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プロローグ編
―――きよ、人の子よ……起きるのだ―――


 誰だ?俺に話しかける奴は……
 そんなことはあり得ない筈だ、俺は自ら命を断ったはずの存在だ……
 話す事も喋る事も聞く事もできないようになった筈だぞ?


……なら“此処”はどこだ?


―――ここは世界を紡ぐ次元の狭間だ、本来は死者はおろか生命が来れるような場ではないがな―――
 
……!?お前は俺の考えてる事がわかるのか!?

―――人の姿のままでは不可能であったが……我がそなたの体を【音素フォニム】に変換させたためだ―――

 ふぉにむ?聞いた事のない言葉だな……

―――それはそうだ、我はそなたとは違う並行世界に存在する者なのだからな。似て異なる世界の物を全て知ってる訳ではあるまい―――

 並行世界……なんとも夢のあるようなお話だな、まぁ、今の俺の状態を考えて信じない訳にもいかないけどな……それで、結局あんたは何者なんだ?

―――む……いろいろと話してて我の事を紹介するのを忘れていたようだな、では改めて紹介しよう。我の名は『ローレライ』、惑星オールドランドに存在する第七の音素集合体に位置する者だ―――

 ローレライ……たしか、ドイツの伝承で歌で人を惑わそうとした水の妖精の名だな…………

―――ほぅ……我と同じ名を冠する存在がこの世界にもいるとはな、さすがは並行世界といえる―――

 んで?その妖精さんと同じ名の奴が俺みたいな自殺者にいったいなんのようだ?

―――我の存在する世界を救う手助けをしてほしい―――

 は……?

―――いきなりこのような事を言ってすまないが……時間がないのだ…………―――

 ちょ……ちょっと待てよ!!いきなり世界を救えだのなんとかといっても意味が理解できるわけがないだろ!!

―――では、長くはなるができるだけ簡潔に話そう……惑星オールドランドには星の記憶というものが存在しているのだ。それには人一人の未来までもが正確に記されており、我の世界にはそれを知る業を持つ事ができた。それが預言スコアと呼ばれる物であり、それは人の王が持つとされる権力と同等の力を見いだせるまでにもなったのだ。だが、預言にも良い方向に導くものもあれば悪い方向へ導くものもある。オールドランドの者達は預言が絶対であるという考えを2000年の間に心の奥底まで癒着させてしまったのだ……預言が必ずしも繁栄に導くものではないと疑いもせずに…………―――

……その預言のせいで結果的に世界の危機に陥る最悪の未来のシナリオを人々は選んじまったという訳か?

―――理解に苦しまずに助かる……その通り、世界は二度も滅びかけた。だが滅びはしなかったのだ、我が愛し子『聖なる焔の光』のおかげで……―――

 滅びはしなかった……?あれ、じゃあそれで良いはずじゃないのか?

―――良い訳がなかろうが!!我が愛し子はその為の生贄にされたのだ!!かつては一つの国のために、そして世界のためにまでと3度も世界はあの子の生を否定されたのだぞ!?―――

……生を否定された?

―――そうだ!!だがあの子は決してその運命を嘆こうとはしなかった……己が“レプリカ”だから……【聖なる焔の光】の身代わりだから……だから命を捧げようと考えてた。しかし、最後には己は一人の人だと……唯それだけだと……本当に生を望むようになってくれた……我にはそれがどれほど喜ばしかったことか…………―――

……その子は……幸せになる事が出来たのか?

―――……そうでもあり、そうでもないといえる…………あの子は、『ルーク』は『アッシュ』と最後には一体化した……そうして戻ってきたのは、結果的に言えば『ルーク』の記憶を持った『アッシュ』であったからな―――

 一体化とはどういうことだ?もしかして融合とかなんとかしたのか?

―――まだ話してなかったが、整理しよう……『アッシュ』とは本来『ルーク』という名であった者の事だ。預言に死を詠まれ、あの子は【栄光を掴む者】に惑わされたために己の分身である『ルーク』としてのレプリカを作り、己の死を逃れようとした。だが、その中騙された事に気づき、『ルーク』に戻ろうとした……だが、『ルーク』はすでに己の分身が位置していたのだった。それを見た時、【栄光を掴む者】の洗脳生活によってか『アッシュ』は『ルーク』としての居場所を奪われたと考えてしまった。…………あの子はまだ立つどころか考える事も出来ない赤子当然の存在だったはずなのに・・・―――――

 質問だ、レプリカってどういう事だ?

―――レプリカとは我の持つ第七音素のみによって人為的に作る事が出来る「複写体」の事を言う。譜業と呼ばれるものによって有機体をもレプリカを作る事を人々は可能にしたがしかし、レプリカは人々にとっては理解しがたい存在でな、一部が劣化を起こしたり、レプリカの元である被験者オリジナルがレプリカに存在を喰われてしまう大爆発ビックバン現象が起きたりと未だ我にも全てを知ることができぬ存在とされている―――

 だからその『アッシュ』と『ルーク』は一体化したという訳か……じゃあ最後に質問だ、お前の言う音素とはいったい?

―――音素とはオールドランドに存在するあらゆる物質を構成する元素の一端、または元素から逸脱した存在の事を指す物だ。それは我の持つ第七音素を含め、闇、地、風、水、火、光、音の属性を持つ七つの音素が存在している。そして、音素は一定量集合すると我のように意思を持つことができるのだ。他にもシャドウ、ノーム、シルフ、ウンディーネ、イフリート、レムと称されてる我の仲間達がな―――

 おいおい、精霊の名前勢ぞろいかよ。ま、そんなことは置いといてと……どうして“俺”なんだ?

―――一つは我がこの世界を探し当てた時、偶々見た人の中にそなたが目に付いた事、そして、もうひとつは……そなたはあの子とどこか似ていると感じたからだ―――

 そうか……

―――もし引き受けてくれるのならばそなたは人の赤子として二度目の人生をオールドランドで送る事にさせよう。もしそうでなければ……ただ無として何かしらの力によって今の存在を消され、別の存在としてまたどこかで生を受ける事になるだろう……もちろん、記憶も何もかも失ってな…………―――

 脅しまがいな言い方だな……

―――そう受け取ってもいい……そなたは異端者イレギュラーとして私の言いなりになれと遠回しに言ってるようなものなのだからな。我は何通りも存在し続けるあの子の悲しみの未来に終止符を打てるのなら何だってするさ―――

 だからといって俺がそのオールドランドに現れる事になったからって未来を回避する事はできないかもしれないぞ?

―――ではそなたには第七音素を扱う資質と前世の記憶を持たせる事にしよう。それらを使って進んで行くがいい。あぁ、あとオールドランドの秘預言と呼ばれる滅びの指標と我がそう呼ぶ物の全貌を記憶に加えておいてやろう―――

 ハハハ……あんたなんでもありだな…………まるで神様だ。

―――まるでではなく、我は神同様に崇め上げられてるがな―――

 そうか、じゃあ納得するとしようじゃないか!返事はYesだ!!

―――感謝する人の子よ、これで可能性は増える事になる―――

 じゃあその『ルーク』を支えていくため頑張っていきますか……じゃあローレライ、準備はいいぜ?

―――では、行ってくるがいい―――



 俺の体に解けていく感覚が足だった所から始まって行く……
 もう肉体はないのだが、それは心地よく温かい感じだった。
 それが体の半分にまで達した所、最後にローレライが何か言っていた気がしていた……







―――忘れないでほしい、星の記憶は絶対ではない事を……
    ユリアが愛した世界を嫌いにならずにいて欲しい……
     そして、そなたには加護を……ルークには祝福を渡してほしい……どうか―――







 それを聞きつ、俺は意識を閉じる。

 次に目覚める時はきっと新生児としてだろう……

 新たな人生を楽しみながら、走り続けていこう…………






 さぁ、物語の始まりだ!!
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