第三十七部第二章 宗教界その六
「あくまでその様にしてです」
「官僚のそれと同じなのですね」
「全く同じです」
そうなのだと答えた。
「私達も結局は官僚ですし」
「そうなりますか」
「軍隊は公務員ではないですか」
このことは連合では広く認識されていることである。軍人も警察官や消防署員と同じ公務員であり官僚であると考えられているのである。
「ですから」
「官僚になるのですね」
「マウリア風に言えば武官でしょうか」
ここでエウロパを出さないのが連合であるy。
「武官になりますので」
「武を司る官僚ですね」
「その通りです」
それに対して文官とは文を司るということである。中国では古来より武力を持つ武官達の統制手段として文官をその上位に置きコントロールしてきている。その代表的な例が宋代である。
「ですから」
「官僚ですか」
「その通りです。私達は官僚です」
また述べる大尉だった。
「そう考えて頂けると有り難いです」
「わかりました」
大尉のその言葉に頷く神官だった。
「それではその様に」
「はい、それではその様に」
「そう考えればわかりやすいですね」
神官はあらためて言った。
「そういうことですか」
「ええ。決めるのはやはり」
「政治家ですね」
「大統領であり首相であり」
「あの長官ですか」
その八条義統である。
「まだ若いのによくやっておられますね」
「宗教界でも人気があるのですね、うちの長官は」
「宗教については何も仰らない方ですが」
それでもだというのである。
「信仰心もおありですし」
「確か長官も複数の宗教を信仰しておられましたね」
このことは連合では普通である。誰も驚くことも眉を顰めることでもない。
「その一つが天理教で」
「それこそ御先祖の頃からだとか」
「その様で。随分と長い間らしいですね」
「八条家といえばかなり古い家です」
そのはじまりは平安時代、いや飛鳥時代からなる。当時有力な豪族の一つであり大和朝廷に帰順していた。それが平安時代に貴族となり公家となった。それがはじまりなのである。
「明治からでしたか」
「日本の年代ですね」
「はい、その頃に企業を創業されて」
これが今の八条家のはじまりとされている。
「そして今に至るとか」
「大財閥となりそれからも巨大企業グループでありました」
大尉は八条家のそうした歴史に詳しかった。
「今でも長官は八条グループの総帥でもあります」
「その巨大グループのですね」
「流石に執務は国防長官のものに専念されていますが」
これは仕方がなかった。連合中央政府国防大臣といえば連合の国防の中心である。それで多忙な筈がない。事実八条はそのはじまりから今に至るまでほぼ不眠不休である。
「そうした肩書きもあるのです」
「それでいて天理教への理解も深いとか」
「他にも神仏への理解もですね」
つまり宗教や神話への造詣自体がかなりのものだというのだ。
「かなり深い方です」
「ですから宗教界でもです」
「評価が高いのですか」
「はい、そうです」
だからだと。神官は答えた。
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