わが家におわす観音サマ(1/4)縦書き表示RDF


やや三ヶ月ぶり、光久です。
個人的にいろいろと立て込んでいて、やっと時間が取れるようになりました。
さて、以前の状態を知っている人は「一体どうなってんねん!?」と思っているでしょうが……すみません。此度私は『わが家におわす観音サマ』を一から書き換えようということにしました。
理由云々はここで書く理由も無いので割愛させていただきます。はい。

これからは非常にゆっくりとした更新になると思いますが、なにとぞお付き合いをお願いしますm(__)m。

わが家におわす観音サマ
作:光久



第零審【ハジマリの世界】


気がつくと、自分は白い海の真ん中にいた。

……綺麗だな。
そんな感慨が湧く。足元で穏やかな波を立たせているそれは四方無限に広がっていて、更に言えば空も純白一色に尽きていた。その偉大な統一性に息を呑み、
――懐かしい…?
まるで久しく自分の故郷にたどり着いた旅人のような、不思議な気持ちを抱く。
…いや、こんなことをしている暇は無い。と、軽く自分を叱咤する。

自分は、行かなければならないのだ。

何故か?と考えて、自分がその答えを持ち合わせていないことに気付いた。遠い昔、理由を知っていたはずだったのだが、今はすっかり忘れているみたいだ。ただそんなことはどうでもいい。むしろ、大切なのは『何処へ』だ。

決まっている。【    】のいる場所へだ。

そう思った矢先だった。
静謐な白の世界が、一瞬歪んだ。

――来たか。

世界が鼓動する。これは、新たなる生命の息吹。まだ見ぬ大いなる存在の胎動だ。何故だかわからないが、そう感じた。
間もなく、【    】が生まれる!
急がなければ。と足を動かそうとしたときだった。

――!!

まるで地雷でも踏んだかのように、急に足元から何本もの鎖が飛び出す。雁字搦(がんじがら)めに縛られ、すぐさま身動きが取れなくなる。

――まずい、これ…――イテェっつのぉ!!?」


ついきつく引っ張られたことに悲鳴を上げ、その『自分の生声』に驚いた。

「ああぁ?」

目から鱗が落ちたような……それでいて、頭がこんがらがったような感覚だ。っつか、どうして俺はこんなところにいるんだ?
なんなんだ、ここは?

ズゴン

そんな擬音が相応しい衝撃が、自分の足元に響く。いきなり何だ?と思ったが、すぐに理解した。

「おっ、おい……」

体がどんどん沈んでいく。或いは、水面がどんどん上昇しているのか。真っ白なこの世界じゃどっちがどっちかわかったもんじゃないが、膝下辺りにあった水面が、今股下にまで上がってきている事は確かだ。
このままでは溺れると思っても、体に巻きついた鎖のせいで逃げられない。真っ白な水面はもう肩にまで到達しようとしていた。

「ったっ助け……っ!」

(つか)(わら)も無く、助けの声を呼ぶにも周囲に人の姿は無い。
……いや、

「おい、あんた!」

いた。
目の前、大体十メートルかそれくらい先に、一人、素っ裸の少女の姿が。
格好云々はどうでもいい。もう顔を仰がなければ息ができない状態だからな。

「聞いて…!んのか!」

必死に助けを呼ぶ。しかし声は届かないまま、とうとう水位が俺の身長を超えた。体全体がその海に没する。口に入ったその味から、ああ、これ何か牛乳みてぇだな。と、もはやどうでもいい事を考え―――



俺は思う。
このときの光景、そしてあの少女こそ、これから俺の身に次々と降りかかる『不幸』の原因なんじゃねぇのか?と。








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