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第十七部第五章 選ばれた神々の山その二十一
 エウロパも動いていたが連合もまたそれは同じである。国防省や外務省だけでなく大統領府も何かと忙しい日々が続いていたのであった。
「では私は行かなければならないな」
「おそらくは」
 キロモトもそれは同じであった。今は首相のアッチャラーンと自身の執務室で話をしていた。
「閣下御自身で署名されるということに非常に大きな意義があります」
「そうか」
 彼はそれを聞いてまずは眉を動かした。
「それは歴史的にもだな」
「そうですな。連合がエウロパに勝ったということをこれ以上になく印象付ける。歴史の場面の一つとしましても」
「絵画の様にか」
「まあ誰が書くかはわかりませんが」
 アッチャラーンは述べた。
「写真としても残ります」
「敵の首都において国家元首が勝利のサインをする」
 キロモトはここで呟いた。
「確かに場面としてはこれ以上のものはないな」
「はい」
「わかった。では私も行くとしよう」
 彼は言った。
「まずはこれで一人決まったな」
「ですね」
 アッチャラーンはその言葉に頷いた。
「では他の人選だ」
 彼はそのうえで話を続けた。
「誰に同行してもらうかだ」
「まずは一人は既に決まっております」
「カバリエ外相か」
「少なくとも女史には行って頂かないと」
 アッチャラーンは述べた。
「外相としての当然の責務だと思います」
「そうだな」
 これにはキロモトも同意した。
「ではまずは外相は決定だ」
「はい」
「後は・・・・・・誰かだな」
「後は一人で宜しいかと思います」
 彼は今度はこう提案してきた。
「一人か」
「それ程大勢で行く必要もないですし。少なくとも閣僚に関しては」
「ふむ」
「もう一人。送り出せば宜しいかと」
「では誰にするか」
 それが問題であった。キロモトはアッチャラーンに問うてきた。
「首相は誰がいいと思うか」
「そうですな」
 彼は問われたうえで考えに入った。
「まずは財相や内相は別になります」
「うむ」
 これは軍事や外交とは直接関係ないのでまずは省かれた。
「私が行きましょうか」
「いや、それはまずい」
 だがこれはキロモトにより制止された。
「私が国を離れる。その間色々と見て貰わなければならない」
 国家元首がいない間はその留守を預かり切り盛りするのも首相の仕事である。彼はそれに関して言及してきたのである。
「それを頼みたい。だから君は離れないでくれ」
「わかりました」
 アッチャラーンはそれを了承した。これで彼が行くことはなくなった。
「他に適任者というと」
「一人しかいませんな」
 アッチャラーンはここでこう言った。
「彼しか」
「そうか、やはりな」
 そしてそれにキロモトも頷いた。
「では彼にも行ってもらうか」
「はい」
 こうしてまずは人選は終わった。だがそれで一件落着とはいかない。
「そしてだ」
 キロモトは次の話に入った。
「手配も進めていこう」
「わかりました」
 連合とエウロパの講和の交渉は遂に実際にテーブルに着く段階になろうとしていた。話は少しずつだが確実に進んでいた。そして銀河において大きな場面となろうとしていたのであった。


第十七部   完


                    2006・4・3
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