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怪異妙奇譚伝 作者:Kt

壹譚目

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「は?」

 「寿命吸われてたの」ただ俺が聞こえてなかっただけだと思ったのか、少し強めに大声で同じことを言われた。

「そのー……寿命を吸うっていうのはどういう?」

 少年はポケットからクシャクシャになった銀紙を取り出す。

「アイツは人間の寿命を食って生きてんの。ラーメン吸うみたいにチュルチュルっとな」

 「お前もアイツに掴まれた時、やられたろ?」銀紙にガムを吐き出しながら少年に言われた時、俺はそういえばと思い出すと同時に吸われてたのは寿命だったのかと怖くなった。

 ってことは——「この方もあの怪物に寿命を吸われたってことですか?」

 白骨化した女性を目で示しながら訊ねると、青年が「もう少し早ければ助けられたんですが……」と悔しそうに返してきた。

「アイツに吸われた奴は老けていくんだわ。で、吸われに吸われた結果、老けを通り越して、こうやって白骨化しちまう。まさに、骨の髄までしゃぶり尽くされちまったってわけよ」

 少年は新たなガムをくわえた。

 結論。即白骨の犯人は寿命を吸う怪物でした——
 こんなの、小説とかだったら広げるだけ広げておいた大風呂敷を畳まずに終わった推理小説みたいだ。
 だけど、今回はそれが正解。というかそもそも、小説じゃなくて現実だ。

 ん? 待てよ……

「吸われたら老けるって……もしかして俺も?」

「まあその辺は、ぜひ自分の目で確かめてみろ」

 俺は慌ててケータイの画面を開き、インカメラを使い、自分の顔を写した。

 何も言葉が出なかった。ただ、自然と口が開いているだけ。要は、絶句。

「開いた口が、何とやらってか」

「イチ、空気を読みなさい」

「へいへ〜い」

 そんな2人の漫才のような掛け合いは一応耳には入っていたものの、ちゃんとは頭に入ってこなかった。

 俺の髪は白髪オンリーで顔はシワだらけ。まだ30代なのに、見た目は完全に70代、いや80代かも。
 そう思ったからこそ気づいたのかもしれないが、よく見ると手も皺くちゃだ。撮影してる時は気づかなかったけど、その時もずっとこの見た目だったっていうことか?
 腕まくりをする。腕も同様だ。服をまくる。胴もそう。ズボンを捲り上げる。足もだ。

「そんな……」
 顔に手を当てながら心の声が口からこぼれた。

「心配すんな。5日以内にアイツを倒せば元に戻るから」

「本当ですかっ!?」

 青年の希望ある言葉に俺は食いつく。

「……でも裏を返せば5日過ぎたら元には戻らないってことですよね」

 「違う違う」少年は手を顔の前で振ってから、続ける。

「元に戻らないどころか、お前死ぬ(・・)よ」

「……今なんて?」

 俺は自分の耳を疑った。

「だから、5日後に死ぬんだよ」

「……なんで?」

 今度は少年を疑った。

「寿命で」

「……誰が?」

 訳が分からなくなった。

「ったく——お前がっ! 死ぬのっ!!」

 怒りのような、面倒くささのような感情が混じった強めの一言で、俺は冷静になった。

 「……えぇっ!?」そして、叫んだ。まさかの余命宣告に対し、叫んだ。当然、人生でぶっちぎりのダントツナンバーワンの音量である。

「いちいち、リアクションがうっせーよ」
 片目を軽く閉じ、耳に小指を入れ、掻き出す動作をしている少年。

「いや……そんな……えっ!?」

 普通は初対面の相手に死ぬと言われて信じるようなことはないが、あんなのと戦ってた人がそう言うんだから、否応が無しに信じざるをえない。

 「ど、どうすれば……」藁にもすがる思いで、俺は問うた。

「だから言ってんだろ? お前が死ぬ前に、アイツを倒しゃいい。
 簡単だろ?」

 ……いや、全然簡単じゃない。
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