C子の立ち位置
私こと真緒子、修介、直哉は幼稚園からずっと一緒の幼なじみだ。
男2人に女1人、周囲に変に勘繰られ、一部の女子グループからは
「姫きどりw」
なんて陰口たたかれてる、現在高校二年生。ちなみに全員容姿は並。
皆結構好き勝手言ってくれちゃってて、
「本当はどっちか好きだったんじゃないの?」
なーんて、興味津々にきかれたし。
でもさー、結局さー、男2人に女1人なんてほとんどハブだよ?ハブ。男女一緒に遊べたのは小学校低学年まで。高学年になったら興味の種別が変わってくるし、それほど一緒に連るまなくなる。中学の時だって、帰る方向が一緒だからたまに皆で帰ることもあったけど、2人の話題についてけないからぼーっと歩いて、たまに話を振られては、
「そうだねー」
なんて生返事と愛想笑い。それが面倒臭くて、帰る時間をずらしたぐらいだ。基本は私に構って来ないんだけど、たまーに思い出したように私の前に現れてはまったく私が判らない話を2人で盛り上がってしては去っていく。あんた達、何がしたいの?私いらなくない?!っていうモヤモヤ感をいつも残して。
そんなある時、
「これ、あの2人に似てない?」
と、クラスメイトの子が貸してくれた本。
『A君とB君は幼なじみ同士。何をするのも一緒だった2人はC子を同時に好きになってしまった。A君はB君の為に身を引く。しかしB君は2人の友情の為に彼女を諦めるのだった。2人の友情に乾杯☆』
という、C子全く関係ねぇ!な行き過ぎた友情物語。むしろC子は友情を引き立たせるためのエッセンスです!的な。
これだー!
私の立ち位置C子だー!
ズドンと来たね。あの読んだ時の爽快感。いや、爽快感というより、奴らと一緒にいた時のモヤモヤが晴れた感?がハンパなかった。
貸してくれた子に、次の日感想と盛大な感謝を伝えたら、
「でしょ?私もなんかあなた達3人を見てると微妙なモヤモヤ感があって。それが晴れたのが、これだったのよね。」
と言ってくれて。見てる人は見てくれてるもんなんだなーって思ってちょっとジーンとした。
それからいろんな本を貸し借りしたり、男2人女1人で恋愛に走る奴と友情に走る奴の違いを考察したりしているうちに、感性が似通っていることがわかって、今じゃ一番の友達。
ちなみに恋愛に走る奴は好きな子がかぶった場合、牽制のためにバラすor調整のためにバラす。
(例:「○△好きなんだけど」「えっ」)
友情に走る奴は好きな子がかぶった場合、女にはイミフな男同士の連帯感のためにバラす。
(例:「○△好きなんだー」「俺もー!一緒じゃーん!」)
以上私達考察。
その後、彼女の紹介で彼氏ができたり、うっかり幼なじみな2人のことを忘れ去って、リア充ライフを楽しんでいた。
たまーに彼女に
「次に2人が来るときは一緒に告白かもねw」
と茶化され、
「ないない。今、私彼氏いるし。そこまでバカじゃないでしょ、あの2人もー」なんて否定していたけど。とうとうその日はやって来た。
放課後、2人が現れて、
「一緒に帰ろうよ」
って言いに来たとき、
誰だっけ?こいつら?!
と内心焦って固まったくらい、幼なじみ2人のことを私は忘れ去っていた。
「付き合ってくれ」
来ちゃったか〜。
帰り道の途中、緊張もなくほぼ棒読みで直哉から切り出された。
帰り道の途中、ってロケーションはしょうがないとしても、感情込もってないなー。てか、私、彼氏いますし。
「俺も真緒子が好きだけど、直哉も好きみたいだから。」
何、そのドヤ顔。修介はそれでフォローしたつもりか。てか、私、彼氏いますし。
「俺達のこと一番理解してくれてるの真緒子だし」
俺達のことって行き過ぎた友情のこと?理解してるだろうから友情優先しても笑って許してくれるだろってこと?友情(1人限定)優先な人は恋人としてはちょっと。てか、私、彼氏いますし。
心の中で突っ込みながら黙って聞いてたらお互いのいいとこ誉めあい合戦がはじまった。どっちかが女だったらバカップルだな。
そうか。これが生BLか。
やだー、また一つ賢くなっちゃった♪
って、そんな知識いらんわ!
2人の誉めあい合戦をBGMに、1人ノリ突っ込みしてたら目的の駅についた。
「じゃあね、2人共」
「えっ」
「一年前引っ越して、この駅から電車で帰るの。知らなかった?知らないはずないんだけどね、ご近所さんだから引っ越しの挨拶に行ったし。たぶん、ふーん、で流してそのまま忘れ去っていたんだろうけど。そんな興味ない女によく抜け抜けと告白なんかできたね。っつーか、私、彼氏いますし。お断りします」
にっこりと笑顔で言い切った私は、せっかく俺が身を引いてやったのにとかなんとか騒いでる修介を尻目にさっさと改札を通過した。
C子は身を引くので、心おきなく、行き過ぎた友情を育んでください☆