二日前、右手を怪我しました・・・・・
久々に声にならない叫び声を住宅街の中で出してしまった
第4話
コポコポコポ・・・・・
「紅茶はいかがですかな?」
「あ・・・はい・・・いただきます・・・・・」
今俺はフェンデ家の豪邸の客室にいる
そこで待たされる事になり、ここの執事さんらしい人から紅茶を勧められていた
というか・・・落ち着けません・・・・・
こういう場合はコーヒーが一番良かったんだが生憎この世界にコーヒーはないそうだ
だから普段飲まない紅茶でなんとか精神を抑え込ませていた
「・・・でかい屋敷だな」
そのついでに部屋を見回してみる
この屋敷に来る前にガルディオス家の屋敷も見たが、此方の屋敷の土地坪はそれよりやや小さいと言ってもかなりの広さだった
やはり貴族としての威厳を表すように2000年もの間で少しづつ大きくしていった結果、この屋敷の形となったのだろう
キイィィィ・・・・・
「・・・・・!?」
扉が開いた・・・・・
そこには二人の人間がいた
・・・一人は威厳に満ちたような男性・・・・・恐らくここフェンデ家当主の方だろう
んでもう一人・・・・・て、あの子じゃないか!?
「待たせてすまない・・・暇を余らせてしまったかな?」
「いえ・・・そんなことはありません!むしろ俺・・・いや私みたいな者をこのような所にご招待させていただき感謝しきれません!!」
「ハハハ・・・そう謙遜なさらなくてもいいのだよ?普通に君として何時も通りの口調で話してもらっても構わないさ」
「は・・・はぁ・・・・・」
・・・立派な志を持った人だな・・・・・
そう思えた、きっとこの人は屋敷中の人達に慕われてる気がする
先ほどの執事も穏やかな顔をさせていたな
恐怖等で従わせるような場合ならあんな表情は出来ない筈だしな・・・・・
「詳しい事は私の息子から聞いている・・・改めて礼を言わせてもらおう・・・・・そして、申し訳ない」
「・・・へ?」
「ヴァンデスデルカ・・・お前は無断で一人になり、己の立場を弁えずして剣を振って命を危うくさせ、さらには何の関係もないこの人にまで迷惑をかけた・・・・・何か言う事はあらぬか?」
「・・・・・申し訳ありません、父上、それと・・・」
「ハイルだ・・・ハイル・シュヴェール・・・・・」
「ハイルさん・・・ご迷惑をかけ、さらには助けてもらい誠にありがとうございました・・・・・」
「いや・・・まぁ・・・偶然っちゃあ偶然・・・だからねぇ・・・・・」
厳格な人だ・・・・・
どうやら話を聞くにこの子は屋敷の外を自分の母と護衛達で出かけてたのだが、少し退屈になったらしくて自分でどこか行ってしまったそうだ
そして偶然にもあの現場に遭遇して俺に会ったという事だ
やれやれ、母親も心配しただろうなぁ・・・突如いなくなってたんだからな
この人もそうだ・・・怒りの顔でこの子を今も睨んで向き合っているが内心は知らせを聞いて慌てていただろう
「このように・・・息子も十分に反省してる様子です。どうか許してはもらえないだろうか?」
「大丈夫です・・・俺が手を出したのはこの子と同じように男達がやってた事が気に入らなかっただけですから」
「そういえばハイルさんって誰からあんな武術習ったんですか!?すごかったですよ!!大きな人でも軽々と投げてて・・・・・」
「軽々しく口をはさむなヴァンデスデルカ!!私はまだ許した訳ではないぞ!?」
「・・・・・はぁい」
いきなり怒鳴られて少年・・・ヴァンデスデルカはシュンとしてしまった
まだ自分は叱られてる最中だと意識したのだろう
「さて、そろそろ主題の方へ入らせてもらいたい・・・・・ペルスラン!!」
そう誰かの名を呼ぶと扉の奥から先ほどの執事が少し大き目の袋を持って此方にやってくるとその間にあるテーブルに置いた
「ここに20万Gある・・・感謝と謝礼を同時にしてこれを送らせてもらいたい・・・・・受け取ってくれぬか?」
「に・・・20万!!」
ここの通貨はGと呼ばれる物で流れている
円と比べてすれば1Gが約10円と換算できると昔考察した事がある
つまり、ここにあるのは円にして約200万円であるということだ
一般の市民が一括してもらえるような金額ではない
家族三人で普通に10年ほど暮らせるようなくらいなのだから・・・・・
だけど・・・・・
「・・・・・申し訳ないのですが、これは受け取れません」
「・・・なぜかね?もし良ければ理由を聞かせてもらいたいのだが」
少し驚いたような顔をしながらそう問いかける
「対価としてもこれほど貰うのも割り合わない・・・・・それに、俺はこういうのを貰いたいためにその子を助けた訳ではありません。遠慮とかを入れずに言わせてもらえばそう言う事になります」
これは昔からある性分だ
医師として手術代は常に対等な料金で支払われた場合でなくてはいけない
俺には良く勤めていた病院よりも大手の場所からの勧誘や引き抜きのメールや紹介書といった物を散々送られて来た事もあった
時には米国や英国のとある有名な大学病院からもだ
けど、俺はそれをすべて断ってきた
たしかに、普通ではない設備や場所は俺にとっても憧れてる所もある・・・・・が
ただそれだけでしかない・・・・・
患者を生かそうと唯治療していくだけの奴にはなりたくなかった
俺は患者に生きたいと考えてくれるようにする奴になりたかったんだ
だから・・・・・“ご褒美”を貰う為に得にしかならない事だけをやり続けるような人生は送りたくないのだ
「ですから、それは頂く訳にはいかないんです」
「・・・・・そうか、君がそう決めるのなら私はそれを受け入れなければならないな」
「すみません、折角の御好意を無駄にさせてしまって」
「いやいや、このようにするのを決めたのは私自身だ・・・君には何の不義はない、だが困った・・・それでは私が納得する事は出来ぬのだ・・・・・」
「父上、ではこういう事は・・・・・」
ヴァンデスデルカは耳元で何か囁いていた
聞き終わった途端、微笑をしながらまた話かけてきた
「ではこうしよう、何時でもこの屋敷に遊びへ訪れると良い!私達は君の事を歓迎させてもらおう」
「え・・・・えぇ!!い・・・いいんですか・・・・・?」
これ以上もないほどの特別待遇とも言えるだろう
下級貴族でも当主に会うためには一々アポイントを取らなければならないのに・・・・・
「その時には私の息子ともぜひ話し相手としてあって欲しい!なにせ同世代の友達を持つ機会があまり訪れにくい立場ゆえでな・・・・・」
「それで良ければ幾らでも良いです!ただ・・・俺はフェレス島に住んでますからそれはホドへまた来る場合になりますけど?」
「ハイルさんフェレス島出身なんですか?」
「あぁ、もしよかったら一度いらしてください!そこの高台から見る海の絶景は絶賛物ですから!?」
その後は俺は屋敷を出て宿屋に戻った
そこに待っていた物は・・・・・両親の雷でした(汗)
面と向かって怒られるのは子供に戻ってもやはり辛い物です・・・・トホホ・・・・・・
かくして、俺の貴重な時間は終わりを迎えたのだった
あれ、なんか忘れてるような・・・・・
やべ、当初の目的達成してねぇ・・・・・
それに気づいたのは島に戻る寸前だったとか・・・・・
公式でも外伝でもヴァンの父親の名は判明しておりませんでした。
よって書かず仕舞いとなりました。
ご了承お願いします。
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