第9話 電柱の上から
さて、その翌日。
本日は休日の為、四人とも家に居た。
両親は連れて帰ったタマを見て、妙に嬉しがっていた。特に母親は、生野家に女の子がいないせいか、タマを見た瞬間に抱きついて可愛いと言っていたのだ。
お母さん、何で居候するようになったのか聞いたのかな?まぁ、いいけど。
タマはソファーに座り、珍しげにリビングを見ていた。
表現するとちょこんって感じ。何か珍しい物でもあるのか?何だか分かんない子だなぁ。
その様子を四人はそれぞれに見ている。
「可愛い」
にっこりと笑って言ったのは陽雪。
脳殺されてない?
「ちまちましてるよなぁ」
どうしたらこんなに、ちまちま出来るんだろうと嵩治が呟いている。
嵩治君にはそう見えるんだね。
「どうでもいいけど、タマ一回も喋ってないよな」
暢都君、タマちゃんが喋らないのはどうでもいい事なの?
「そうだよね、何でだろう」
結都君も不思議そう。
二人して考えてみる。無駄だと思うんですけど。
「どうしたの?」
考えだした下の双子に気付いて、陽雪は聞いた。
「タマが喋んないのは何でだろうって話」
結都が答えると、陽雪は良いんじゃないとさらりと返した。
いいのか本当に…。
「良いのかよ、いつもなら何だかんだいって原因突きとめちまうのに」
暢都の言葉に、陽雪はそう?と言わんばかりに小首を傾げている。
「腹黒い奴がそうやって何もしないなんてな」
思いっきり、嫌味を含んで言ってますね、暢都君…。
「嫌だなぁ、腹黒いなんて。僕の心はいつも澄み切った青空みたいなのに」
何か、周りキラキラしてますけど…。
「は?どこが?どうあがいても暗雲と雷鳴と雹が降ってそうな心してんじゃん」
それ、嵐って言った方がいいんじゃない?
「そんな事ないよ。暢都よりまし」
何、その不毛な争いは?
「もうやめなよ…」
さすがに結都君、呆れてます。
「んな事より、何でタマちゃんが喋れないのか考える方が先だって」
話の本題ちゃんと覚えてくれてたんだね、嵩治君。
「原因って言ってもねぇ、最初からタマちゃん喋ってないし」
陽雪君の言う通りです。
「確かにそうだけど、何かあるんじゃねーの?な、タマちゃん」
嵩治の言葉に、タマは四人を見、にっこりと笑う。
「嵩治、タマの奴分かってねーぞ」
暢都君、言わなくても大丈夫。タマちゃん聞いてなかったから。だってにっこり笑ってるけど、何って顔してるもん…。
「とりあえず、原因突きとめようよ。タマちゃんを見てる人がいるみたいだし」
窓の外に見える電柱を眺めながら結都が話をまとめる。三人もつられて眺める。
四人からは何も見えない。しかし、四人が見た電柱の上には様子を見ていた連がいた。くすくすと笑っている。
怪しいなぁ、この妖は。
「あれを連れて帰れたわけだ。あの四人、良い感をしている」
楽しそー。ある意味、嫌な妖化してますよ。
「さて、これからどうしようか」
しかも、黒幕化してるし。
「うーん、賢治を呼んでも良いんだが、あれが来ると文句ばかり言うからあまり居てほしくないし…」
じゃあ言わないで下さい。
「正人は…無理か…」
何で?
「うーん…」
連は、首を捻りつつ考え込んでしまう。
あんまり首捻ってたら電柱から落ちますよ。
「少しあれと話してみるかな」
呟いて、再び何やら思案する。
だから、黒幕になってるって。どうすんのよ、貴方って妖は…。 |