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ちょっと無理やり書いている感じになっているので、余裕が出るまで少し休筆させていただきます。待たせてしまいすいませんでしたm(_ _)m
嫉視少女-6
 神楽の発言に

「え?ちょ?何、何ですか?別れる?は、えっ?って事は……ええええ?!で、でもっ!?…っは、まさかっ?!」

 妹が壊れた。

 青褪めた彼女の頭上には疑問符が飛び交っていて、ほとんど意味を成していない言葉が口からぽろぽろと零れ出している。完全にエラー状態。
 頭脳明晰、冷静沈着で焦る場面などほとんど無いはずの彼女のこんな姿は、俺でさえ見たことが無い。
 例えるならクジラのバック転並みにあり得ない光景。
 そんな彼女の姿に俺はおろか、頭を下げていた神楽までぽかんと口を開けて彼女を見ていた。

「お、おい弥生。どうした…」
「え、は?兄さん?ワタシは落ち着いていますよ、はい。た、ただですね、ちょっと予想外というか……うあああぁぁ?!」

 だめだ、声が裏返ってる。

「弥生、落ち着いて……」
「そうだね志紀ちゃん。はい、落ち着きましょう。スーハー、スーハー、スー…ゲホゴホッ!」

 妹はこんなキャラじゃないはずだ。

 と、ささやかながらも収まりそうの無い、小規模の嵐が発生し、事態は混乱を極めていた。ともかく妹がこんな状態になったことが今までで一度も無かったので対処法が分からない。
 どうすればいい、ともかく弥生を落ち着かせて―――って、それがどうすればいいのか分からないんだろうが。じゃあ、いや、でも、その――――

「あれ、神楽ちゃん?と……弥生さん……」

 対処法を考えている間に、誰かが廊下から近づいて来て、声を掛けてきた。
 いわずと知れず、女神の一員バカ奈駆木だ。

 マズイ、と思う。
 何しろこの二人、見ていて分かったがかなり仲が悪い。時折手を組んで何かをすることがあるが(しかも、その何かは大概にして成功するのだが)それ以外のときは、奈駆木の言葉に弥生が反論し、弥生が喋れば奈駆木が噛み付くという状態に陥っている。
 あまり妹が人を嫌ったりするのを見ない俺としては対処法が分からず傍観するしかないのだが、何故か紗羅先輩にはその犬猿の仲となっている原因が分かっているのか、上手く宥めることができる。

 紗羅先輩曰く、
「大切なものは目には見えないんだよ、まあこれは擁チン限定だけど~」

 ……ともかく、そんなことは一切関係なく、この状況つまり妹が壊れかけている時に奈駆木という名の起爆剤と出会ったら完全崩壊してしまう可能性がある。
 だが、そこまで考えるまでに時間が掛かりすぎたようで、俺が奴を止めようとしたときには既に弥生に向けて声を発していたのだ。

 奈駆木の声を聞いた弥生は身悶えるような仕草から一転、ぴたりと膠着する。
 そしてはらはらと見守る俺の前で、ゆっくりと奈駆木の方を見る。

「……何ですか、奈駆木先輩。この教室に入るわけでもないのに?」
「何を言ってるの。私は入るわよ」
「へえ……じゃあ、何か用があるんですか?」
「え、用?用って……べ、別に無くてもいいじゃない!」
「何で顔を赤くしているんですか。それにしても、奈駆木先輩は用も無く、当ても無く、ふらつき回る人だったんですね」
「なっ……人を変人みたいにっ……!」

 ……。
 ………?
 …………お?
 妹が元に戻ったぞ?毒舌モードになっているが、奈駆木と話すときはいつもこんな感じだから心配は無いだろう。

 何だこれ、毒をもって毒を制すみたいな感じか?
 ニトログリセリンが心臓病の特効薬になる如くの効果を表したのか?

 疑問が浮かぶものの、取り敢えず妹が直ったのは良かったので、未だ言い合いをしている二人の仲裁に努める。
 といっても、さっきも言ったが俺には二人を止めるための対処法は持っていない、じゃあどうするか?―――――答えは簡単、口で止めれないなら物理的・・・に止めるまでだ。

 両手を振り上げて二人の頭に振り下ろす……ちなみに片方の腕は空気との干渉を絶ってある。
 ペチッ!ガンッ!

「きゃっ!」「痛っ!」

 頭を抱えて、口を噤んだ二人に俺は満足する。

「よし、一回落ち着け。二人とも」
「私は最初から落ち着いていますよ、兄さん!」
「アンタ、明らかに威力が違うじゃない!痛いわよ!」
 
 ああ、はいはい。と軽く受け流すと、不満そうな顔をしながらもやっと二人は落ち着いた様子を見せる。
 やっと本題に戻れる。えっと……そうだ思い出した。神楽が、俺に奈駆木と分かれて欲しいといったんだ。そこで奈駆木が声を掛けてきたんだったな。

「そういえば、奈駆木。神楽のこと知っているのか?」

 さっき、神楽ちゃんと言っていたのを思い出す。
 だが、何故か奈駆木は妙な顔をした。「何言ってんの、アンタ?」とでも言いたそうな顔だ。

「何言ってんのよ八咫烏。逆に知らないほうがおかしいでしょ?」

 全く心当たりが無いので首をかしげると、《女神》の一員である彼女はますます呆れた顔をした。

「神楽志紀。能力的に一年生トップの女子生徒で、《女神》の一年生メンバーの第一候補よ」

 そういう事か、と納得しかけた俺に、奈駆木は付け加えるようにこう言った。

「ま、もっとも弥生さんが来るまでの話しだけれどね」
「……?どういうことだ、それは」
「アンタの妹さん、能力が時間操作とか言う、聞いた事の無いデタラメな能力でしょ。しかも能力抜きの個人としても人気も高いから、弥生さんのほうが選ばれるんじゃないかって噂がでてるのよ」

 《女神》のメンバーが選ばれる時には生徒の意見も判断基準になるから、と締めくくる。

 頭の中に凍った釘を打ち込まれた気がした。

 ―――弥生さんが来るまで

 その言葉を聞いたとき今までの記憶が蘇ってくる。

「俺と奈駆木……そして神楽。……《女神》の一年生と…弥生……なるほど」
「兄さん?」

 妹が話しかけてくるが、手を挙げて止める。
 後もう少しで纏まる。つまり―――――

「……よし繋がった。ってどうした?」

 思考が終わって顔を上げると、全員がこっちを見ていた。神楽までこっちを見ている……。

「いや、どうしたじゃないわよ。突然黙り込んで」
「ん。ああ済まない、ちょっと考え事をしててな……おい、神楽」
「何ですか……」
「まず一つ言っておく。俺と奈駆木は付き合ってない」
「え?……って、ええええ!?」

 驚きの感情を示すとともに、彼女の眼から敵意が消えたのを見て、自分の考えが正しいことを確信する。

「そしてもう一つ……弥生と勝負しろ」
『は!?』

 今度の声は弥生と奈駆木も含めた三人分だった。 


ちなみに、八咫烏くんは探偵役には向かないキャラなんで……w

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