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あらすじ 俺の魔法一人では使用禁止令が発動した、以上!
第十九話 初めての買い物
 


 「うわ~すげぇ」

 暗い通路をランプ片手に持ったモラセスの後ろについて歩き光喜は感嘆とした声を上げた、山彦となって声がエコーしちゃう。

 「どうだ?王宮の抜け道はなかなか立派だろう?」

 有事の際には避難用に作られた秘密の通路というのを2人は歩く、王宮から城下街まで複雑な通路で繋がれたものだった。今はこの通路は忘れられて使う所か記録すら消えている。

 それを精霊と契約したばかりのモラセスは力を試すために地層を調べたところ、地下水や地下倉庫にはない空間を見つけ探ってみると地下通路をみつけたのだ。

 地下通路は侵略された際に逆に使われたり、避難中に追っ手から逃れるために複雑につくられているが、土の精霊ルヴュールが道案内をしてくれた。

 フンフン鼻を鳴らしながらプリプリ尻尾を振り歩く姿は一種の凶悪な兵器にもなりうる、スライディングで飛びつきたくなる可愛らしさ。

 けしからん!俺にモフモフさせろ!ちょっとカラクのヒポグリフも鷲の部分をワシワシ撫でてやりたい。俺の秘めた野望。

 ランプ一つで頼りない光で進み通路の突き当たった、大きな石の扉がありモラセスが手をかざすと石の扉が動き、人が通れるだけのスペースを作ると二人と一匹は勿論立ち止まる必要もないので通る。全員が通ると自然に静かに扉がしまる。

 数十分ぶりの太陽の光は少し目に辛かったが、すぐに慣れ扉は地下の水路の際に作られてあり暫く歩けば人の少ない街の端にでる。

 街の中心部に向かうにつれて人の数が多くなっていく。人々も明るく買い物を楽しんだり学校の登校なのか、若い人々が同じ方向へ向かって歩いてそこは自分と同じ世界と共通だった。

 親子連れに商売に露店や店を出している商人や観光客とみえる旅人。

 見覚えのある動物に見たこともないデカイ獣。

 こうRPGの世界に入り込んだ光景にグッと光喜は興奮する。だって剣とか盾とか普通に売ってるんだもん!!

 わけの分からない果物とかずっげー楽しい!!

 さて小柄で可愛らしく笑顔を見せている少女と逞しい体の長身と端整な顔をした男性が2人で街を歩けば、「あら、恋人どうしかしら?」なんて噂や視線を感じませんか?

 この2人にいたっては感じません。

 「さっき何処へ連れて行こうとした!!」
 「ちょっと大人の社交場だろうが」
 「裏通りの怪しい店じゃねーか!」 
 「そりゃ、その店だからだ。露骨な色気のある女もいいぞ?」
 「馬鹿!破廉恥!死ねホスト!!」
 「前から聞きたかったが、ホストって何だ?」

 仲の良い友達かもしくは兄妹にも見える。

 いや、それ以外見えない、二人の間に甘酸っぱい恋の匂いは微塵もしない。

 2人はギャーギャーいいながら人混みの多い街の通りを通っていた。

 ターバンを巻きオールバックにしたモラセスはずっと雄の匂いをかもし出すワイルド系のファッション、光喜は一目で女神と証明してしまう純白の髪はスッポリと髪を隠してしまう大きな帽子をつけて誤魔化した。

 元気な光喜はモラセスの戯れにカッとなり暴れるが帽子は絶対にとらないと言いつけられ、ちゃんと守っている。

 一応女神は王侯貴族のみにノア・レザンに召喚されたと伝えられて、一般の人には女神が召喚された事実は知らない。

 それを行き成り女神の象徴である純白の髪を持つ女が現われたら、どうなるなんて想像は簡単に出来る。

 人々がいろんな思いを持って光喜に殺到するだろう。

 それらを一々対処するのはモラセスとしてはとっっっっても面倒。できればもう少し自国の女神に対する対策が取れてからにしたい。

 彼女を女神だと崇めるだけではないのだ、だから信用できる人材を集めなければならない。

 「ん?どうしたモラセス?」

 シリアス顔になったモラセスに光喜は振り返り、彼を見つめた。

 「なんでもない」

 一言だけ言うと笑い、光喜の髪を帽子ごとワシワシと撫でた。
 
 
 
 街の中心部には大きな聖堂がある女神に祈る場所だ。

 そして各国が競って女神崇拝の偶像や美を競って聖堂などを造るので一種の観光名所にもなっていた、そこにはたくさんの人が集まる、そしてそんな人を相手に片手で食べられる店も多かった。

 朝ごはんを食べてない光喜にとって初めての街に興奮すればするほどエネルギーを消費、ぐるるるるとお腹の音を鳴らしてしまった。

 「腹減ったな」

 自分の腹を撫でながら呟く。

 「俺が言うのもなんだが…お前は恥じらいがないのか?」
 「ない」
 「あっそうかい」

 当然だ、と聞こえそうなほどに平然に答えた光喜にモラセスは苦笑いを溢した。

 「そこの屋台に売ってあるのにするか、ノア・レザンの金は見たことはあるか?」
 「うんにゃ…知らない、腕輪に金が収納されていうるはずだったんだけど出してないよ」
 「ではお勉強といきますか」

 モラセスはコンパクトな皮袋を懐から取り出して光喜に見せてやる。

 袋に手を入れ中身を光喜の手のひらに乗せた。

 手のひらにはマッチ棒の大きさの金属が四種類あった。

 長さは四種類同じだが、マッチの棒のように先だけ少しだけ大きな丸みがあって、白、金、銀、銅の色をしていた。

 「白、金、銀、銅と四種類ある、白が一番高くて日常生活には使う場面はない、銅の1000本分だからな、次に金は銅の100本分、銀は50本だ銅は1本で1パフと呼ぶ。単価の基本になっているぞ、分かるな?」
 「こっちはパフっていうのか…俺の世界では「円」だったけど、じゃぁ…あれどれくらい何パフで買えるの?」

 店に並んでいるちょっと高級そうな果物を指差した、地球で言うところのスイカやメロンの位置づけでお願いします。

 日ごろは食べないが、たまに買う値段だと光喜は思う。

 「あれは11パフだ、大抵の単価は国同士で決めているから何処でも、この果物は15パフ前後だろう。骨董や美術品など価値観によって値段を左右されるものはまだ手を出すなよ?賢者の金があるといえど、お前ならいいカモにしかならんぞ」
 「分かっているって」

 頷いて手の平のパフを見る。とても軽い、確かに銀の50パフが在っても何十本もマッチ棒みたいな金を携帯するには数が多くなるので日本の小銭の重さになると持って歩くだけでも大変だ。

 あと余談だけどパフには機密性の高い魔力が含まれていて偽造をしようとすると魔力が隠されて作られているので道具さえあればすぐに本物か偽物か見分けがつくらしい。

 モラセスは一つの屋台に近づいた、数本のパフを取り出し光喜と自分の分の食い物を持って光喜の元へ戻った。

 「ほれ、まずは腹ごしらえだ」

 渡されたのはもっちりとして、蒸したての肉まんの皮みたいにふんわりとした蒸しパンに肉汁たっぷりの豚に生野菜を挟んだ角煮のホットドック。

 それが嬉しいほどデッカイ、ホクホク顔で光喜は端っこからかぶりつく。じゃわ~っと肉汁がかんだ瞬間広がって…それがまたパンにも肉の噛んだ所から肉汁が流れ吸われパンも美味いこと。

 中に挟んである生野菜と時々ピリッとくる唐辛子の様な香辛料が甘い肉汁にアクセントになって食が進む。

 「美味い美味い!」

 幸せそうにほうばる光喜に思わすモラセスは呆れた顔をした。

 「お前そんなに喜ぶな、一応王宮の料理人は一流ばかり揃えているつもりだぞ」

 宴のときよりも食欲多めで美味そうに食べる光喜は「あれも美味かった」と返した。

 まあ、一度地球に帰りノア・レザンに暫くいても大丈夫だと余裕もあって食はすすんだのだ。あの時は一刻も早く帰りたくて美味かったけどそれ以上ではなかったから。

 行儀悪く2人で食べながら歩いていると。

 人通りが一際多い場所には女性の純白の石造が晴天を抱きしめようと両手を広げて建っていた。

 「ほれ、お前だ」

 モラセスは愉快な笑みで指をさす、ちょっと指先についた汁を舐めて光喜は見上げた。

 街の人や商人、旅人が手を合わせて拝むのは大きな女神像、どっかの国でキリストの像に祈りを捧げるみたいに足元へ花とか参拝して。

 やめちぇくれ~俺はあんな立派な人じゃないぞ~。

 ああ、エグゥテの町ではそんなに実感はなかったんだけど、こうやって信仰として崇められちゃったりすると実感するな、俺が神様としてノア・レザンの位置づけなのが。

 なんて複雑な心境にいると女神像を睨む一人の青年、外見は18くらいの青年が立っていた。聖堂の壁と柱の影に隠れ気がつけば異様な視線で女神像を淀んだ色で睨んでいた。

 何となくその青年を見つめていると青年が軽く手を掲げると、青年の手から雷が走り、一瞬の光の後に物が砕ける音。

 周囲の悲鳴に慌てて逃げる足音、そして砕けた女神の顔の部分。

 「きゃーーーーー!!」

 女性の声を聞き、女神を拝んでいた人以外にも人が何事かと意識を向けた、逃げる人に確かめに来る人。聖堂は縦横無尽な人の流れになって混乱している。

 その隙に雷を出した青年は人ごみを利用して柱の影から何食わぬ顔で移動した。

 「アイツがやったぞ!!とっ捕まえてやる!!」
 「おい!馬鹿か!?待て!!」

 青年を追って走り出した光喜に切羽詰った声で止めるが光喜は人ごみにまみれて見えなくなってしまった。

 (クソ!このままではカラクのアホに殺される!!)

 舌打ちをすると背の低い光喜はもう視界から消えていて、モラセスは応援を呼ぶために走り出した。
 
***

 息を切らして青年の後を追う、光喜。青年はちらりと後ろへ一瞬みるがそのまま裏路地へ逃げ込んだ。

 裏路地は狭く人一人が通れる程度、しかも無数に道が分かれていて青年が角を曲がるたびに一、二秒青年の足音を聞きつけなければならないタイムロスでますます距離が開く。

 「埒が明かない!爺ちゃん!!」

 自分の足元に向かって叫ぶ、実際は自分の影にいるわけではないが下から声が響くからこっちがシックリ来る。

 ≪なんじゃわい?ワシまだ眠たいわい≫

 寝ていたのだろう、テンションの低い声でグリエが答えた。

 「ごめん、でも爺ちゃん手を貸して欲しい」

 自分の腕輪の宝石を弄ると立体地図を出す、画面をズームにすると光喜を中心に裏路地の地図でアップしたら青年が行ったであろう道を指差して、青年を捕まえるためには先手を打って先導してくれるグリエの力が必要だ。

 ≪お爺ちゃんはなぁ?お前さんがお爺ちゃんを通して魔法を使うならともかく、お爺ちゃん自身の体が召喚されてない常態でお爺ちゃんの力を外に出すのはしんどいんじゃわい≫
 「分かっているけど爺ちゃんしか頼めないんだよ!俺がやったらきっと大災害になっちゃう!」

 手を合わせて爺ちゃんに懇願してみた、光喜の妙な正義感もここまでくると厄介だが。

 ≪今回だけにして欲しいわい、どれ。よっこいしょういち!≫

 この爺ちゃんもそうとうの孫(?)バカである。


 
 「まいたか…」

 日の光がさしにくい裏路地は自分の庭のみたいに馴染みがある、いかにも温室育ちだろう肌の綺麗な少女にはここまでついて来れないはずだ。

 青年は後ろを振り返り、荒れた息を整えようと壁に手をついて体の力を抜いた。

 すると周囲から熱気が溢れる。

 明らかに異常な熱気に壁や足元が熱を持ち、じっと立っているのが辛いほど熱くなった。

 このままじっとしているのはマズイと判断して、その場所から離れまた走り出した。

 「なんだ?魔法か?でも魔術師はないはず…それにここに魔法具を設置した情報は聞いてない」

 角を曲がろうとするとまた熱気、多くの曲がり角の中からどれか一つをだけ熱気のない曲がりがあるので其れを探して進むしかない。

 誘導されているのはとっくに気づいていた、だが青年は風の精霊しかもってない。雷は風の精霊から出した魔法だ。

 空へとべるのはよっぽど上級の魔術師か魔獣に乗る以外空へは行けない、自分はそこまで魔法を極めていなかった。

 だから多少の火傷覚悟で熱気が溢れる道を走ってみても、何処までも続く熱に根を上げて結局、熱のない通路を探して走る。

 「いざとなったら」

 懐に隠していた短剣を触れて存在を確かめた、これでカタをつけてやる。相手だろうが自分だろうが!

 走りついた先が突き当たりの壁に阻まれた行き止まりだった。

 懐から短剣をだそうとした瞬間。

 「捕まえたぞ!!この騒動野郎!!」

 頭上から女の子の声が降ってきた。
実は名前を考えるのが苦手です。
お金の単価はめちゃくちゃなんで深く追求してはいけません、してくださるならいくら位になるか教えてください。
メロンが11パフくらいなので白や金なんていくらだろうなんて考えると面倒…で……すいません(笑)


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