第十三部第一章 角笛を持つ時その十三
エウロパ軍は戦いの準備をほぼ整え終えていた。モンサルヴァートの計画もシュヴァルツブルグに報告されていた。それはモンサルヴァート自身に依って為されていた。
「それで宜しいでしょうか」
「遊撃戦力か」
彼等はこの時クロノス第三惑星タントリスにいた。この名の由来はこの惑星が漆黒の大地に覆われていることからきている。それが地獄を連想するからだ。
彼等はそこに設けられた基地にいた。そしてそこで今後についての打ち合わせを行っていたのである。
「はい」
モンサルヴァートは彼の問いに頷いた。
「危急があればその場に急行する機動戦を考えているのですが。如何でしょうか」
「そしって私の戦力が防衛の主軸を担う、か」
「そういうことになります。そしてローズ司令長官の戦力も」
「私の戦力も」
そこにはローズもいた。エウロパ軍の最高幹部達がそこに一同に会していたのだ。
「どうでしょうか。それで」
「確かに陣を組んで戦う戦力だけでは柔軟な作戦行動はとれないな」
シュヴァルツブルグは顎に手を当てて考えながらそう述べた。
「作戦にある程度の柔軟性は不可欠だ」
「では」
「うむ。卿に任せたい。それでよいか」
「わかりました。有り難うございます」
「それでは頼む。期待しているぞ」
「お任せ下さい」
「艦隊はそれでいい。防衛ラインはようやく整った」
「遂に」
「前線にコロニーレーザーを配置し、機雷も敷いた。これで敵の攻撃は抑えられる。ある程度ではあるが」
「了解しました」
「そして要塞の整備も整ったが。後はあれだけだな」
「あれですか」
それを聞いた二人の顔色が一変した。
「そう、あれだ」
シュヴァルツブルグもそれは同じであった。三人はその顔で互いを見合った。
「テューポーンは今何処にいるか」
「今私の部下達がこちらに向けて移動させております」
それに対してローズが答えた。
「卿の部下達が」
「はい。もうすぐでこちらに到着する頃だと思われます」
「そうか」
シュヴァルツブルグはそれを聞いて安堵したように頷いた。
「それならばよい」
「そしてどちらに配置しますか」
「外周に置こうと考えている。防衛ラインの第一次ラインにな」
「左様ですか」
「まずはそこで敵の戦力を消耗させたい。どう思うか」
「そうですね」
「本部長はどう思うか」
「第一次にですか」
だが二人はそれにはいささか難色を示していた。
「それではかえってテューポーンの威力を削いでしまうのではないでしょうか」
「私もそう思います」
「何故そう思うのか」
シュヴァルツブルグはそれを受けて二人に尋ねた。
「よかったらその理由を聞かせてもらえないか」
「はい」
それにローズが応えた。
「第一次ラインに置いたならばそれだけ敵の目に入ります」
「うむ」
「そして集中攻撃を最初に受けます。それでは防衛の任にあたれないかと」
「そうなるだろうか」
「はい。それにテューポーンはあまりに強大でその影響が友軍にまで及びかねません。それは避けるべきです」
「確かにあの攻撃力は絶大だが」
どうやらテューポーンは敵味方構わず攻撃する性質を持っているらしい。
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