第十七部第五章 選ばれた神々の山その十一
「中央政府の権限を強めていくべきだな」
「中央警察及び軍の存在を確固たるものにしたうえで」
実際にそれはかなりのところまで進んでいた。とりわけ軍はこの戦いの勝利でその存在をはっきりとしたもにさせていたのであった。
「また開拓をすればいいでしょう」
「今までの開拓はそれぞれの国家の軍や警察に護られながら行われてきた」
八条は言う。その言葉通り今までの連合の開発は開拓可能な惑星を発見し、そこにそれぞれの軍に護られた移民船団が移住し、そこで計画的に住居や農場、そして鉱山に産業を設け発展させてきた。その惑星の防衛は軍が行い、惑星を護る防衛用人工衛星や軍事基地の建設も行ってきた。だが今はそれを連合軍と各国の国軍が協同で行っている。またその方が惑星開発もそれぞれの国家と軍で行うより連合軍も参加することにより開発や防衛自体もこれまでより速くなっているのである。
「それに中央政府のコントロールをより積極的に入れていきたい」
これは各国の過剰な開発を制御する為にこれまでも行われてきた。だが連合軍の設立によりそれがさらに強まろうとしているのである。
「その方が連合にとってもいいだろう」
「今はそれを固める時期だと」
「そうだ。足場を固めるべきだ」
八条はまた言った。
「次のステップに向けてな」
「わかりました。それでは」
「野党とはまた激しくやり合うことになるだろうな」
「またハンニバル代議士が出て来られますな」
「彼がか」
どういうわけか彼の名を聞いたところで八条は笑みを作った。
「また何かと言ってくれるだろうな」
「長官はあの方はお嫌いではないのですね」
「嫌う理由もないしね」
八条はそれに応えて言った。
「むしろ好きな方か」
「それはまた何故」
「ああした有言実行で直線的な行動は。ある意味清々しい」
無論彼はそれだけではない。そうでなくてはあの若さで政党の領袖の一人になれはしない。服芸も備え、機を見る目もあるとされている。
「議論していても勉強になるしな」
「勉強ですか」
「議論からも学べるものは多い」
八条はこう述べた。
「そしてそこから得られるものは大きな力になる」
「政治家として」
「政治家としてだけでなく人間としてもな」
彼は述べる。
「得られるものは多いな。これは勝ち負けではないからな」
「議論は勝ち負けではないと」
由良はその言葉に反応した。
「何か伊藤総理の様な御言葉ですね」
「総理か」
八条の方でもその言葉に反応した。
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