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第十八部第四章 銃のない戦いその十三
「伊藤首相も期待できます」
「総理はこの件に関してどう考えておられるのかしら」
「まだそこのところは詳しくはわかりませんが」
「おおよそのところはわかるかしら」
「少しは。どうやらある程度日本に対処してもらうとのことです」
 やはり日本が出るのであった。金はそれを聞いて目を少しだが鋭くさせた。知的な光が強くなった。黒い光が。
「日本に」
「大国には大国を」
 秘書官は述べた。
「その様に御考えだとか」
「日本だけじゃ辛くはなくて?」
「既に日本は他の国にも働きかけているようですので」
「そしてそれを背景に中央政府が動くというわけね」
 そういうことであった。中央政府とて馬鹿ではない。タイミングを探っているというわけなのだ。
「そして与党が」
「わかったわ。それなら勝算があるわね」
「はい」
「今は内部充実の時」
 金は一言述べた。
「惑星開発はそれからで充分ね」
「それを大国に理解させられればいいですが」
「いえ、理解するのは大国ではないわ」
「では」
「市民、そして議員よ」
 金は言った。
「彼等が理解すれば。それでいいの」
「大国の思惑ではなく」
「彼等も首脳会議前に話が進んでいれば無下にはできないわよ」
 連合は実質三院であり最後の議決は各国の首脳達が行う。それを踏まえての言葉である。
「上下二院が。肝心なのよ」
「ではそこで話を調整すると」
「ええ」
 金は頷いた。
「そうなると思うわ」
「では我々は議会の調整をすることに」
「なると思うわ。けれどそれをするのは私ではないわね」
「総理が」
「どうされるのかしら」
 金は静かに一言発した。
「それは私の仕事ではないからあまりわからないけれど」
「左様ですか」
「けれど。かなり激しい舞台裏のやりとりがあるでしょうね」
 これも連合においては常であった。連合の政治の真の舞台は舞台裏にあるとさえ言われている程である。もっとも政治とは常に表と裏があるのであるが。どの世界にも表と裏は存在するが政治の世界はそれが特に顕著なのである。
「私はそうしたことには疎いけれど」
「はあ」
 金はそうした裏での駆け引きを好まない。そうした政治家もいるということなのである。
「とりあえず私は今は自分の仕事をするだけね」
「では」
「国防省に向かうわよ」
「畏まりました」
「八条長官がいないのが残念だけれど」
 その顔には一瞬であるが仕事を離れたものがあった。だがそれに気付いたのは誰もいなかった。車の中であり、またほんの一瞬のことであったからだ。
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