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母親の実家は異世界でした!! 作者:歩夢りんご

第03章 エルフの里

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第21話

「えっと、その…ケントさんは私にこ、ここ、こうふ…」

「いや言わなくていいからごめんなさいすいません俺が煩悩にまみれてました」


超速で俺は土下座に移行する。女の子の口からこの状況で出させていけない言葉というものはあるだろう。止めるためなら俺は何でもしよう、と言うか俺が原因だし何でもしなければ。


「…ファルシアさん、その布団にくるまってください是非。そしたら目を合わせて会話できるはずですので」

「え、でもお布団は一つしかないのに…」

「いやお願いしますから是非」

「…はい」


というかタオル一枚で男の目の前って…しかも獣娘だぞ?萌えまくる人だったらどうなるんだ、もうおまわりさん呼ばなきゃいけないだろうに。
そんなことを頭の中でぐるぐる回しているうちに、もぞもぞとしていた様子が止まり、ファルが声をかけてくれた。


「はい、もう大丈夫ですから、顔をあげてくださいケントさん」


言われて顔をあげると布団にくるまり、顔だけがぴょんと出ている。

…いや、かなり可愛いよ?何もなければギュッてしたいくらいだし。こういう点では、カランさんの読みは的中したわけだ。鋼のような自制心を要求してくるな…。


「真竜様ですからね、その四種族とは違うところにあるのかもしれませんし…ということでケントさんの人間性を信じます。襲ったりしませんよ、ね?」

「絶対にしない、あくまで合意の上でなければな!」


首をかしげて確認をするファルに俺は堂々と言い放ったが…。
顔を真っ赤にするファルに俺はまた失言したことに気がついた。俺、さっきからアウトなことしか口に出していないような気がする。


「…まあ、少なくとも今日は合意しませんので落ち着いてくださいね?」

「…ああ、すまん…。そうだな、軽く晩飯作るから待っててくれ」


まだ晩御飯を食べていないからということで体良く逃げ出そうとしたのだが…。


「あ、それは私がしますから是非ケントさんは…」

「布団の中にいてっ!というか俺に落ち着く時間ちょうだいっ!」


布団から出てこようとしたファルを止める。そこから出られたら俺もう扉壊して野宿するよ。



と、心に決めて数分後、台所の中の食材が分からずにファルを呼ばなければならなかった…。




◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



台所はもう一つの扉にあった。そこは盗賊のアジトとは異なり様々な食材が並んでおり、肉すらも保管庫にあったのである。
ここまで完備されているのに、リュックの中のしょぼい薬草ばかり食べる必要はないだろうしな。


「なあ、これは何だ?」

「えっと…キュトロですね。火を通すと甘くなりますし、きれいな赤色なので生のまま彩りとしても使えるのです」

「…人参だな。名前そのものは違うけどキャベツにキュウリ、大豆にジャガイモって…。少なくとも食文化で痛い目は見なくて済みそうだ」

「ケントさんの世界にもこんな食べ物があったのですか?」

「ああ、このカンリーっていうのはうちではキャベツって呼んでたし、ポガンならジャガイモだ。覚えられるか分からんけど、なるだけ間違えないようにするさ」


名前だけが違うっていうのはそれはそれで会話に不自由するんだけどさ、まあ前の世界と一緒なのは有り難いことだよ。キャベツ炒めたつもりがバナナ炒めたとか御免だし。
でもさ……


「何で存在する調理法が、

1、ただ火を通す
2、水でゆでる
3、生で食べる

しかないんだよ!?これだけあったらもっと贅沢に食えるだろ?お酒も飲んでたじゃん!」

「え?お酒って湧いているものじゃないんですか?」


恵みが豊かすぎて料理というものが発展しなかったのか?それはさすがに論外だよ。


「酒はこの芋…じゃなかった、ポガンからでも作れる…と思う。少なくとも前の世界ではそれで作れた」

「本当ですか?それはすごいです!」


いや、俺からしたらこの料理水準はもったいなさすぎで泣けてくるよ。


「あの『お粥』も水で煮ただけじゃないんですね?」

「煮たというか炊いたというと思うんだけど。定義は分からんわ、すまん」

「炊く、ですか…。ケントさんっ、是非料理教えて下さい!そういうおいしい料理を私も作れるようになりたいです!」

「すっごく意欲的になってくれるのは楽しいんだけどさ、今日はダメだ」

「どうしてですか!?」


すごく料理に興味持ってくれるのは嬉しいし、教えるのもやぶさかじゃないけど。



「…今は服を着てないから、かな…」

「あうっ…」

「火も使うから戻っといてくれ、すぐ持って行くから、な?」

「はい……」




流石に、タオル巻いただけで料理はさせませんよ。俺一回も振り向いてませんよ?見てませんからね?



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



さて、何を作るかという話だが…。
ただのお粥であれだけ喜んでくれたことを考えると、なるだけおいしいものにしたいなとは思うのだが俺はそこまで料理がデキる子ではない。


米はさっさと炊いてしまって、野菜炒めにあんをかけてみようか。味噌汁は味噌作るのにかなり時間がかかるし、軽く出汁をとって澄まし汁とかどうだろうね。

トントントンと軽い音を立てて野菜を切り、手早く肉を炒めて投入する。その後ささっとでんぷんを溶かしたあんをかけて完成だ。そのころにはご飯が炊きあがっているのだ、完璧である。


「完成だ!よし、手早く完璧」


出来上がったところで、持っていって食べましょうか。



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



皿に盛って持って行くとファルはきちんと布団にくるまっていたので、俺の心臓は跳ね上がることなく話すことが出来た。


「ファル、これはただ炒めただけだけどとろみをつけた一品、そしてこっちが話に出ていた『炊いた』米の真骨頂、ご飯だ。どっちも俺の世界の料理だけど美味しいといいんだが」

「わあ~、美味しそうですよ!これが炒めただけですか?私たちからしたら信じられません!」

「俺も食うから、冷めないうちに、な」

「ええ、いただきます!」


ファルは笑顔で皿を迎えるとスプーンでぱくぱく食べ始めた。俺はそれを横目で見ながら箸で口に運ぶ。


「お、美味しいです!」


ファルも喜んで食べてくれたけど、自分で食べても確かに悪くない。適当に作ったものにしてはそこそこ旨いんじゃないか?
やはり工夫が一番で、ただ切った並べただけというのは料理じゃないことが多い。今のこの世界の料理とは、切ることさえ出来れば料理が出来てしまうその恵みの豊かさに胡座をかいているようなものに思える。ちょうどインスタントラーメン並の手軽さなわけだ。


「絶対、絶対に私に料理を教えて下さいね?機会を改めてということは必ずする、ということだと信じていますからね?」


そんなことを考えていると、美味しかったのか耳をぴくぴくさせながらファルが言った。


「ああ、取りあえずは俺がこの世界の食材に慣れなきゃだからその後になるけど」

「ふふっ、大丈夫ですが少し急いで慣れて下さいね」


ファルは微笑しながら言ったが、そんな明るい顔を見せられたらなるだけ早く慣れて教えてあげたいな。


「ああ、努力するさ」

「ありがとうございます、ケントさん。さて、これからどうしますか?」


ファルは手を合わせると食後のことについて聞いてきた。


「…ああ、俺はこの部屋の外で寝るからファルはそこで寝てくれ」

「あの、でもケントさんが走ってくれたのですから疲れているはずです!ベッドで寝るべきなのはケントさんですよ!」

「言ってくれるのは分かるから巻いている布団を解くのはやめてくれっ!」


まあ蒸し返されるとは思ってたけど、どうやってこの攻勢をくぐり抜けようかね?



申し訳ありませんが、これから更新速度がまた落ちます。戻せるように努力しますが、忙しいのでいつになるかは少し未知数です。本当にすみません!
次回更新は3月28日の予定です。

2015/07/09 誤用を修正

現在、こちらの作品を連載中です。

妹の代わりに俺は魔王になった。


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