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母親の実家は異世界でした!! 作者:歩夢りんご

第02章 こんにちは異世界

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第13話

近くにアジトらしき小屋があったのでそこに少女二人を運ぶ。ついでにそこにあった縄で盗賊たちを縛り上げ、木に一人ずつぶら下げた。
盗賊の天日干しだ。

俺は、相手を倒すことに躊躇はしないし遠慮もしない。けれど無益な殺生はするつもりもないので、今回の盗賊たちは殺すこともなかった。
なるだけ殺すという安易な手段に頼らないように師匠に言われ続けたし、取らないで済む方法を徹底的にたたき込まれた。
緊縛術なんて向こうの世界ではほとんど必要のない知識だったが、こちらに来て早々役に立っている。
師匠は俺のことを知っていたのだろうか…?

まあ、そういうわけで俺は盗賊たちは殺さなかった。殺すまでもない雑魚だったから盗賊のなる木が出来上がった、ということである。
逃げ出せないように縛ってあるし、取りあえず放置しておこう。



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



小屋に帰ったが、少女たちはまだ意識が戻っていなかった。体調が悪いとかいうわけではなく、ただただダメージが大きかったのだろう。
食事でも作ろうか。

台所に行ってみると、並んでいるのは酒、酒、酒…。盗賊ってこういうものなのかね?
あちこち探っていると、しなびた野菜や薫製肉ばかり出てくる。倉庫には一応米らしいものがあった。


「おう、米だ!しかもジャポニカ米」


日本で食べられているのはジャポニカ米で、粘り気が強いのだが、世界的にはパラパラになるインディカ米が食べられていたりする。ここにあるのはジャポニカ米っぽい形をしていた。


「うーん、お粥作っとくか。あの子たち、お粥食えるかな?」


調理器具はよくわからないので、家の前で鉄の器を使って飯ごう形式で作る。だって、魔力コンロの使い方とか分かりませんから。
塩らしきものも見つけたので、取りあえずシンプルなお粥だ。やっばり、お粥の一番はこの塩味の粥だと思うんだよな。



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



さて、作り上げて家に戻るとちょうど猫少女が目を覚ましたところだった。


「お、目が覚めたみたいで。体調は?」

「は、はい。大丈夫です…あっ!リリーは?!」

「エルフ少女なら隣で寝てる。怪我してたんだから落ち着いて寝とけって。彼女の傷はもう治してあるから」


慌てて飛び起きようとする少女を押しとどめ、俺は言う。今は治ってはいるがあれだけのダメージを負っていたのだ。少しくらい休まなければいけないだろう。
少女をもう一度ベッドに押し込むと、彼女が再度口を開いた。


「良かった…元の姿みたい。あなたですよね、助けてくださったのは。本当にありがとうございます」

「気にするな、成り行きだし。まあ、これは穴の中で一緒にいてくれたお礼みたいなものと思ってくれ」

「あ、分かっていたのですか!すみません、あのときはびっくりしてしまって…」

「それこそ気にするな、俺が力加減が下手くそなんだし。彼女を心配するのも良いけど、とりあえず体調整えないと。お粥作ったけど、食べる?」

「…おかゆ、ですか?何ですか、それ?」


何と、米はあっても粥はないらしい。まあ、冷めたら美味しくないし取りあえず食べてもらおうか。


「これ。あんな怪我した後だから、取りあえず軽く食べられるものを用意してみた。布団の上で食べれるようにお椀によそってあるし、のんびり食べて」

「は、はい…。では、お言葉に甘えて…」


お椀から一口すくって口に入れた少女の目が丸くなる。


「…マズい?」

「いえ、美味しいですっ!どうやって作ったんですか!?」

「うーん、煮ただけ?」

「そうなんですか!」


びっくりしたように食べている少女に、俺の心中はガッツポーズだ。少なくともこの少女の味覚は俺に似ているのだろう。作って喜んでもらえると嬉しいんだよね。
そうこうしているうちに少女はほとんど食べてしまっていたが、少し物足りないのか名残惜しそうにお椀を見ていた。


「…お代わりあるけど、欲しかっ「本当ですかっ!」


…食いつき早いな。



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



さて、作ったものの全てを平らげてしまった少女は、少し心配そうな顔をして言った。


「リリーの体調はどうなんですか?見たところ外傷は大丈夫そうですが…」

「んー…あの子リリーって言うの?名前知らないんだが」

「あ、自己紹介をしてませんでした!
私はファルシアです。獣人の猫族で、奴隷身分なので名字はありません。それで、彼女はリリアーヌ・ミルエノン。エルフです」

「俺は辰野謙人。謙人でいいけど、何というか…異世界人?」

「ケントさんですね、私は縮めてファルと呼んでください。よろしくお願いしま………異世界人ですか?」


少々処理に時間がかかったらしい。まあ、目の前の男が突然『異世界人で~す』なんて大真面目に言ったら、普通固まるわな。
うーん、何があるか分からないし真竜情報は伏せておこうかな。


「まあ、言ってて何だが信じられる?」

「えっと…簡単に確かめられる方法があるので試してもいいですか?一つやっていただきたいのですが」

「何すればいい?」

「手を出して、ネームプレートって言ってください」


そのまんまだな。


「えっと…ネームプレート?」


俺が右手を出して言ったとたん、きらきらと光が手の平に集まり、小さな金属板を作り出した。


「おお、魔法っぽい!」

「はい、この世界にいる人ならみんな使える魔法です。身分証明になりますし、犯罪歴や生まれたところも表示されるので。この魔法は絶対に偽造できない魔法の一つなんです」

「へえ~……すごいなぁ」


簡単にできる戸籍だなあ。
俺はどういう表示になっているかというと…。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

辰野 謙人 (17)

パーティ
無所属

出生地
不明
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


これだけなのか?と拍子抜けがしたが、まあ、5×3センチくらいのサイズにはこれぐらいだろう。
俺がプレートをファルに渡すと、申し訳無さそうにファルが言った。


「異世界人であっても、悪魔族なら何もしないわけにはいかないのです。疑っているみたいでごめんなさい」

「あー、悪魔族も異世界人なんだっけ。でも、それだけでどうやって見分けるんだ?ほとんど情報無いのに」


不思議だったので俺は聞いてみたが、ファルはプレートを布団の上に置き、申し訳無さそうな顔で言った。


「騙しているみたいでごめんなさい。…オープン」


ファルがそう呟いた途端。
俺のネームプレートがまばゆく光り、A4サイズくらいまで大きくなった。


「ちょっ…え?」



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

辰野 謙人(17)

パーティ
無所属

出生地
不明(異世界)

種族
真竜

父親
不明(死亡)

母親
シャルナ
(辰野 蒼子)
真竜の長(死亡)

住所
なし

職業
無職
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


個人情報がっ!!
っていうか伏せときたかった真竜情報までっ!!


「ちょっおい、ファル!騙したみたいってこれかい!」


俺は少しびっくりしてファルに言った。不審者なんだから、こんな感じに身分審査は来ると思ってたので怒りはしないけど…。
まあ、親のところまでオープンになるとはね…って、だからオープンか。

ところがファルから反応が返ってこない。不審に思って見てみると、ファルの顔色が真っ青になっている。


「…あ……し、しん、真竜?」

「…おーい?」


俺が固まっているファルの目の前に手を伸ばした瞬間。

パフンッと可愛らしい音を立ててファルが猫になり、毛布の中に潜り込んだ。


「…えっと…」


手を伸ばそうとしても、がたがた震えている所に触ったら逃げられるだろうなと思う。
大抵竜って神聖とか邪悪とか、何か畏怖の対象になるし。


「こうなりそうだったから言いたくなかったんだよなぁ…」


俺は大きなため息をつく羽目になった。
『シャルナ』は母親のこっちの世界での名前です。
『辰野蒼子』は母親の地球での名前です。
父親はこっちの世界に来たことがないので情報がなく、不明になっています。

現在、こちらの作品を連載中です。

妹の代わりに俺は魔王になった。


http://ncode.syosetu.com/n4562cu/


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