第十六部第四章 停戦その四
「よいな」
「了解」
次の次まで戦術が決定された。連合軍の全軍の砲門が再び開かれた。
「撃て!」
「撃て!」
また攻撃が放たれる。エウロパ軍はそれを各艦の回避運動で防ごうとする。その為の散陣であった。
「かわせ!」
「回避運動に移れ!」
それぞれの艦で指示が下る。流石に皆必死の顔であった。
これにより何とか生き延びた艦もあった。だが炎と化して乗員と共に消えた艦もあった。無数の槍と弓矢が陣をくぐり抜けた。それによる傷も決して小さなものではなかった。
しかしそれでも彼等は踏み止まっていた。そして戦場においてなおも敵を見据えていた。
「この程度で・・・・・・!」
彼等は心の中で呟いた。
「我等は崩れはせぬ!」
「見事と言うべきだな」
それを見たリバーグが呟いた。
「私だったらもう撤退を命じている」
「撤退をですか」
「命がある限り何度でも挽回の機会はあるからな」
やはりここでも連合の価値観が出た。リバーグの欠点を挙げるとすればやや器が小さく神経質の傾向があるところと自身の置かれた境遇の価値観に対して無批判であるというところであろうか。無論だからといって軍人として恥ずべき行動に出る人物ではないが。
「私はそう考えているのだが。彼等は違うな」
「何としてもオリンポスを渡すつもりはないようです」
「誇りか」
彼はジェリオの言葉にそう返した。
「我々にも誇りはあるつもりですが彼等の誇りとは全く違うようですね」
「そうだな」
彼は頷いた。
「その誇りがどちらに出るかはまだわからないが」
「どちらかとは」
「いい方向か悪い方向かだ」
彼は述べた。
「そのうちのどちらか。まだわからないな」
「左様ですか」
「とりあえずは脱帽したいものを感じるが」
「はい」
「それで戦争に勝てるというわけでもない。戦争はそんなにはっきりしたものでもない」
彼はある意味においてまたしても連合的なことを述べた。何事も最後までどうなるかわからない、連合にはこうした考えもあるのだ。
「彼等の場合は。どうなるか」
「見せてもらうとしますか」
「うん。では次の攻撃に取り掛かろう」
「一点集中攻撃に」
「そうだ。そしてそれからは」
「艦載機による攻撃ですね」
連合軍の得意攻撃の一つであるのは言うまでもない。
「予定通りな。それで決めたい」
「わかりました」
彼等も攻撃に入ろうとしていた。そして実際に艦隊が動いていた。またもやマクレーンの腕が挙がった。
「撃て!」
「撃て!」
一点集中攻撃が浴びせられた。だが今度は前程の損害はない。やはり散陣を敷いているからであった。
だがそれに構わず連合軍は次の動きにかかった。今度は突撃である。
「全軍突撃!」
「了解!」
砲艦とミサイル艦の援護射撃を受けながら一斉に前に出る。その間も攻撃は続けられる。先頭には巨大戦艦がいた。やはりこのティアマト級巨大戦艦なくして連合軍はなかった。
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