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母親の実家は異世界でした!! 作者:歩夢りんご

第02章 こんにちは異世界

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第18話

投稿遅れてしまいました、ごめんなさい!
「ちょっ、ちょっと待って下さい!どういうことですか!」


俺は流石に覚えのないことで攻められるのはごめんである。操られているわけではなく、ただただ激怒しているだけのようであるし、何とか話にならないかなーっと思うのだが…。


「今ね~、リリーちゃんの心の中に入ったらね~、伝わって来た感情があったの~。彼女は今冬眠中みたいなものだからね~、心情のイメージしか分からないんだけど~、強烈に伝わってきたのが~、大きなものが入ってきて~、満たされる気持ちよさだったのよ~!」


入ってくる?満たされる?俺は彼女を襲ったりなんかしてないはずなんだが。
いや、待てよ。大きなものを注いだって言うと…。


「それって俺の魔力だよ!あんたの想像のような下世話なことなんかしてねーよっ!」

「はあ~?リリーがたかが人間の魔力に充実感覚えるはずが無いでしょ~?エルフと人間って魔力の相性最悪よ~?」


ああ、人間って思ってるわけだ。まあ、見た目からして人間だし、魔力も格段に減ってるもんな…。
でも、どうにかして誤解を解かないと俺間違いなく死ぬよな。エルフの族長さまだし。


「エルフと魔力の相性がいい異種族なんて、もうこの世には存在しないのよ~?とぼけるのはやめなくちゃ、ね~?」


今の話だと、『昔はいた』ということになるだろう。なら、既に生きていないらしい真竜って分かったら信じてくれるだろうか?
真竜ということを広めたくはないが、どうしようもないことだってあるだろう。俺もリリーの親を怪我なんてさせたくないし、させられたくもないからな。


「なら、これで信じろよ!ネームプレート!」


縛られた手では掴むことが出来ず、ネームプレートはそのまま地面に落ちた。


「開いてみてみたらいい。それで信じられなかったら、俺は逃げるさ」

「逃がさないわよ~?でもまあ、とりあえず~。オープン」


呪文の後は伸ばさないのか。カランさんはそのまま俺のネームプレートを開けたが、そこで固まっている。やっぱり、真竜なら大丈夫だったか?いけなかったか?と心配になったそのとき、カランさんはがばっと顔を上げて言った。


「真竜~!?真竜がリリーを襲ったの~?」

「だから襲ってねえ!魔力をリリーに取られたんだよ!その時の気持ちじゃねえのかよ!」


襲った、ということから離れてくれ!



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



結局、あーでもないこーでもないと説明した結果リリーが起きるまで待つということに落ち着いた。ネームプレートを開いたにもかかわらず信じてくれなかったのは残念だが、まあ一旦は矛を収めてくれたので良しとする。
俺としては、リリーとは実際まだ喋ったこともないのにこんな親とのドンパチを体験するなんて思ってもいなかったのだけれど。
カランさんはエルフの族長で、魔力はエルフ族ピカイチらしい。それでもなぜ欠乏したように見えたのか?と尋ねると、秘密らしく答えてくれなかった。俺としてはこの土地自体に魔力を注いでおくことで、いつでも回収できるようにしていたのではないか、と考えている。いつか秘密を丸裸にしてやろう、腕がパンパンに腫れ上がっていたお返しである。離されたらすぐに治ったものの、痛いものは痛いのだ。

今はカランさんの案内で世界樹の元に向かっているが、そこで俺は気になっていることを聞いた。

「なあ、カランさん。俺が真竜ってわかったのに怯えたりとかしないのか?ファルなんて知ったとたんに動揺しすぎて変化しちゃったぞ?」

「ん~?崇めてほしいの~?」

「いや、ファルには普通にしてくれって頼まないといけなかったけどカランさんにはその必要がないなって」


そう、カランさんは縛り上げてからこっち、一切その間延びした態度を変えていないのである。どうやら間延びした態度の方が素で、あのピシッとした態度はあまり使わないらしい。そもそも俺としたらカランさんみたいな人だけだったらいちいち隠す必要もないからいいんだが、ファルの態度を見ているとどうやら真竜という一族はあまり喜ばれないものとして伝わっているような気がする。母親の手紙には『世界最強』とあったし、崇められるのならまだ分かるが恐怖というのは少し…。よっぽど間抜けな真竜がのちに現れたとかそんな感じだろうか。


「そりゃね~。でも~、ファルシアちゃんは普通にしてくれって言ったら普通にしてくれたんでしょ~?この世界じゃそれ通用しないのよ~」

「何だって?」

「私みたいに驚きも崇めもしない人は~、この世にはもう数えるほどしかいないわね~。真竜と聞いて恐れ慄く人しかもう生きてないと思うわよ~?恐れ慄いたうえで~、話を聞いて~きちんと普通に接してくれるファルシアちゃんはすっごくレアものよ~」

「人をもの扱いするなよ」

「だから~、リリーちゃんじゃなくてファルシアちゃんにしときなさい~?」

「結局そっちに話持っていくのか馬鹿親め」


どうやら何としてもリリーと俺がくっつく可能性をつぶしたいらしい。話したこともないのにここまで言うって、親って普通こういうものなのか?こんなんだったら絶対異性のお友達はできないよな。


「その話はリリーちゃんが起きてからね~。さ、もうすぐ着くわよ~」

「棚上げね、まあいいけどさ。あんまり広めるなよ?俺が真竜ってこと」

「当然よ~?一応娘を運んでくれた方だもの~。娘の意思を確認するまで広めたりしないわよ~。それより~、里を見たらびっくりするわよ~?」

「どうびっくりするんだ?」

「うふふ~、秘密よ~?」


また秘密かよ。
まあすぐ見られるのだから良いのだけれど、わざわざ気を引く必要もないだろうに。




◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



「とうちゃ~くっ!」


間延びした声とともに目の前の木がさっと動き、視界が開けてすぐ巨大な木の幹が目に入った。何人でひと抱え出来るか分からないくらいの太さだ。年季を感じさせるその木からは、強化しなくても感じられるほど、暖かな魔力が染み出していた。そこから視線をずらすと、周りは10人くらいでやっと囲めるくらいの大樹が並んでいるが、太い分高さは今まで通り過ぎてきた森の木よりも低い。しかしそれは()()()()()()となっていた。確かに木のうろに住んでいるようなものではあるけれど、それはリスが住むようなうろではない。畳が10畳ひけるような広さになっていた。維管束はどこ行った!突っこみたい気分ではあるが。
しかしそれは見事なまでに幻想的な風景だった。確かに驚き、見とれるほどのものである。木を削ったり、切り倒したりすることなく家を作り上げているようなので、きっと森を大事にする種族なのだろうが、この感動は俺は前の世界では見られないものだと確信していた。魔法がどうとかではない、ただその自然を愛する心が打算によるものではないとわかるからだ。


「綺麗だ……」


そんな陳腐な言葉しか出ない自分の語彙力に少々呆れつつ、それでもこの風景を表せる言葉なんてないと思い返す。


「でしょう?しかし、異種族でエルフの里に入ったことがある者はとても少ないのですよ?」


カランさんの口調が折り目正しいものになったが、俺は気にする余裕はなかった。


「すごいな…」

「でしょう?」

感動している俺を見て、カランさんは誇らしげに笑う。そして、満面の笑みで言った。

「ようこそ、エルフの里へ」

現在、こちらの作品を連載中です。

妹の代わりに俺は魔王になった。


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