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母親の実家は異世界でした!! 作者:歩夢りんご

第02章 こんにちは異世界

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第17話

治療を始めると言ったカランさんだったが、その前にファルに尋ねた。


「その場にいらっしゃったのですよね、ファルシアさん?よろしければ、どのようなことが起こったのか教えていただけますか?」

「あ、はい。投げ組という盗賊団がリリーをさらってきたのは昨日の夕方のことです。私はそこで、何かの魔法陣を起動させる餌として扱われました。私から魔力を奪い取り、その魔力が質を変えて真っ黒になったところまでは覚えているのですが、そこからはあまりの痛みで意識が曖昧になってしまいました。そこからは、ちょっと……」


ファルが申しわけなさそうに説明する。しかし、あの魔法陣は魔力だけではなく、彼女の命すら搾り取るものであったというのに、それだけ覚えていたとは驚くべきことだろう。


「そうですか…、ありがとうございます。そちらの方は何かお気づきになったことはあるでしょうか?」


カランさんが俺にも聞いてくる。俺はどれくらい言おうか悩んだが、言わなかったことでリリーが死んでしまったらファルはひどく悲しむだろう。あれだけ心配していたのだから、とても仲が良かったに違いない。


「俺はリリアーヌさんの友人というわけでもなく、ただの通りすがりです。通りがかったときは儀式らしいものが始まり、二人の少女が苦しみだしてからでした……



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



結局、俺は起こったことのほとんどすべてを話した。話さなかったのは自分が真竜であること、そして噛みつかれたときに血と魔力を抜かれたことだけだ。俺が真竜であることをバラしたくなかったのはファルにも分かったらしく、そのあたりは話を合わせてくれた。まあ、血の話はしたら多分正体がばれるんじゃないかなーという勘である。カランさんは俺の話を聞きながら、ずっと眉間にしわを寄せて俺を見つめていた。


「…というのが、俺の知っている起こったことです。お役に立つでしょうか?」

「…ええ、たぶん。少しリリーの心を見てみるから、お二人は少し離れてくれるかしら」

「わかりました、よろしくお願いします」


俺とファルは見張りのエルフ、アルノーさんの隣に移動する。ファルは手を胸の前でぎゅっと握りしめ、神に祈るように目を閉じた。少しふるえるその体が、彼女の思いを雄弁に語っている。


「…リリー、起きてください。話したいことがたくさんあるのですから、ね?」


ひっそりと呟いているのは俺にも、そしてアルノーさんにも聞こえていた。アルノーさんはびっくりしたようにファルを見つめているので、俺は彼に尋ねてみた。 


「何か驚くようなことがありますか?」

「ああ、あの銀猫の話はリリアーヌ様の手紙によく書かれていたのだ。とても仲のよい友人が出来た、とな…。普通、異種族間の絆というのはなかなか育まれるものではない。しかも銀猫の友人だ、驚いたのだよ、我々は」

「友情って良いものですよね…」

「友達のいないぼっちな発言になっているぞ?少年はイジメられてぼっちだったクチか?」


ニヤニヤ笑いながらアルノーさんは言ってくるが、それは俺の心にグサッと突き刺さる。確かにぼっちだったけれども!そんなに俺があんたの矢を避けまくったのが気に入らんか?


「ええ、一時期はそうでしたよ?というか、エルフだというのに口調が軽いのですね?だから矢も軽かったのですか?」

「っ!俺は里で一番の腕だ、わざとに決まっているだろう?それに、お前はリリアーヌ様と話したことがないのは本当みたいだな?そんなイメージは一発で消し飛ぶからな」

「ファルの友人なのでしょう、話してみたいですよ」


どうやら矢を外したのも気に入らなかったようだが、それよりも俺の話の信憑性を疑っていたらしい。それは悪意より、リリーへの心配から来たものだとわかるので俺は矛を収め、アルノーさんの言葉に言い返しながら、カランさんとリリーの方を見た。
カランさんはぼーっとした表情で、その瞳には何も映していない。それだけでリリーの心の中に入っている、ということがぼんやりと分かった。うっすらと魔力がリリーの方へ流れ込んでいるのもわかるが、その魔力はすぐにどこかへ消えていく。もしかしたら精神の世界へ流れ込んでいるのかもしれない。



そのまま数分がたっただろうか。
突然、カランさんの周りの地面から緑色のツタが飛び出してきた。そしてそれは小さな椅子を形作り、呆気にとられている俺とファルをよそ目に、カランさんの足下に移動した。そこでカランさんの目に光が戻ると、カランさんはその椅子に倒れ込むようにして座った。
どうやら終わったらしく、ファルは勢い込んで尋ねた。


「カランさん、リリーはっ?リリーはどうなりますかっ?」

「ふふっ、ありがとう。大丈夫みたい、世界樹の木の中で休んだら目が覚めると思うわ」

「よ、良かったよぉ…」


あまりの安堵にか、少し幼い口調で安心を口にするファル。俺も安心してファルの肩に手を乗せた。


「良かったな」

「ええ、ケントさんのおかげです!ありがとうございます!」


本当に嬉しそうに目を細め、喜びを露わにするファルにアルノーさんもカランさんも嬉しそうだ。


「アルノー、リリーを世界樹の木の中に運んでちょうだい。ハイエルフたちからは離してよ?何を言われるか分かったもんじゃないし」

「はい!」


カランさんの指示でアルノーさんはリリーを背負い、カランさんが歩いてきた方向へ走っていく。やはりその方向の木は道を開けるように動いているので、エルフは森の民なんだなーと俺は納得していた。


「…娘にいい友達が出来て本当に良かったわ。あの、ケントさんとおっしゃるのですね?本当にありがとうございました」


突然、カランさんのお礼が俺の方を向いたので慌てながら俺は答える。


「いえいえ、とんでもない。私は運んだだけの、言わばタクシーですよ!」

「たく、しー?」

「ああ、いえいえ違います何でもありませんすいません気のせいですよだからお礼なんて大丈夫です、はい」


あわてすぎて自分でも何を言ってるか分からん。


「えっと……後一日でも到着が遅れていたらおそらくリリーは目覚めなかったのです、それなら私の感謝が分かって下さるでしょう?」


うわ、ぎりぎりじゃん。
本当に、師匠について修行して良かったよ。少なくとも一人、助けられたと胸を張れる。


「ですから、是非お礼をさせて下さい。里に案内しますし、リリーが起きるまで是非滞在してほしいのです。当然、あれほど仲良くさせていただいているファルシアさんもお願いします」


そう言ってカランさんは椅子から立ち上がり、俺たちに頭を下げる。


「あう、あわわわわ…か、カランさん、頭を上げて下さい!是非、滞在させて下さい!こちらからもお願いします!」


ファルも大分慌てていて気付いていないが俺はカランさんが立ち上がるときに少しふらついたのを見逃さなかった。


「はい、ありがたくお世話になります!ですから大人しく座って下さい、魔力がほとんど無いのでしょう?」

「すいません。ではお言葉に甘えて…」


そういうと、カランさんは再度椅子に座り俺を見た。その緑の目は、魔力の枯渇で朦朧としているわけでもなく真っ直ぐ俺を貫いていた。
俺がその視線にはっとしていると、カランさんは森に呼びかけた。


「メネア?ファルシアさんを世界樹のところにお連れして?」

「はっ、かしこまりました」


ひっそりと近くの木のそばにたたずんでいたエルフが、ファルのそばに現れる。気づいていなかったのかファルがびっくりして飛び上がるが、メネアさんは黙ってあっさり歩き始めた。どうやらついて来いということらしい。


「えっ、ケントさんは?」

「彼は私が案内するわ。少し私の体調が落ち着いたら、ね?」

「分かりました、ではお先に失礼しますね、ケントさん、カランさん」

「ええ!楽しんでね?」

「おう、後でな」


さっさと歩いていくメネアさんについて行こうとファルが小走りで駆けていき、そこを開けていた木が再度閉じた瞬間。

カランさんの体から魔力が迸り、座っていた椅子がほどけて俺の体を緑色のツタで縛り上げた。


「っ!!」


魔力強化で引きちぎろうとするもあまりに堅く縛られていて身動きがとれない。
それに、何の反応も出来なかった。というか、今もカランさんから殺気は存在しない。もしかしたら、リリーの中にあの気持ち悪い魔力の元凶が残っていて、それがカランさんに取り憑いたとかだろうか?
とりあえず現状を把握しようとしてツタに縛られ宙に浮かされている俺の目と、無表情なまま強烈な魔力を身にまとうカランさんの目があった瞬間、カランさんの口が開いた。


「うちの娘を~血塗れにして~、あまつさえ娘に初めての巨大なものまでぶち込んで~、そんな男を~私が見逃すとでも~?」


はい?
話のストックが無くなりそうです…。
途中で少し間が空くかもしれません。

現在、こちらの作品を連載中です。

妹の代わりに俺は魔王になった。


http://ncode.syosetu.com/n4562cu/


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