第十八部第三章 旅路その七
まず開拓省やそれぞれの国の政府がどの星系に進出するか決めてそこに調査団を送る。そしてそのまま居住可能ならば即座に、そうでない場合は居住環境を整備したうえで移民を送る。進出と同時に地方自治体も設置されており、防衛用の人口惑星や衛星も置かれる。安全に開拓が出来るようにしてから進出しているのである。
だが中にはそうでない場合もある。犯罪者や海賊が未開拓の惑星に潜り込んだり逃げたりする場合があるのだ。開拓の前に彼等との戦闘があったということもある。これは戦争ではなく言うならば犯罪者の取り締まりなのであるが連合の歴史がはじまってからずっとあったことである。
これにどう対処するかは今でも中央政府及び各国の政府の重要課題であった。中央軍が設立されかなり改善されたとはいえ今尚連合にとっては重要な問題の一つであった。
進出した惑星に狂信的なカルト教団がおり、戦闘になったこともある。そうした未開発の惑星に逃げ込み法の支配を逃れる輩もいるのだ。流石にこうした輩まではコントロールすることが出来ない。それが連合にとっての悩みであった。法律を破る者は破る。いくらコントロールしても限度があるのであった。
「外縁部にもパトロールを強化させるか」
「それしかないですね」
そして対策と言えばこれ位しかなかった。
「異なる知的生命体が現われればまた別だが」
「どうやら別の銀河にしかいないようですね」
「そちらにもいるかな」
「さて」
それがわかる者なぞいる筈もなかった。
「いるかも知れませんし」
「いないかも知れない」
「それに戦争に入るかどうかもわかりません」
「彼等が満ち足りていればな」
「戦争にはならないでしょうし」
自分達の腹が満ち、よい服を着ていればそれだけで戦争はかなり減る。連合がこの一千年の間国家間で戦争が起きていないのはそれであった。彼等は餓えることもエネルギーのことで心配することもなかったからである。そして何かしらの戦争を促す思考も存在しなかった。サハラの様にそもそもが砂の惑星ばかりであり、預言も存在しなかったからである。ここが連合とサハラの大きな違いであった。アメリカや中国の様に相変わらず覇権を目指している国は武力ではなく経済でそれを目論んでいる。経済により何かをするつもりならばそれを阻害しかねない武力は捨てなければならない。こうした事情から連合では国家間の争いに武力が用いられることがなかったのだ。領土問題が起これば別の広大な場所が見返りとして与えられる、若しくは無限の権益が。宇宙は彼等に多くのものをもたらしていたのだ。
「どんな知的生命体がいるかな」
「まだ巡り合っていませんが」
「願わくばウルトラマンに出て来る様なのでなくて欲しいな」
二十世紀の日本で生まれた特撮もののヒーローである。最早ゴジラと並ぶ伝説的な存在となっている。今も新作が作られている。連合ではヒーローの一つである。スーパーマンと並んでいる。
「若しかするとウルトラマン本人達がいるかも知れませんよ」
「それは簡便して欲しいな」
八条はそれを聞いて笑みを浮かべた。
「彼等が出て来ると地震より怖い」
「はい」
「余計な仕事が増えてしまう。それはよしてもらいたいものだ」
ウルトラマン達が戦闘の際に街を破壊することを冗談めかして言っているのである。
「しかし悪い奴等を倒してくれますよ」
「実は前から思っていたのだが」
「はい」
「その悪者にしろ彼等がいるから来るのではないのか?」
そう仮定してみせた。
「そうでしょうか」
「よく考えてくれ。彼等がいない間は来ない」
「別のヒーローは出ますが」
「あのバルタン星人にしろヤプール人にしろ」
ウルトラマンシリーズの名悪役である。宇宙忍者と言われ、各シリーズで大活躍したバルタン星人も群生し、ウルトラマン達に向かうヤプールもウルトラマンシリーズにしか出ない。
「ウルトラマンが出て来る時だけだな、出番は」
「言われてみれば」
それは当然なのである。ウルトラマンシリーズの悪役なのだから。放送されている間にしか出ることは無い。二人はそれを承知のうえで話をしているのだ。
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