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母親の実家は異世界でした!! 作者:歩夢りんご

第02章 こんにちは異世界

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第10話

二章です
「これ、どうしようか…」


この世界に来て、数分後。俺の実家帰りは山に数十メートル突き刺さって始まった。
完全に体は埋まっていて、体の動かすスペースもない。吹き飛ばして出ようとしても、魔力とやらが尽きているらしく力が前の世界並みにしか出ないのだ。


「寝てたら魔力って戻るのか…?」


現実逃避気味に俺は呟く。周りはきらきら銀色に輝く石の層である。何かの鉱脈に突っ込んだらしい。


はあ…。
誰か気付いてくんないかなぁ…。



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



暗闇の中にいた時間はかなり短かったが、その中で頭に知識が突っ込まれる感覚があった。どうやら現地の言葉データらしい。意外と気の利く祖父さんに感心した。うん、やはり見直しておかねば。

そして、そのすぐ後に前に光が見える。
さあ、とうとう異世界だ!と気合いを入れて光の中に飛び込んだ瞬間だった。




目が光になれると、下には雲海が広がっていた。



どうやら、俺は高さにして数千メートルの上空に飛び出したらしい。
落下まで数十秒という驚異的な高度である。
いくら頑丈でも、この高さから落下したらふつうにミンチになる。


全く気が利いてなかったっ!!
やっばり祖父さんはジジイでいい!


脳内でそんなことを考えていてもフリーフォールは続行中である。
あっさり雲の層を突き抜け、もう地面が見えてきているのだ。ありがたいことに落下地点は海ではなかったが、どうやら山の頂上あたりに突き刺さるらしい。
取りあえず体に力を込めて衝撃に備えようとするが、そこでふと俺は気がついた。

体を何か力みたいなのが巡っているのだ。恐らくこれが『真竜』の魔力なのだろう。
取りあえず力加減も分からないし、力を全身の細胞に染み渡らせる。
イメージは『硬』、形は紡錘形。
最も衝撃が少ないであろう形を取って、俺はその山の頂上に轟音をたてて突っ込んだ、というわけである。

その結果、数十メートル掘り下げて何とか止まったもののそこで魔力が尽きて、この状況なのだ。


里帰り早々、ひどい目に遭っている。当分は祖父さんはジジイだな。


さて、ロッククライミングをするにはこのフリーフォールのせいで少し心許ない。しかも魔力を使いすぎたせいか、渡辺を治療したときよりも疲れを感じているし、眠くなってきている。


「とりあえず、うたた寝をしますか」


そう呟くと、俺は眠気に身を任せた。



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



頬に触れる感触に俺はふと目が覚める。横に目をやると、綺麗な銀色をした子猫が俺のことを舐めていた。どうやら気にしていてくれたらしい。


「に~」

「お、起こしてくれたのか。どうもだな」


あまり栄養状態が良くないのか、毛並みがあまり良くない。せっかく綺麗な銀なのだから、しっかり食わせてやれよ飼い主、と思う。


「いい色してるのに、勿体ないなあ」

「ふにっ!?」


びっくりしたように見つめる猫に、俺は苦笑しながら聞いた。


「おい、お前ここまでどうやって来た?」

「に~」


猫は上を見上げた。間違いなく、あの穴の入り口から入ってきたのだろう。


「…降りてきたのか」

「に~!」


自信満々に鳴く猫だったが、最も気になることをひとつ聞いてみる。


「…お前、この高さ登れるのか?」


すると、猫は耳と尻尾をふにゃっとさせて情けなさそうに鳴いた。


「…に~」


…登れないらしい。
どういうつもりで降りてきたのか分からないが、人の言葉も少し分かるみたいだし、飼い主がいなかったら俺が飼いたいくらいだ。


「…まあ、いい。俺が上まで運ぶよ、魔力も戻ってきてるし」


話していて気がついたが、もう魔力は半快はしていた。これだけ魔力があったら、多分上までひとっ飛びで行けるだろう。
俺は子猫を手に抱えると、周りを魔力で覆う。そのとたん、猫が毛を逆立てて暴れ始めた。


「にーっ!!」

「っ、大人しくしろ!上までひとっ飛びで行くから!」

「にーっ!!」


猫は大暴れに暴れて引っかいてくる。これはさっさと逃がしてやった方がいいだろうと、俺は足にも魔力を込め始めた。
それを察したのかますます暴れ始める猫をしっかり抱えて、俺は一言言った。


「ジャンプ!」


足の裏からその魔力を噴出させ、俺は跳躍する。
ある程度手加減をしたので、跳んだ高さもちょうど穴の分の数十メートル位である。


あっさり穴を飛び越えてしっかり着地してから、手の中の猫を解放してやる。


「ふしゃーっ!!」

「すまんな、無理矢理やって。でもまあ、上に上がれたんだから良いことにしてくれ。」


毛を逆立てて怒っているような猫にそう言うと、俺は背を向けた。


「あ、でもお前の首輪似合わなさすぎるぞ。何か似合うもの買い直してもらえよ」


最後にそう言うと、俺はそこから走り出した。まずすべきは俺の力の確認である。自分としては軽く魔力を出したつもりだったが、それでこれだけ猫が怯えてしまうのである。取りあえず自分の力を確認して、周囲に影響を及ぼさないようにしなければいけない。
そんな中にこの猫が近くにいたら絶対に巻き込んでしまうだろう。そう思ったのであの可愛らしい猫から離れたのだ。さっき辺りを見回すと東の方に広い草原があったし、そこでなら何を試しても大丈夫そうだ。



なお猫と別れたところから草原まで20キロほどあったが、軽く走って10分そこそこで到着した。
地球と比べて俺の身体能力はかなり向上しているらしい。地球で20キロ走ろうとしたらその三倍はかかっていたからなぁ。




◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



私は、どうしたらいいのでしょうか。
獣人族の村で生まれ、そのまま育っていけたらよかったのに…。突然私の髪や毛が茶色から銀色になったのは、今から2年前のことでした。
両親からファルシアと名付けられ、すくすくと育って一人で川の魚も取れるようになっていたころだったのに。
村は突然色の変わった私を嫌い、村の決議で私を奴隷として売ることに決めました。母親は反対しましたが誰も聞いてくれませんでした。友達だと思っていた子たちは、目も合わせてくれなくなりました。

もう誰も信じない。

そう心に決めて私は奴隷商人に売られましたが、それを買い取ったのは投げ組という盗賊でした。そこには奴隷が三人いて、彼女たちはみんな獣人でした。
荷物を運ばせるのに楽だったからのようです。投げ組は人間だったので、夜の奉仕のようなことはする必要がありませんでした。異種族同士だと性的欲求がほとんど生まれないそうです。だから異種族カップルはかなりレアだとか。村からほとんど出たことのなかった私に、先輩の奴隷の皆さんが教えてくれました。

彼らの奴隷になって二日後、先輩の奴隷の一人が投げナイフの的になって殺されました。事情を聴いて、私は恐怖より先に安堵を感じました。
最後には必ず殺してくれるのです。もう人を信じるつもりもなかった私としては、必ず殺してくれるというこの職場に少し安心しました。


そして、今朝。
なぜか朝から酒盛りを始めた彼らのために、山にある酒の泉から酒をくんだ帰り道にそれを見つけました。

直径1メートルほどの穴。そして、その奥からは生きている人間の匂いがしました。 人サイズのときに持っていた荷物は変化したあとには影響がないので、重い酒瓶を運ぶために猫になっていた私は、その匂いにいち早く気付いたのです。この世界で一度もかいだことのない匂いでした。

猫の姿の私なら、このくらいの高さからなら落ちても怪我はしない。
そう分かっていたので躊躇なく飛び込みました。興味本位で飛び込んだ分、高さの把握が甘かったのでしょうか。思いのほか穴は深く、少しびっくりしました。

そして、穴の底では一人の少年がうたた寝ていました。匂いのもとは、見たことのないその服だったようです。彼の着ている服は私の見たことがない素材と形をしていました。
私はとりあえず彼の頬をなめ、起こして帰るように伝えようとしました。
残念ながら、私ひとりでは帰れなかったのです。

帰るとき、彼が魔力で私を覆ったことに驚きました。猫になっているときは感度が高いため、魔力の変化には敏感なのです。大暴れに暴れましたが、彼は私を魔力で覆っただけで一切の干渉をしませんでした。そのおかげで、魔力にこもっていたまっすぐな心持ちだけが私に伝わってきました。

だからと言って怖いものは怖いのですが。今まで会った中でいちばん魔力量も多かったですし。

穴を出てからも私は彼を威嚇したままでした。すると、彼は私に背を向けて奴隷の首輪は似合っていないと言ったのです。
私は彼のようなまっすぐな人に買ってもらえていたら、もう少し生きることに前向きになれたかな、と思うのでした。

そして、投げ組のアジトで私は夕方に殺されると聞きました。何かの儀式の生贄にするそうです。
やっとそのときが来た、というだけであまり怖くはありません。しかし話を聞いていると『悪魔の降臨』と言っていました。そんなこと、本当にできるのでしょうか?

更新速度を戻せるよう頑張ります!

4/28 微修正

現在、こちらの作品を連載中です。

妹の代わりに俺は魔王になった。


http://ncode.syosetu.com/n4562cu/


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