺達もそれに合わせて立ち止まったが、カランさんの目には今までにないくらい真面目な光が浮かんでいた。


「ええ、普通の知識ではないけれど、私は知っているの」


突然、返事のトーンが変わる。ふにゃふにゃと話していい内容ではないのだろうか。俺はさらに踏み込んで尋ねる。


「どこかで習ったとか、そういうことですか?」

「いいえ、私はある真竜と一緒に魔術を極めようとしていた、そのときに知ったことです」

「真竜って、三百年前に滅びたんじゃないんですか?」


びっくりしたように聞き返すファルに、カランさんはゆっくりと頷いてみせた。


「そう、三百年前に滅びてしまっています。そして三百年前、私はある真竜と獣人の三人でパーティーを組んでいたのです」


そこで、カランさんの目は俺の方を向いた。そこにあった感情は、深い悲しみ、だろうか……。


「私のパーティーにいた真竜の名前、それがシャルナです」

「シャル、ナ……?」

「そう、向こうの世界では『辰野蒼子』でしたか?あなたの、母親です」



次回は4月7日更新の予定です。

2015/07/05 文字化けしていたカランのセリフを修正

現在、こちらの作品を連載中です。

妹の代わりに俺は魔王になった。


http://ncode.syosetu.com/n4562cu/


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