第2話:出会いの話1
京さんと会ったのは、確か僕の両親が2人とも外出していた夜だった。
父さんも母さんも、昔から家にいないことが多かった。
たぶん、子供には必要最低限の物さえ与えておけばいいと思っているんじゃないかと思う。
僕も今の生活には慣れていたし、淋しいという感情よりも親から何の干渉も受けないことが楽だった。
その日、両親が何をしに行ったのかは忘れたけど、僕は学校から帰って夕飯を食べて自分の部屋に籠もることにした。
最初に気付いたのは部屋の中に入った瞬間だった。
何か雰囲気というか、空気というかがいつもと違うように感じたのだ。
でも、気のせいだと思ったんだ。
自分の家の中で、何かが起こるなんて普通は考えない。
僕も家の中に、僕しかいないはずの場所に他の誰かがいるだなんて夢にも思わなかった。
だけど、するはずのない物音が僕にそのことを教えたんだ。
ガタンッ。
何かが動いた音に、それまでベットの上で漫画を読んでいた僕は飛び上がって驚いた。
慌てて振り向いても、部屋の中に変化は見られなかった。
でも、それまで漠然と感じていた違和感が強まって僕を不安にした。
「何…?」
呟いても、答える人はいない。
空耳だ、と割り切ることはできたけど僕はそうしなかった。
何かしなければ、不安で押し潰されてしまうような気がしたから。
音が聞こえたのは背後。
そこにあるのは本棚とクローゼットだけで、隠れられるのはクローゼットだけ。
怖かったけど、確かめずにはいられなかった。
――どうか、何もいませんように。
そう祈りながら僕は把手に手を掛けた。 |