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母親の実家は異世界でした!! 作者:歩夢りんご

第02章 こんにちは異世界

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第14話

ブクマが40件越えしていてびっくりしました!
いつも読んでいただきありがとうございます!
結局、ファルは毛布から出てこなかった。触ろうとすると逃げないが、体がガチガチになっていて恐怖で動けないらしい様子が明らかだった。
エルフ少女も目を覚まさないのでこのアジトで夜を越すことになったのだが…。


朝になると吊していた盗賊たちがみんな死んでいた。
どうやら口の中に隠していた毒を飲んだらしい。魔術は使わなかったようなので、気づかなかったのだ。
朝起きて外を見たら、全員事切れていた。少女たちに見せたい風景ではないし、埋めてしまうことにする。


「身体強化って楽に穴掘れるな…」


盗賊たちの人数分穴を掘り、埋めてやろうと考えたが、こんなことで向こうの世界の名残である制服を汚したくもないし、アジトに転がっていたそこそこな服に着替える。制服は畳んでリュックにしまい、服を着てみると意外と着心地が良い。何かの装備とかで追加の機能があるのだろうか?伸縮性のよい茶色のズボンに、白いTシャツだった。これでは肌寒いので少し漁ると皮のジャンパーもあった。
革ではなく皮で、きれいになめしているとは言えないので、ボツにした。ということで、俺が選んだのは黒いセーターだ。


こうして、着替えも終わったところで全員を埋めてやった。俺が直接手を下したわけでもないが、間違いなく死んだのは俺のせいなのだから。


俺が朝に手を合わせる相手に、両親に加え名も知らぬ盗賊たちが加わった。



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



全て埋めて手を合わせた頃に、日の出を迎えた。今度は朝ご飯を作ることにするが、米しかないこの台所事情ではどうしようもない。
何か狩りとかが出来ないかファルに尋ねようと小屋に戻ると、ファルはもう起きていて人の姿に戻っていた。
そして、俺の目の前で土下座をする。


「申し訳ありませんでした真竜様。私はもうすでに絶滅したと言われている真竜様を見たことが無く、大変失礼な態度を取ってしまいました。私の命で償いますので、どうかリリーは見逃してください。どうか、どうかお願いいたします!」


嫌だな、これ。
化け物扱いじゃないけど、こういうのは嫌いだ。俺はそこで、ファルに言った。


「じゃあさ、一つだけお願いしてもいいか?」

「何でも、御命じください、何なら命でも…」

「命令じゃなくて、お願い。
俺な、前の世界では身体能力が高すぎたんだ。小さい頃に鬼ごっこっていう遊びをやっていてさ、本気で追いかけたら俺は数秒で捕まえていたんだ。鬼ごっこってわかる?」

「え、ええ。鬼役が一人いて、逃げる子役を追いかけるんですよね?」


突然話し出す内容にファルは戸惑っているらしいが、構わずに俺は続ける。


「そう、それ。で、あまりに俺が速すぎてだれも俺を捕まえられないし、最初の鬼を俺にしても数秒で捕まえてしまう。こんな俺についたあだ名が、『化け物』だったんだよ。
それから俺自身はその能力を隠して人と同じような生活を送ってきたし、変な能力はあっても人間だと思ってる。能力を見せて化け物じゃないって言ってくれた人も居ないことはなかったけれど、辛かった。ところが突然、俺は『真竜』なんて言われたんだよ。それでこの世界に来たんだけれど、別に竜になってウハウハしたいんじゃない。そりゃちょっとくらい男の子の夢が叶うかやってみたけどさ、そんな都合のいいことは起こらないんだ。
だからさ、俺は真竜なんかじゃない。実際、竜っぽい力はいっさい使えないんだ。
というわけで、お願い。
頼むから普通に接してくれないか?俺はただの料理がうまかった通りすがりの人だよ。ダメか?」

「えっ、でも…」

「ただのお願いだし、ここの常識というものを俺は何も知らないから、教えてくれたりすると嬉しいんだよ。だから、さっきみたいに怯えなきゃいけないんだったら俺はファルから離れた方がいいんだと思う」

「……」


とりあえず思ってることを俺は伝えた。後はファルがどう考えるか、だ。


「…では、騙してしまったネームプレートを私の分もお見せして、もうケントさんが真竜かどうかは考えないことにします」

「…ありがとう」


何とかなったみたいだ。流石にトラウマをビンビンに刺激するから、あの態度はきついんだよな。


「ケントさん、ネームプレートを見せるとき、他人に手渡ししてしまうと私みたいにオープンの一言で開示出来てしまいます。誰かに見せるときは『ネームカード』です」


名刺、ね。


「私のもお見せしますね。ネームプレート」


ファルは昨日の俺のようにネームプレートを作り、俺に渡してきた。
別に個人情報を見たいわけじゃないけど、これで落ち着くならそれで良いか。


「えっと…オープン」


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

ファルシア(17)

パーティ
無所属

出生地
ドレア村

種族
獣人族 銀猫

父親
ケルト・ニネルナー(死亡)

母親
ミシェル・ニネルナー

住所
なし

職業
無職(元奴隷)
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


「うん、ありがとう」


俺はそう言ってネームプレートを返したが、ファルは自分のネームプレートを見つめている。

「いえ、別に…って、あれ?私、奴隷じゃないのですか?」

「あの首輪か?治すついでに外したんだけど壊してしまったみたいだ。あっちに置いてあるけど」

俺が指さしたのは真っ二つになった首輪だ。ああは言ったけど、実は血をかけて治してたら勝手に割れて外れていた。
びっくりしたぞ?ファルを持ち上げたら首輪が外れて落下したんだから。


「…普通壊せませんし、壊そうとしたら奴隷は死んでしまうのですが…。いえ、でも外して下さってありがとうございます、嬉しいです」


ファルはそう言うと、ばっと明るい笑顔を俺に見せた。


「ま、気にするなよ」


仲間も友人も、奴隷なんかじゃないからな。


俺はこっそり呟いた。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


少し落ち着いたところで、俺は本題を切り出す。


「あのさ、このエルフの…リリアーヌだっけ?彼女の様子のことなんだけど」

「はい、一晩眠りっぱなしみたいですね…。結局、リリーに何があったんでしょう?」


やっばり親友のことはとても心配らしい。ファルも彼女を撫でながら聞いてくる。


「たぶん、悪魔?みたいなのが彼女の中に入ろうとしたんだと思うけど。まあ、色々あってその元凶みたいな黒い結晶は消したら、見た目だけは元に戻ったんだよ。精神、というものがどうなっているのかは分からないな」

「やっぱりですか…。悪魔降臨とあの盗賊たちは言っていましたから。確かに、悪魔の魂を詰め込まれたら、せ、精神が…」


ファルの顔が歪み、涙が目から零れる。


「精神に働きかける魔法っていうのはないのか?」

「…一応あるのですが、エルフの特性魔法です。私には使えません」


特性魔法?
エルフ固有ってことだろうか?


「特性魔法って?」

「えっと、種族固有の魔法のことです。人族にはありませんが、エルフ族は生き物の魂と会話する精神魔法、魔族は物に自らの感覚を繋げる感覚魔法、獣人族は自らの血の中にある種族に変身できる変化魔法があります」

「なるほど。確かに、エルフの魔法なら何とかなりそうな気がするな。だったらエルフの里に向かうか」


ありがたいことに、何とかなる方法がありそうだ。俺としてはせっかく助けようとした少女が目覚めない、みたいな嫌な話はごめんだからな。


「でも、ここからは歩いて5日くらいかかります。そんなのではリリーの体力が保たないのではないでしょうか?食事も取れそうにありませんし…」

「うーん…」


確かに、飲まず食わずで二週間は絶対にだめだ。1日で着くとすると…。
歩いて5日なら220キロくらいだろうか。俺の魔力無しの走りが時速50キロそこそこだから…。


「俺が全員背負って走れば、多分1日かからないぞ?」

「………」


ファルは固まっていた。失敬な!嘘じゃないぞ?


「ファルはごめんだけど猫になってもらって、俺の鞄の中に入る。で、俺がリリーを持って走ればいい。そしたら走りやすいし」

「…分かりました。まあ、私の常識で測れる話じゃ無さそうですし…。お願いできますか?」

「任せろ!ただ、エルフの里の方向は教えてくれるか?」

「ええ、時々鞄から顔を出して方向を確認します。そうしたら迷うこともないでしょう」

「よし、じゃあエルフの里へ行くか!」




投稿は二日おきを頑張って維持します!

現在、こちらの作品を連載中です。

妹の代わりに俺は魔王になった。


http://ncode.syosetu.com/n4562cu/


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