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最終話です。
St.ベイべー20
光の中私はユリウスの腕を抜け出して思わず走り出した。

「未来ちゃん!」

「?ゆきちゃん…。」

ビックリして未来ちゃんが私を見る。

「私、未来ちゃんが居てくれたから頑張ってこれたの!感謝してる。未来ちゃんが私のこと忘れても未来ちゃんは私の親友だから!…大好きだから!」

未来ちゃんの手に小さな石のついたペンダントを握らせた。幸運を呼び寄せる友情の印といわれる魔界のピンクの石がついている。どうか、幸せに。今まで守ってくれてありがとう。

大きな光が押し寄せてきて、私はユリウスに腕を引かれて会場から離れた。

目からは涙、鼻からは鼻水が滝のように流れている私をユリウスが抱きしめてくれる。
控え室に置いていた私の鞄には見慣れない小さな包みが入っていた。


ゆきちゃんへ
幸せ体質になれるように。友情石なんだよ~
未来より


カードにはそう書かれていて中身はターコイズがついているペンダントだった。
考えてること同じじゃないですか。デザインまでハートで同じだし。

どんどん流れてくる涙はすぐには止まりそうも無かった。

ごめんね。泣くのは今日だけだから…。

「ユキ。記憶は消えるが、感情は残る。きっと未来がお前を想う気持ちも心のどこかに残るだろう。」

うん。だから誘拐犯には「恐怖」を残すために達磨落ししたんだよね…イモムーが言ってた。
って、私には関係ないじゃん。絶対わざとだ…。

「さあ、魔界に行こう。」

「うん。」

ユリウスの肩の向こうで涙ぐんでる良子ちゃんが見える。あれ?なんでクレオパパが肩なんか抱いちゃってるのさ…。





ま、いいけど。


~~~~~


魔界に着いて、ひとまず休憩…のはずが…。


えっと。


「ユリウス?」


「なんだ?」


「なんで、私は脱がされてるの?」


そう、魔界に帰る=ユリウスの寝室のベットの上っておかしくない?そう考えているうちに背中のファスナーが下ろされていきます。

「…待てない。」

え!?うそ!

「あ、その!汗かいてるし!」

「じゃあ、一緒に風呂に。」

マジですか!?…マジですよね…。ユリウス冗談言わないし…。

「あ、あの、ち、誓いが!まだです!」

「……。」

不満げにユリウスの動きが止まったので体を起こすとユリウスと向き合った。

「浮気も他に寵姫をおくつもりもない。お前が他の男をその瞳に映せばその男は死ぬだろう。私はお前が思っているより嫉妬深いからな。」

こ、怖いような…うれしいような。

「お、お願いがあります!」

「?」

ガバリと背中のファスナーを開けた間抜けな格好なままユリウスに頭を下げる。

「私、考えたんです。このまま魔界でユリウスの奥さんだけしてていいのかって!」

「……。非常に聞きたくない。嫌な予感がするんだが。」

「魔界の学校に通わせてください!」








しばし沈黙…。恐る恐る頭を上げてユリウスを見ると片手で額を押さえていた…。

「それでコソコソ動いてたのか…。」

き、気付いてた?ハイ!そうなんです。

「ユリウスは獣族と魔法族の関係修復の為に新しく双方を受け入れた教育施設を創るんですよね?」

それもあって忙しいんですよね?

「もしかして…。」

「こないだ合格通知貰いました!」

「…はあ。」

いやぁ、受験勉強、一足先に励みましたよ!お陰で人間界の方はおろそかになってましたが。

「身元引受人はアルダか?もしかしてあの格好で…。」

「もちろん!猫娘だよ!」

「駄目だ!!」

「だって!シャドウさんの嫁として通うんだもん。獣族は結婚早いから既婚者だって多いはずだよ?」

「~~~~~っ。クワガタの力は使えなくなるんだぞ?…まさか、最近サモンが研究してたのは…。」

「ユリウスにはお見通しですね!なんと!イモムーが変身できるようになったのはユニコーンの羽根のお陰だったのです!で、もう片方のブーツは無事でして…。」

モチロン銀髪クンからイモムーが貰ってくれたんだけどね!

「はあ。」

興奮する私の顔を見てユリウスは盛大にため息をつく。

「…あのね。ユリウス。私は良子ちゃんのスイートベイベーだったんですよ。」

「……。」

「いずれできる家族を私も守って行きたいんです。だから、学校に行って、魔界のこと良く知って、友達作ったりしたいんです。」

「お前の母親にお前を譲ってもらう話をしたときに「娘にはやりたいことをやらせてくれ」と言われた。その上で守って欲しいと。」

え?ユリウスが良子ちゃんに?


「……。」


「……。」


もう一度盛大なため息をつくとユリウスは言った。

「ちゃんと既婚者として通うこと。門限を超えたら膝に召還するからな。」

「!ありがとう!ユリウス!大好き!」

抱きつけばまんざらでもないユリウスの顔。
そのまま体が反転される。

「あ!ちょ、ちょっと待って!」

「…まだ何かあるのか!?」

「お腹が空きました!」




…。

がっくりと肩を落としたユリウスは私の顔の横で腕をつきながら数十秒間あさっての方を向き…

「…わかった。」

といって背中のファスナーを上げてくれた。ああ良かった!ランチバイキングを期待して今朝から軽い食事しかとってなかったんですよ!お腹ぺこぺこです!

「ユキは…。」

「ん?」

「お前は私のサプライズベイベーだな。」

ポカンと口をあける私をみてユリウスが笑う。でも、

「ユリウス、私の目標はストロングベイベーなんだよ!」

ふふふ。守られてばかりは嫌ですからね。

「…まあ、それもいいだろう。だが、覚えて居ろよ?私は借りは返してもらう主義だからな。」

ちょっとたくらんだようなその顔も魅力的です。ハイ。




…それから無事に食事は取らせてもらったのですが。

その後は三日三晩寝室から出してもらえなかった。





初めてだったのにあんなにしなくてもいいじゃないですか!

もうちょっと加減してください!!


ああ。


でも


ぶっちゃけ良かったです…何がとは聞かないで頂きたいのですが。


幸せだから、いいですかね?



Love makes me strong



St(strong)ベイベー

~FIN~



さてはてここまで20話にもなってしまいました。
途中、引越しや何だかんだあって更新も滞りましたがなんとか終われました。
これも皆々様のお陰です。
Stを書いている時、いつも「St」ってなんだろう?って思ってくれている人がいないかなぁ~と思って書いていました。色々考えてくださった人が居ればうれしいのですが。

あくまでライトに笑いを!をモットーに書いていましたが楽しんでいただけたでしょうか?もしそうならうれしいです。
Stはゆきちゃんが人間界をお別れする時のお話にしようと立ち上げました。勝手に召しませ的にはちょっと暗い部分が多かったと思います。ここまで読んでいただいた方々に感謝を。わたしの脳内妄想にお付き合いいただいてありがとうございました。最後にメッセージなどいただけたらうれしいです。
それでは。2010.8.13 ちくわ犬
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