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母親の実家は異世界でした!! 作者:歩夢りんご

第02章 こんにちは異世界

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第16話

軽く走って6時間くらいだろうか。
途中に30分程だけ昼飯を食べて休憩を入れたが、走り続けた結果日が暮れる前にエルフの里に着くことが出来た。ファルも元の姿に戻り、俺の横に立っている。俺の想像していたとおり、エルフの里は森の中にあったのだが…。


「…でっかいなあ…」

「やはり、いつ見ても世界樹は大きいです」


森の真ん中に先が見えないほどの木が聳えていた。おそらくはスカイツリーより高い。どうやったらそこまで成長するのかはさっぱり分からないが、少なくともあれだけ高い木は前の世界にはなかった。
そうやって俺とファルは世界樹を見上げていたが、背中のリリーを治してもらいにきたのである。あまり驚いてばかりではいられない。


「ファル、この中にエルフの集落があるのか?」

「はい、でも部外者は入れません。ですから誰かを呼ぶ必要があるのです」

「どうやって呼ぶの?」

「…来るまで待つ、しか私は知りません。エルフでない私たちが勝手に入ってはただ森の中で迷うだけなのです。森が魔法で惑わしているのだとか」

「かなり排他的な種族だな。まあでも、このままじゃリリーが衰弱する一方だ。取り敢えずあの世界樹を目指してみるか。世界樹のそばにエルフ集落があるっていうのがセオリーだろうし」


というか、植物とお話しするんだろうから世界樹にエルフがいないはずがないだろうし。
俺が目を強化したら魔法での幻惑は見抜ける…と思う。


「迷ってしまいませんか?森の中に入ってしまうと世界樹は見えませんよ?」

「今世界樹見えてるんだし、この方角に走り抜ければいいだろ?迷わせるのなら目を閉じればいい」

「…この森の中を目を閉じて歩くのですか?」

「いや、歩くんじゃなくて走る」

「否定するのはそこなんですか?まあ、いいですけれど…」


ファルは呆れたように俺に言う。まあ、動かない植物くらいなら目を閉じていても避けられるから問題ないと思っていたのだけれど。


「じゃ、もう一度猫になってくれるか?後一息、軽く走るさ」

「分かりました、お願いします」


ファルは軽い音を立てて再度変身し、リュックと俺の間に潜り込む。しっかり収まったことを確認してから俺は魔力を展開し、全員を覆った。

森はそこそこ広い。ちょうど大阪の埋め立てたテーマパークくらいはあるだろうか。そしてそこの中心にそびえ立っている世界樹からは、かすかに魔力が感じられていた。ファルは気づいていなかったようだが、それは恐らく世界樹から染み出す魔力である。あの魔力は暖かい感じがしたから、そこに集まらないはずがないと考えたのだが…。


「木が動かないっていうのは大嘘かいっ!」


目を閉じて走っているのだが、森の木々が周りであちこちに移動しているのが分かる。リリーというエルフを連れているからか攻撃はしてこないが、ちょうど壁が動きまくる迷路のようなものである。目を開けていたら一瞬で迷ってしまうに違いない。


「ケントさんっ!エルフが横を走っています!」


ファルの声に、もう少し魔力を使い感覚を広げると、植物の気配に混じって弓をつがえるエルフの気配が分かった。


「いきなり攻撃かよっ!」


そう吐き捨ててジャンプしたとたん、ねらい違わず俺の足のあったところに矢が突き刺さった。


「ファル、リリーの本名何だっけ?」

「リリアーヌ・ミルエノンです!」

「ありがとっ!」


俺は急停止すると、また目の前を矢が通り抜けていく。気配からすると、どうやら二人増えて三人で俺たちを狙っているようだ。
矢をつがえなおしている隙に、俺は叫んだ。


「俺たちはエルフであるリリアーヌ・ミルエノンをここに運んできた!彼女は重態で治療は一刻を争う!俺たちでは治せない、エルフなら出来るのではないかと思って連れてきたから、治してくれ!」


それを聞いて、動揺している気配が伝わってくる。そこで俺は彼女にかぶせていた魔力を解いて、エルフたちが潜んでいるらしい木陰に姿を見せた。


「……!!」


無言の驚愕の気配が分かる。そのまま少し待っていると、ひとりがすごい速さでこの場を去るのが分かった。誰かを呼びにいったのだろうか。そして、残りの二人がこちらに近づいてくる。


「…ファル、エルフが寄ってくるけど人に戻らなくてもいいのか?」

「はい、エルフなら獣人か獣かはすぐに見抜いてしまいますので。そのままでも大丈夫だと思います」


そんな風にファルと話していたら、一人のエルフが姿を見せた。もう一人は隠れて様子をうかがっているらしい。


「そこにいらっしゃるのはリリアーヌ様か?」

「…身体に怪我はありませんが、意識が戻りません。私は彼女の友人のファルシアと申します」


ファルが俺の鞄から降りて挨拶をする。ここからは俺は黙っておこう、ボロが出そうだし。


「…獣人か。銀猫、だな。間違いない、お前たちはリリアーヌ様の関係者だろう。少し待て、すぐに人が来る」

「…失礼ながら、証明するものは何もありませんのに信じて下さるのですか?」

「銀猫の話はリリアーヌ様からよく聞いている。その特徴に合っているから話は聞いているが、そこの男の話は聞いたことがない。だからリリアーヌ様の友人とはいえ用心させていただく」

「分かりました、リリーをよろしくお願いします」


暇なので俺は森の気配を探っていたが、そこで俺の魔力抜きの全力くらいで近づいてくるエルフをとらえた。


「ファル、誰か来たぞ」

「えっ、本当ですか?私の鼻では何も分からないですよ?」

「結構な実力者なんじゃないか?ものすごく速いし」


俺がファルに伝えてる内に、そのエルフはもうすぐそばまで近づいていた。どれだけ強いんだろうと身構えると…。


「リリー!リリー!どうしたの!どこなの!」


木が道をあけ、そこをひとりのエルフの女が叫びながら疾走してきていた。それを見た見張り役のエルフは、目を剥いて叫び返す。


「族長っ!!何故貴方が来ているのです!治癒師を呼びに行かせたでしょう!」

「私が治癒師よ!娘を救えない治癒師なんて木と話せないエルフ並よ!」


どうやら母親だったらしいが…。


「リリーってえらいとこの娘だったんだな…」

「私も知りませんでした。リリーはあまりエルフの話をしてくれなかったので…」


俺とファルが族長という言葉にびっくりしていると、そのエルフは一直線に俺の方へやってきた。髪と目は緑色で、リリーとよく似た容姿をしている。つまりかなりの美人で、娘を心配するあまり俺に迫っているのだろうがちょっとキツい。怖い。


「運んでいただいてありがとう。私はリリアーヌの母親のカラン・ミルエノンです。早速ですがリリーを診させてもらいますね」

「はい、お願いします」


俺は数時間ぶりにリリーを下ろす。重かったわけではないけれど、揺らさないように注意し続けるのは少ししんどいものがあった。が、当然口には出さない。だって男だからな、女の子には良い恰好を見せたいじゃないか。


カランさんは俺からリリーを受け取ると、右手を淡く光らせ、体中にかざし始めた。気になるので目に魔力を集めて見てみると、その光はリリーの体に広がり異常を調べる力のようだった。暖かい光で、一時期悪魔もどきが発していた魔力とは対照的だ。例えるならカランさんのは春の日差しで、悪魔もどきのは首筋にこんにゃくを当てる感じだろう…。
うまく例えられていないな。まあ、いい感じとやな感じ、というわけだ。


そんなことをつらつらと考えていると、カランさんの手の光が消え、カランさんが口を開いた。


「外傷は完全に治っています。そして命そのものには別状はないので、おそらく精神的なものによる昏睡なのでしょう。今から彼女の心を訪ねます。その間、アルノーは周りを警戒しなさい」

「はいっ!」



これでリリーの目が覚めると良いのだが…。

現在、こちらの作品を連載中です。

妹の代わりに俺は魔王になった。


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