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母親の実家は異世界でした!! 作者:歩夢りんご

第01章 突然の急展開

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第2話

東高校二年二組。

俺のクラスで、俺が必ず一番に登校する教室だ。

今日は5月9日。クラス替えにも慣れ、遅刻者が出だす5月のゴールデンウイーク明けの時期である。


「おはよー」

「よう、謙人。おまえいつも学校くるの早いのな。何かあんの?」

「いや、一人暮らしだから用事終わったらさっさと来てるだけ」

「ほえー、一人暮らし!いつからよ?中学の時からか?」

「いや、高校入ったのと同時」

「それでもすげぇ。なんだよ、空手ができて頭も悪くない、あげくの果てに自炊男かよ…」

「ありがとさん、ただ俺のやってたのは空手じゃなくてただの、個人的な格闘技だが」

「あんま変わんねえよ…」


格闘技というよりは、戦う技術と言うものだろうか。山にこもっていた母親の知り合いを師匠としてかなりの修行を積んだ4年は、かなりきつかったが…。勉強に手を抜くことも許さない人だったからなぁ…。


さて、軽く挨拶をしてきたのは友人の国守一だ。そもそも人付き合いはあまり俺は得意ではないが、一のお陰で大変助かっているのだ。


予鈴も鳴り、徐々にクラスメイトも集まり始める。ぼんやりと取り留めのない話をしていた俺は、ふと今入って来た女子に目を留める。



渡辺未菜。少し小柄で、誰が見ても美少女と言うであろう容姿に、下手な細工をしないストレートの黒髪。入学式からこの一年ですでに100以上の告白を受けたと言う噂もあながち嘘ではない彼女は、その全てを一発で断り、逡巡することもないと言うことで有名だった。


「お、姫の登校だな。羨ましいぜ、謙人よー」

「何がだよ」


にやにやと下世話な笑みを浮かべながら話を振ってくる一に、何の気なしに返す。


「スポーツは少し苦手らしいが、それでも標準レベルだ。眉目秀麗、頭脳明晰。去年はお前一緒のクラスだし、彼女と釣り合うのっておまえくらいだ…痛い痛いっ、やめろお前の握力で俺の頭掴むなっ!!」


やはり下世話な話を振ってきた一の頭を、表情を変えないまま俺は鷲掴みにする。なお、握力は80キロを優に超えるから手加減をしていてもかなり痛いと思うんだが…。


「一々その話題を出すな、鬱陶しい」

「でも、喋りかけるのも憚るほどの美少女だぞ?彼女が明るい笑顔を見せる男は謙人だけだ、という調査結果もあるんだ!」


俺の手に鷲掴みにされながらも、必死で語る一の姿はどこか滑稽だった。しかし、その調査には俺も少し興味がわく。


「他にはどんな調査結果がある?」

「ふっ、俺のクラス女子調査ノートは最強だ!だからちょっと手をどけろ」


考えあって手をどけてやるが、一の後ろに立っている人影が見えているからの行動だった。まぁ、本人が見えてないから良いんだろうが…。


「見ろ、クラス女子バイブル!!さて、姫についてだが、最近で言うと一昨日の放課後、一組の男子A氏に呼び出されてラブレターを手渡されそうになったが、受け取ることなく断る。その断った理由は『好きな人がもういるから』という…」

「うん、すごい調査能力だね国守くん。プライバシーの侵害で訴えてもいいかな?」


手を一の肩に載せて満面の笑顔を向ける当人である渡辺と、冷や汗をダラダラ流す一。分かっていた結末が当たって、俺は堪えきれず吹き出した。


「ハハッ、いやー、本人の目の前でそんなこと言うとか、そのノート取り上げてくださいって言ってるんだよな?」

「そうだね、しかも私以外の子も被害に合いそうだし、このノートは貰うね?」


やはりほほえみながらノートを没収して去っていく俺を見送りながら、ニヤッと片頬を上げて笑って一に言った。


「良かったな、満面の笑顔を向けられたぞ?」


俺の一言がとどめとなり、一はその場に崩れ落ちた。



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



その日の放課後。
俺は早々に家に帰る支度をしていたが、そこに渡辺が近づいてきた。


「ねえ、謙人くん。少しばかり頼みにくいお願いがあるんだけど…」

「ん?俺にできることなら手伝うが…俺にしかできないことか?最近俺と仲がいいとかどうとか、かなり噂立ってるし、俺が好きとかどうとか言ってくる奴でてくるんじゃ?」

「別にいいのっ!他人の噂なんて!」


少し心配そうに聞き返すと、渡辺はキッと言い返した。


「いや、その…ごめん」

「ううん、私の方こそごめんなさい。噂なんて、ね…。それで、やっぱり嫌なら諦めるんだけど、どうしても頼みたいかなって…」


渡辺もかなり困った様子で話しているので、俺も少し心配になってくる。なんてったって学年一有名な人だぞ?俺は去年クラスが一緒だからある程度話しかけてくれるが、接点のないやつらにとっては一みたいに暴走の矛先がこっちに向けるいい理由になるらしい。


「別に大丈夫だが…何なんだ、その頼みごとって?」

「うーん、ここじゃちょっと…」

「なら場所を変えるか」


そう言って俺は鞄を持って立ち上がる。こういう場面に食いついてきそうな一は、自分のノートの場所を教えてもらって飛び出ていったところだったので、ここにはいなかった。
計算していたのか?と思うと少し背筋が寒くなるが、彼女はそこまであくどくないだろうと思い直す。


「じゃ、中庭でどうかな?人もあまり来ないし」

「分かった」



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



東高の中庭は何もない。コンクリートとベンチが無造作に並んでいるだけ、という殺風景さはここの学生から絶大な不人気を誇る。



さて、その中のベンチの一つに俺は座っていた。

そして、持ちかけられた相談の面倒くささに頭を抱えていた。


「ごめん、本当にごめん!頼めるのって謙人くんくらいで…。流石に嫌がられるのは分かってたんだけど、どうしても!」

「ああ、分かるよ…。そりゃこれを頼めるのは俺くらいなんだろうけど…」

「ごめん、でも西高の、しかもこの手紙にある人たちってここら辺牛耳ってるじゃない…。私だけじゃ、ちょっと…」



さて、俺に持ちかけられた相談は告白を断る付き添いだった。

市内の東高は県下有数の進学校だが、西高の方は逆に暴力沙汰で有名である。しかもその中でもトップの奴が渡辺に手紙を出した、ということらしいのだが…。



「何が必ず来いだ…。ラブレターどころか、ただの脅迫文だろ、これ…」



あまりの文章のひどさに呆れたところに、付き添いのお願いである。

確かに、女子一人を西高に送るのは危ない。しかし、行かないと奴らが間違いなくこっちに来る。ところが、どっちにせよ返事はお断りだ。奴らのことだ、絶対に暴れる。


「いつ、行く?」

「今日、これから…」

「おいおい…。わかった、行く。ちゃんと連れて行って家まで無事送り届けるから」

「本当にごめんなさい、ありがとう」

「…っ、どういたしまして」


結局OKしてしまった俺は、そこでふと気になることを聞いてみる。


「そう言えば、なんであんなに告られててOKしないんだ?誰か無難な奴にOKしといたら、そういう絡みも減るんじゃね?」

「うーん、そうなんだけどちょっと理由があってね…そうだね、頼むんだから謙人くんには話そうかな。西高に向けて歩きながらにしよ?」

現在、こちらの作品を連載中です。

妹の代わりに俺は魔王になった。


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