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ユリウスの心石

「あんの!バカ珍獣がああああ!!!!」

城中の廊下に響き渡るような怒声があがる。今は短髪の宰相シュウ=レイシアスの声だ。

「静かにしろ、シュウ。」

「…失礼しました、陛下。」

「有翼族は情報通ですからな。おおよそ盗み聞きでもしたのでしょう。」

そう言ってベットの下をかがんで調べていたクレオの視線が戻る。

「ダダの壷と制服を持って行っているのだ、自分で逃げたに他ないだろう!そうでなくても外からの侵入は無理なのだから!」

ああ、いくら叫んでもイライラする。なんてことするんだあのバカ娘は!あの有翼族も有翼族だ!盗み聞きするなら最後まですればいいものを!!

「シュウ、興奮するな。判断をあやまる。」

「ユキは陛下の心石を呑んでるんですよ!これが落ち着いていられますか!もし、ジリル側にこのことがばれたら!!」

「まだ、ばれたわけではない。それに…ユキにはあの有翼族がついている。アレも命がかかっているのだ。そう簡単には死なせんだろう。」

…ああ、あの時反対すれば良かったのだ!陛下の心石を呑むということは陛下の命を預かるに等しい。まさかユキが陛下から離れるとは思わなかったのだ。

「私はサモンに言って人間界への通路をすべて監視する。クレオ、ユキを探すように工作部隊に指示をだせ!極秘で、だ!」

「了解した。」

返事もそこそこにクレオはその場を去っていく


「陛下、ユキは…。」

「私の召喚できる範囲にはいない。この城からのがれられるくらいだ抜かりは無いだろう。
 シュウ、ユキは危険を承知で囮にした私を怒っているだろうな。」

「!まさか。殺されると勘違いした有翼族が連れ出したに違いありません!」

「…では、なぜ私の名を呼ばない。」

「え…。」

「すまない、私のほうが感傷的だな…。策を講じたらお前も、クレオも少し休め。私はこうして生きている。今すぐどうこうする事はないだろう。」

「陛下…。」

陛下は軽く私の肩を叩いて隣の自室へとお戻りになられた。


ユキ…


何をしている…お前は陛下にあんな顔をさせることが出来るのだ。

今まで、誰一人、魔界の花と呼ばれたテレ二アでさえ陛下の心を捉えることは出来なかったのだ。


ユキ…


陛下の名を呼んでくれ。


お前の身体にある心石は…


陛下の心臓なのだぞ…。

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